ペットショップがミドル世代やシニアの夫婦でにぎわっている。子どもが就職や結婚で巣立った後、にぎやかだった家の中が寂しくなり、新たな「家族」を探しに来る人が多いようだ。だが、一定の年齢以上で飼い始めると、後で困ったことになる動物も知っておきたい。(山岸洋介)

 ■モフモフにうっとり

 4月中旬、神戸市灘区のペットショップ。犬と猫のコーナーでは、柔らかそうな毛の「モフモフ」たちが透明パネルの小部屋にちょこんと座り、つぶらな瞳でこちらを見つめる。70万円、52万円、33万円…。希少性や人気ゆえか、かなり高額だ。

 50代の夫婦がミニチュアダックスフントを抱っこさせてもらい、店員の説明を聞いていた。夫婦が悩みつつ手放すと、すぐに同世代とみられる別の夫婦が現れ、パネル越しに「かわいいね」と見入っていた。

 ■認知症予防も

 「生き物を飼うことは子どもの情操教育にも役立つけど、子育てを終えた世代にとっても素晴らしいこと。心身にすごくいい効果を与えます」

 そう話すのは、動物評論家の三上昇さん(62)だ。子育てを終えた年代に勧めるペットとして、まず哺乳類を挙げる。「毛のある動物をなでると心が安らぎ、手の感覚を通じて脳が刺激されるので認知症の予防になります」

 ■大型犬の落とし穴

 犬が代表格だが、犬種によって注意が必要だ。

 例えば、ラブラドール・レトリバーなど大型犬の寿命は13〜14歳くらい。大型犬は1日1時間は歩かせないといけないというが、飼い主が高齢になると、毎日の散歩も一苦労になる。

 「リードを引っ張られて転んだり脱臼したりする人もいます」と三上さん。屋内で飼いやすいチワワやトイプードル、柴犬など小型の犬が「無難」という。

 ■治療に100万円

 だが、体の大きさを問わず共通する注意点もある。食事や飼育環境の変化で昔より長生きする傾向にあり、老犬特有の病気にかかるリスクが高いことだ。

 がんや心臓病、糖尿病、眼病、歯周病…。「病気によっては、手術を含め100万円単位の治療費がかかる。年金生活になっても、最期まで治療を施してやれるか、覚悟が必要です」