新型コロナウイルス感染症の第7波は、まだまだ収束の見通しが立ちません。8月16日に日本国内で新たに新型コロナウイルスに感染した人は16万人以上。夏休みに入り10代を中心に若年層の新規感染者は減少していますが、重症化リスクの高い高齢者を含む50代以上で増加が続いています。全国で医療がひっ迫しているため、感染し症状が悪化した場合でも、入院できずに自宅で療養せざるを得ないケースも出ています。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医である安井良則医師は、勤務する大阪府済生会中津病院の状況をこのように語っています。

 「当病院は新型コロナウイルス感染症に対応する病床を通常の30から61に増やし、患者の受け入れに対応しています。しかし、現在は50床ほどが埋まっており、ギリギリの状況であることは間違いありません。院内クラスターが起きて、医師や医療スタッフの感染も相次いでいます」

重症化は少なくなったけれど・・・

 流行の当初は、命を失う危険があった新型コロナウイルス感染症。しかし第7波になり、重症の患者は少なくなったと安井医師は話しています。

 「現在入院されている方で、人工呼吸器の装着が必要というような重症の患者はいません。入院された方も、抗ウイルス薬の投与で2〜3日で症状は改善し、5〜7日で退院できるケースが多くなっています。ただし、高齢者や持病のある方、またワクチンの接種をしていない方は症状が重くなる傾向にあると思います。実際に90歳代の高齢の方が亡くなられたり、27歳でワクチン未接種の患者さんが人工呼吸器装着の一歩手前まで症状が悪化したりしたケースもありました」

行動制限のないお盆休みの影響がでるのはこれから

 安井医師は、お盆休みも終わり日常が戻る中、連休による人の移動の影響が出るのはこれからだと警戒を強めています。

 「現在流行しているオミクロン株BA.5は潜伏期間が短く、感染から2〜3日で症状が出ると言われています。また、感染者が他の人を感染させてしまう可能性がある期間は、発症の2日前から発症後7〜10日程度とされています。帰省などで人の交流があったと思いますが、日常の戻ったこれから、職場や家庭などで感染者が再び増加するという可能性もあると思います」

ワクチン接種の効果は?

 また、ワクチンの効果については、「医療従事者の感染が相次いだ原因の一つとして、3回目のワクチンの接種からかなり経っていたので、その効果が薄れてしまったからなのではないかと感じています。当病院でもこれからスタッフの第4回目の接種が始まりますが、重症化を防ぐためにもワクチンの接種は重要なのではないかと思っています」と話しています。

 4回目接種については、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化予防を目的として、60歳以上の方、及び18歳以上60歳未満で基礎疾患を有する方や重症化リスクが高いと医師が認める方、医療従事者等、高齢者施設等の従事者を対象に実施されています。

新型コロナウイルス感染症を拡げないために

 オミクロン株は感染力が強く、咳などで直接飛沫を浴びなくても、空気中に漂う細かいエアロゾルというウイルスを含んだ粒子を吸い込むことで感染します。3密(密集・密接・密閉)や、飲酒を伴う会食、大人数や長時間に及ぶ飲食の場面では、感染リスクが高まります。マスクの適切な着用、こまめな換気、手洗いなど、これまでと同様に感染予防対策の継続を心がけましょう。そして、早期診断・早期治療が重症化を防ぎます。体調が少しでも悪いときは、無理をせず、かかりつけ医などに相談しましょう。


引用
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の“いま"に関する11の知識
厚生労働省 第94回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年8月10日)

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏