厚生労働省が4月12日に発表した「インフルエンザの発生状況について」令和6年第14週(4/1-7)によると、全国のインフルエンザ定点当たり報告数は5.10。去年の10月以来、久しぶりに10を下回りました。すべての都道府県で前週(第13週)より少なくなっており、10を超える県は山形11.47と新潟10.25だけです。今シーズンのインフルエンザの流行は終りを迎えるのでしょうか。感染症に詳しい医師に聞きました。

【2024年】4月に注意してほしい感染症!RSウイルス感染症徐々に増加 麻しん(はしか)流行に注意 医師「春休み明けもインフルエンザ下がり切らない懸念」(https://www.youtube.com/watch?v=eHv5UwRP8YQ)

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「インフルエンザの全国の定点当たり報告数は、前週と比較しても半分以下となりました。しかし、この第14週は学校や幼稚園・保育園などが春休みの時期と重なっています。インフルエンザ定点は小児科が多くなっていますので、長い休みの影響を受けます。流行の傾向は次の15週、16週の数字を見てみないとわからないと思っています」としています。
また、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年以来、インフルエンザの流行は過去の傾向を参考にしにくくなったと安井医師は語っています。「新型コロナの流行が始まった2020年春頃から、2023年の初めまで、インフルエンザの患者はほとんどいませんでした。そして、2023年の初めに一旦定点当たり報告数が10を超える小規模な流行があったあと、その夏も患者が出続け、秋からはずっと10を超える状況が続いていました。通常、インフルエンザの流行は、短期間に大きな流行の山を作ります。しかし、今シーズンは爆発的な流行はなかったものの、患者は長期に渡り、出続けていたため、患者数はこの10年で最多となっています。本来であれば夏頃はインフルエンザの患者はほとんど出ないのですが、今年もこの先患者が出続けるのか、要警戒だと思っています」

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。A型、またはB型インフルエンザウイルスの感染を受けてから1〜3日間ほどの潜伏期間のあと、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴で、あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られますが、風邪よりも全身症状が強いとされています。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。合併症にも注意が必要です。

インフルエンザの予防法は?

インフルエンザにかからないためには、次のような方法が挙げられます。
・外出後の手洗いなど
流水・石けんによる手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。
・適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。今は冬ほど空気が乾燥していませんが、室内を適切な湿度(50~60%)に保つことは予防に効果的です。
・十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めるため、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日頃から心がけましょう。
・人混みや繁華街への外出を控える
特に高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布製マスクを着用することは一つの防御策と考えられます。

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について」令和6年第14週(4/1-7)、インフルエンザQ&A
国立感染症研究所:「インフルエンザとは」「インフルエンザウイルス週別検出状況2023/2024シーズン」

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏