建物火災で迅速に初期消火を行い、被害の拡大を防いだとして、兵庫消防署(神戸市兵庫区荒田町1)は、消火に加わったベトナム国籍の建設会社従業員を含む6人に署長感謝状を贈った。日本語を話せない従業員も一緒に、連携プレーで未明の火災に立ち向かった。(森下陽介)

 感謝状を受けたのは、六岡建設(兵庫県播磨町)作業員の西村将司さん(45)と、マルカワ建設(同市中央区)従業員のチャン・タン・ダットさん(24)▽ファム・ヴァン・チンさん(33)▽グエン・ダック・ティンさん(25)▽ファン・タン・ファットさん(26)▽ゴ・ヴァン・ズオンさん(36)−の計6人。

 同署によると4月2日午前4時15分ごろ、同市兵庫区新開地5の文化施設が入るマンション敷地内のごみ集積所から出火。近くに住む6人が火災報知機の音に気付いて屋外に出ると、ごうごうと燃える炎が見えた。

 一足早く現場に着いた西村さんは「消火器、分かる? すぐに持ってきて!」と指示。日本語を話せるダットさんら5人も、119番や消火器の運搬、ホースの延長など手分けして作業に加わった。バケツでも水をかけ、火勢が収まったころ、消防が到着して鎮火。住宅が密集する地域だったが、延焼やけが人はなかった。

 同署であった贈呈式で、ベトナム出身の5人には母国語で書かれた感謝状が贈られた。同席したマルカワ建設の担当者は「普段からまじめな働きぶりで、彼らの活躍に驚きはない」と誇らしげ。ダットさんは「感謝状はめっちゃうれしい。また同じような場面があっても絶対に手伝います」とほほ笑んだ。