手足口病の流行が拡大しています。国立感染症研究所の2024年第22週(5/20-26)速報データによると、手足口病の全国の定点当たり報告数は2.89。前週(5/20-26)の2.13と比較し増加しています。都道府県別では、群馬8.67、福井8.36、大分7.58、鹿児島8.04、愛媛7.95、奈良6.68、大阪6.11が多くなっています。

【2024年】6月に注意してほしい感染症!溶連菌感染症高水準維持 手足口病・咽頭結膜熱と言った夏の感染症に注意 医師「マイコプラズマ肺炎徐々に増加」(https://www.youtube.com/watch?v=OPa56KVu4gU)

手足口病とは?

手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発しんが出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。子どもを中心に流行し、例年報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めています。病気の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他コクサッキーウイルスA10などが原因になることがあります。

感染経路は?

感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染です。特にこの病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは、子どもたちの同士の生活距離が近く、濃厚な接触が生じやすい環境であることなどから、注意が必要です。また、乳幼児では手足口病の原因となるウイルスに感染した経験がない者の割合が高いため、感染した子どもの多くが発病します。

主な症状は?

感染してから3〜5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜3mmの水疱性の発しんが出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり、高熱が続くことは通常はなく、ほとんどの発病者は数日間のうちに治る病気です。治療のための特効薬はなく、対症療法になります。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則 医師は「手足口病は、夏に流行する代表的な感染症の一つで、新型コロナウイルス感染症が流行したこの3年間には大きな流行は見られませんでしたが、2024年はそれ以前と同じように夏に向けて患者数が増えています。国立感染症研究所の第22週ウイルス検出状況を確認すると、CA6型に加え、CA16型も検出されており、患者数増加の一因となっていると考えられます。CA16型は、口内や手足に2-3ミリほどの水疱性発疹が出現します。対して、CA6型による症状は、発疹が大きく、体幹部にも表れることがあり、発疹の部位によっては、痛みやかゆみを伴うこともあります。手足口病が流行すると、『水ぼうそう』の患者報告数が増えることがありますが、これは、CA6型による手足口病の誤診の可能性も考えられます。医療関係者の方も知っておいて頂ければと思います。私の勤務する大阪府では、翌23週以降も増加していますので、夏に向けての増加傾向は続いていくものと予測しています」としています。

合併症のおそれも…

手足口病を発症すると、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など様々な症状が出ることがあります。また、手足口病の典型的な症状がみられずに重症になることもあるので、注意が必要です。

手足口病の予防法は?

手足口病には有効なワクチンはなく、発病を予防できる薬もありません。治ったあとでも比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあります。また、感染しても発病はせず、ウイルスを排泄している場合があります。一般的な感染対策は、接触感染を予防するために手洗いをしっかりすることと、排泄物を適切に処理することです。特に、保育施設などの乳幼児の集団生活では、感染を広げないために、職員と子どもたちがしっかりと手洗いをすることが大切です。特におむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしてください。手洗いは流水と石けんで十分に行い、タオルの共用はしてはいけません。

こんなときは、すぐ医療機関へ

手足口病は基本的には軽い症状の病気ですが、まれに髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症などが起こる場合があるので、経過観察をしっかりと行い、高熱が出る、発熱が2日以上続く、嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに答えない、呼吸が速くて息苦しそう、水分が取れずにおしっこが出ない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2024年第22週(5/27-6/2)
厚生労働省:手足口病に関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏