偽安宮牛黄丸の製造・販売で15人逮捕

 7月19日、中国警察は偽造薬の製造・販売を行ったとして15人を逮捕した。各地で一斉検挙での同時逮捕だった。

 販売されていた偽造薬は「安宮牛黄丸」。関連金額は、1000万元(約1億9800万円)を超え大事件として中国でも大きく報じられた。

 中国の報道によると、警察がインターネット上で、今回の偽造薬が販売されているのを確認したのは2021年12月。吉林省長白県警察が見つけ、密かに入手し、成分検査をすると国の医薬品規制に準拠していない偽造薬であることが確認された。

 警察発表では、偽造品は外国語表記が印刷されたパッケージで販売されていたとされる。

 日本では、偽造薬事件はめったに起こらないので、あまり耳にしないと思う。直近、薬に関する事件としては、2020年12月の小林化工の事件だろうか。

 小林化工の事件は、水虫など真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した不正製造による薬害だった。この事件は、2人が死亡、健康被害150件以上、運転中に意識を失う交通事故も20件以上起きた大事件となった。

中国人は驚かない偽造薬事件

 偽安宮牛黄丸の件は、真っ赤な偽物、ルイ・ヴィトンなどの偽ブランドバッグや海賊版DVDの製造・販売と同種となる。

 その意味では、大事件ではあるものの、小林化工の事件とは性質がまったく違うものであることは強調しておきたい。

 中国では、いまだに偽ブランド品や海賊版が普通に販売されているように、偽造薬事件も珍しいものではなく頻繁に起こっている。

 ある新発売の薬が大人気となると、タケノコのように偽造薬が登場して市場を席巻。その結果、本物が締め出されるという日本では考えられない例もしばしば起こる。

 その意味では、今回の偽安宮牛黄丸事件も中国人には「またか」くらいで驚きもしていないと思う。

北朝鮮で新型コロナ治療に使われた?

 この事件が中国の1部ネットユーザーで話題となっている。その理由は、この偽安宮牛黄丸が北朝鮮へ流れ服用されていた可能性があるからだ。

 中国警察が発表した外国語表記とは朝鮮語で、北朝鮮へ合法か不正かは定かではないが、輸出されて、北朝鮮が“勝利宣言”をした新型コロナウイルスの感染者の治療に用いられたというのだ。

 中国のネット上では、「偽造薬が効いたのか?」「金正恩もこれを服用したらしい」「健康被害が…」など書き込まれている。

 中国警察は、現在の調査中としているが、この偽造薬が北朝鮮へ持ち込まれたなどの情報は公表しないと思われる。

 中国では、同じく新型コロナ治療に効果があるとされる「連花清瘟」の効果に疑問を投げかける記事を公開したサイトが、当局の検閲対象となり、事実上の処分を受けるなど今、薬が何かと話題になっている。

 連花清瘟も北朝鮮へ大量に持ち込まれて発熱者治療に使われたとされる薬だ。