体力勝負というイメージが根強く、今も「男性社会」と指摘される警察。女性の採用数は増加傾向だが、全体の1割程度にとどまる。そんな組織で女性警察官は「生理休暇」を取れているのだろうか。兵庫県警に取材すると、意外にも近年、取得率が急増していた。

 県警の規定では、生理休暇は電子申請で1回当たり3日間まで取れる。回数に制限はなく、休暇中の給料は満額支給される。

 県警警務課によると、2021年は女性警察官1115人のうち9人が取得し、その割合は0・8%=表。厚生労働省による直近(20年度)の調査の取得率0・9%と同水準だった。

 ところが、22年は1194人中32人が請求し、取得率は2・7%に上昇。人数、割合とも前年比3倍超に増えた。23年も1248人中34人、2・7%だった。

 顕著な伸びについて、警務課の担当者は「制度の周知や取得の呼びかけはしておらず、理由は分からない」と説明。警察署勤務の取得者が大部分を占める一方で、所属に偏りはなく、「社会の風潮で制度への理解が深まり、口コミで広がった可能性がある」とみる。

 ただ、ある県警幹部は、取得しやすい環境にはまだなっていないと指摘する。「症状が重く、出勤できない時は有給休暇を使うのが一般的では。取得に抵抗感がある女性警察官は多いだろう」

 県警は、男性警察官の育児休暇の積極取得を進める一方、特別なPRをしていない。ある女性警察官は「取得率が上がればいいというものではない。症状の相談がしやすかったり、ためらわずに取得できたりする環境づくりが大切だ」と話す。(小川 晶)