厚生労働省が2024年5月31日に発表した2024年第21週(5/20-5/26)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は3.35。前週(5/6-5/12)の3.28と比べ、ほぼ横ばいとなっています。都道府県別にみると、沖縄県(14.09)・鹿児島県(5.34)・北海道(4.84)の順に高くなっています。現状について、感染症に詳しい医師に聞きました。

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感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「第18週(4/29-5/5)以降、新型コロナの患者報告数が、徐々に伸び続けています。第18週は、大型連休で休診している医療機関が多いことを差し引いて考えなければならないのはありますが、それでも、大型連休前の状態には、戻っていると言えるでしょう。これから、梅雨の時期を迎えるため、当面、大きく増加することは無いと予測しています。一方で、これまでの傾向から、梅雨明けの7月以降に大きく増加することが考えられます。しかし、2024年5月現在、KP.2と呼ばれる新たな変異株が、米国などで流行しています。東京大学医科学研究所の解析結果によると、これまでよりも、高い免疫逃避性を保持するとされています。今後、国内で流行する可能性もあり注意が必要です」としています。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。

患者は各世代に広がるが、入院例は高齢者が多い

厚生労働省が発表する資料では、年代別の患者数や入院数が報告されていますが、患者は各年代で発生しています。新型コロナウイルスが流行し始めた頃は子どもや若い人は発症が少ないとされていましたが、今はどの年代でも発症しています。一方入院例は高齢者が多く、今年の届け出数では60歳代が約4000人、70歳代が約1万人、80歳以上では約2万人が入院をしています。全入院数のおよそ半数が80歳以上の高齢者となっています。安井医師は「当院でも、新型コロナウイルス感染症で入院される方は、今もいらっしゃいます。新型コロナ自体の症状が悪化というよりは、別の基礎疾患などがあり、検査をすると新型コロナに感染していたというケースが多くなっています。入院される方の多くは70歳代、80歳代あるいはそれ以上の高齢の方ですが、基礎疾患をお持ちの方の入院もあります。ワクチンを接種していない方は症状が重くなる傾向があり、高齢者や基礎疾患がある方の重症化予防にはワクチンが有効だと考えています」としています。

新型コロナワクチンの現在

厚生労働省のホームページによると、新型コロナワクチンの全額公費による接種は2024年3月31日で終了。現在接種を希望する場合は、任意接種として自費で行うことになっています。また、65歳以上の方、60〜64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害がある、身の回りの生活が極度に制限される、HIVによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方は、今年の秋冬に自治体による定期接種があり、原則有料で接種が行われる予定になっています。

引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第20週、新型コロナワクチンQ&A、新型コロナワクチンについて
取材
大阪府 済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏