今年4月、生後2か月から接種開始の5種混合ワクチン定期接種がスタートしています。5種混合ワクチンとはどのようなワクチンなのでしょうか。

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4種混合+Hibワクチン=5種混合ワクチン

5種混合ワクチンは、今まで接種されてきた4種混合ワクチン(ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ)とHib(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)ワクチンが一緒になったもので、5つの感染症に効果があるワクチンです。当面は4種混合ワクチンとHibワクチンも接種できますが、4月以降に初めてこれらのワクチンを接種する場合は、原則として5種混合ワクチンを接種することになります。ワクチンを接種するのに適した標準的接種期間は、初回接種として生後2か月に達した時から生後12か月に達するまでの間に、3週間から8週間までの間隔をおいて3回。また追加接種として、初回接種を終了後12〜18か月の間隔をおいて1回(初回接種終了後6か月以上間隔を開けて接種することも可能)です。

ワクチンに詳しい医師は…

ワクチンに詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「私の勤務先でも今月から5種混合ワクチンの接種を実施しています。生後2か月から受ける定期接種は、5種混合の他にもB型肝炎、ロタウイルス、小児用肺炎球菌の4種類があり同時接種が一般的ですが、これまでは5種類のワクチンだったものが一つ減っただけでも、お子さんや保護者、そして医療機関の負担が軽くなったと感じています。実際にワクチン接種に訪れたお母さんに話を聞いたところ、5種混合が始まったことを知らない方もいらっしゃいましたが、医療現場では混乱なくスムーズに移行が進んでいます」と話しています。

移行期間の注意点は…

ただし、5種混合ワクチンの接種を受けられるお子さんは、4月になってから初回接種の第1回目を受けるお子さんだけです。すでに4月以前に4種混合とHibワクチンの第1回目を接種している場合は、2回目以降も5種混合ではなく、4種混合とHibワクチンの接種を受けることになります。
安井医師は「4種混合とHibワクチンは初回接種で3回、追加接種で1回接種することになりますが、いずれも同じワクチンを受けることが基本となります。ですので、3月までに4種混合ワクチン・Hibワクチンの第1回目の接種を受けたお子さんは、4月以降もそのまま4種混合ワクチンを受けることになります。接種する医療機関には記録が残っていますので、同じ医療機関でワクチンの接種を受けていただけるといいと思います。また、転居などで違う医療機関で接種を受けなければならない場合には、前にどのようなワクチンを接種したのかを接種する医療機関に伝えていただければと思います。私たち医療機関も、十分に確認をとりながら接種を進めています」と語っています。

予防できるはどのような感染症?

5種混合ワクチンで予防できるのは次の5種類の感染症です。
・ジフテリア
ジフテリア菌により発生する疾病。主に気道の分泌物によってうつり、ノドなどに感染し毒素を放出します。この毒素が心臓の筋肉や神経に作用することで、眼球や横隔膜などの麻痺、心不全などを起こすことがあります。
・百日せき
百日咳菌により発生する疾病。激しい咳が出ることがあり、咳のために乳幼児では呼吸ができなくなり窒息や肺炎など合併症が致命的になることがあります。
・破傷風
破傷風菌により発生する疾病。主に傷口に菌が入り込んで感染し、毒素を通して様々な神経に作用します。最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりして、亡くなることもあります。
・ポリオ
ポリオウイルスにより発生する疾病。かつては小児マヒとも呼ばれていました。主に感染した人の便を介してうつり、手足の筋肉や呼吸する筋肉等に作用し麻痺を生じることがあります。
・Hib感染症
ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌により発生する疾病。主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有して日常生活を送っている子どもも多くいますが、何らかのきっかけで進展すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎などの重篤な疾患を引き起こすことがあります。

引用
第20回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会、予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会:「5種混合ワクチンについて」(2023年8月29日)
国立感染症研究所:「日本の予防接種スケジュール」
厚生労働省:「ジフテリア」「百日せき」「破傷風」「ポリオ」「Hib感染症」

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏