【平成逆転史】野球少年とサッカー少年 Jリーグ誕生で状況激変

【平成逆転史】野球少年とサッカー少年 Jリーグ誕生で状況激変

 チームカラーの深紅に染まったスタンドが熱く揺れる。フィールドで躍動するのは、元スペイン代表イニエスタ選手や元ドイツ代表ポドルスキ選手ら世界的なスターだ。

 サッカーJリーグ1部(J1)ヴィッセル神戸のホーム、神戸市兵庫区のノエビアスタジアム神戸。毎試合、2万5千人ほどのファンが詰め掛ける。子どもたちの姿も目立つ人気ぶりに、チームの社長も務めた安達貞至さん(80)=大阪府豊中市=は「日本にここまでサッカーが定着するとはね」と感慨に浸る。

 安達さんもプレーヤーとして、関学大−ヤンマーと第一線で活躍した。だが、「運動ができる子はまず野球をやった」と安達さん。日本のサッカー熱は高くなく、最高峰の日本リーグでもスタジアムに空席が目立った。ところが、1993年のJリーグ発足で状況は大きく変わった。

 子どもたちをクラブの下部組織で育成する、プロ野球にはなかった仕組みを導入し、地域密着でファン層を開拓。ワールドカップでの躍進や日本人選手の海外での活躍も続き、競技人口の裾野は着実に広がった。「平成は日本サッカーが幕を開けた時代」。安達さんの言葉に力がこもる。

   ◆

 一方、かつてスポーツをする少年の“王道”だった野球は苦戦が続く。

 日本中学校体育連盟によると、部活動の所属部員数を調べ始めた2001年度以降、男子の軟式野球部員数は右肩下がりだ。少子化の加速で、運動系の部活に入る生徒自体も18年度までに男女合わせて23%ほど減った。ただ、約12%の部員減で踏みとどまる男子サッカーに対し、男子軟式野球部員はほぼ半減。13年度に逆転を許した。

 兵庫県内の大会で優勝経験もある西播地域の少年軟式野球チームも近年、選手不足に悩んでいる。男性監督(54)は「少年野球では練習や試合で、お茶の用意など保護者の手を借りることが多い。共働き家庭が増える中、そこが敬遠されているのかもしれない」と推測する。

 その軟式野球が人材供給源でもある硬式の高校野球。日本高野連によると、硬式の部員数は18年度、15年ぶりに16万人を割った。「強豪私学などは別だが、一般的な公立校は部員確保がどんどん難しくなっている。小中学生を対象にした野球教室を検討するなど打開策を考えねば」。兵庫県高野連の笠間龍夫事務局長(66)は危機感を募らせる。

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 1989(平成元)年から第一生命保険が毎年、アンケート結果を発表している「大人になったらなりたい職業ランキング」。89年の男の子の1位は野球選手で、サッカー選手は警察官・刑事、おもちゃ屋さんに次ぐ4位だった。

 Jリーグ発足の93年、サッカー選手は初めて1位となった。以降は野球選手と激しく競りながら、10年からは7年連続で1位を堅持。ただ、17年は8年ぶりに野球選手がサッカー選手を上回った。

 野球かサッカーか、それとも−。「インターネットを通じて世界中のスポーツを見ることができる時代。次にどの競技が少年たちの心をつかむか、まだ分からない」。スポーツ文化に造詣の深い評論家の玉木正之さん(66)にも「平成後」は見通せていない。(西竹唯太朗)

     ◇     ◇

 平成時代も残すところ4カ月。戦争や高度成長を経験した昭和に比べ、期間は30年と半分だが、相次ぐ技術革新や価値観の多様化で暮らしは確かに変わった。かつては“主流”だったのに、いつの間にか“傍流”に追いやられたモノや事象もある。そんな平成の「逆転史」を通し、30年を振り返ってみたい。


■高校部員数 16年度首位交代

 現在、中学生男子の部員数はサッカー、軟式野球にバスケットボール、卓球が続く。女子はソフトテニスが最も多く、2位はバレーボール、3位はバスケットボールとなっている。

 一方、全国高校体育連盟と日本高野連によると、2018年度の男子サッカー部員は16万5351人、硬式野球部員は15万3184人。高校では16年度にサッカーが硬式野球を逆転(比較可能な03年度以降)した。


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