神戸低侵襲がん医療センター(神戸市中央区)で2020年、患者の男性(75)が手術後に死亡したのは医師の過失などが原因として、男性の家族が約4300万円の賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁(後藤慶一郎裁判長、渡部佳寿子裁判長代読)は26日、同センター側の過失を認め、計約3060万円の支払いを命じた。

 判決によると、下咽頭がんや食道がんと診断されていた男性は20年6月8日、同センターで点滴をする「CVポート」という器具を体に埋め込む手術を受けた。手術中、担当医師が肺を針で刺し、右肺に気胸が発生。男性は入院し、呼吸抑制の作用がある鎮静薬を投与される中で呼吸不全に陥り、3日後に死亡した。

 後藤裁判長は、気胸と鎮静薬による呼吸の抑制効果が重複したことが呼吸不全の原因として、死亡との因果関係を認定。肺疾患を抱える男性のがんが進行したことが原因とする病院側の主張を退けた。

 同センターの担当者は「判決文が手元に届いておらずコメントできない」としている。