能登半島地震で被災した石川県立輪島漆芸技術研修所(輪島市)の卒業式が7日、金沢市のしいのき迎賓館で行われた。富山大芸術文化学部の指導協力で同大高岡キャンパスで卒業作品の最後の仕上げに取り組んだ特別研修課程の4人も卒業証書を受け取り、今後さらに輪島塗の技術の伝承や魅力の発信に力を尽くすことを誓い合った。

 同研修所は地震で断水が続いているほか、研修生の住居の確保もできていないため休講中で、再開の見通しは立っていない。

 研修生たちの支援に富山大や金沢美術工芸大、金沢職人大学校など5校が協力し、作業場の提供や指導も行った。

 富山大は1月下旬から蒔絵(まきえ)を専攻する8人を受け入れた。このうち特別研修課程2年の4人が無事に卒業式を迎え、同大の斎藤滋学長と指導に当たった同大付属技藝院(ぎげいいん)の林曉(さとる)センター長も出席し祝福した。

 卒業後は同研修所の普通研修課程に進学する吉田有沙(ありさ)さん(25)=長野県出身=は、輪島市で住んでいたアパートが全壊し、まだ荷物も取り出せていない状況。「富山大は設備が整っていて先生方も親身になっていただいた」と感謝する。小野美汐(みしお)さん(25)=埼玉県出身=は「研修所と異なる視点を学ぶことができ貴重な経験だった」と話した。

 卒業作品展も同迎賓館ギャラリーで12日まで開かれている。