無性にしょっぱいものが食べたくなるときってありますよね。そういった場合、もしかしたらからだの中で不足している栄養素があるのかもしれません。しょっぱいものがほしくなる理由や対策を、薬膳アドバイザーの山形ゆかりさんに教えてもらいました。

しょっぱいものが食べたくなるのはなぜ?

しょっぱいものが食べたくなる理由は、主に2つ考えられます。

①ストレスがたまっている

しょっぱいものが食べたいときは、ストレスがたまっているのかもしれません。

人間のからだには「副腎」という臓器があり、ここでは生命維持に欠かせない「コルチゾール」というホルモンや、血圧を維持するホルモンを作っています。

副腎はストレスがかかると疲弊してホルモンの分泌量が減り、慢性疲労やうつ症状を引き起こすといわれています。

からだはこの副腎の機能を回復させるために、しょっぱいものに含まれる栄養素を求めます。

②ミネラル不足

しょっぱいものが食べたいときは、ミネラルが不足している可能性もあります。

とくに、汗をかいた後は体内の水分と一緒に塩分も放出されるので、ミネラルが不足しがちです。

ミネラルは、骨や歯を構成する成分となったり、神経や筋肉の調整をしたりするため、健康を維持するうえで必須の成分です。

ミネラルは体内では合成できないため、食物から摂取しましょう。

【ミネラル別】不足によるからだの不調は?

ミネラルが不足することで、からだにはどのような不調が起きるのでしょうか。ミネラルごとに紹介します。

①鉄が不足すると…

鉄が不足すると、頭痛、めまい、動悸、集中力低下、食欲不振といった症状がみられます。

鉄は赤血球のヘモグロビンや、筋肉のミオグロビン内に多く存在しています。そのため、不足によって貧血や筋力の低下、疲労感が生じるのです。

レバーや砂肝、まぐろやかつおに多く含まれるので、意識して食べてくださいね。

②マグネシウムが不足すると…

マグネシウムが不足すると、集中力や筋力の低下、筋肉のけいれんといった症状がみられます。

長期にわたり不足した場合、骨粗鬆症や心筋梗塞、動脈硬化のリスクも高まるといわれています。

筋肉の収縮、神経系の機能維持、心機能の維持に必要不可欠なミネラルですが不足することも多いため、大豆加工食品や海藻から摂取しましょう。

③カルシウムが不足すると…

カルシウムが不足すると、骨や歯がもろくなる、血圧が高くなる、血管が硬くもろくなる、軟骨が変形する、免疫機能に異常をきたすといった症状がみられます。

とくに不足しやすいミネラルだといわれているので、牛乳やヨーグルト、干しエビなどから意識的に摂りましょう。

④カリウムが不足すると…

カリウムが不足すると、脱力感、筋力低下、食欲不振、血圧が高くなるといった症状がみられます。

カリウムは大部分が細胞内に存在し、体液の浸透圧や水分を保持するミネラルです。

そのため、激しい下痢や嘔吐をした際に欠乏することが多いといわれています。

バナナやアボカド、ほうれん草やさつまいもから摂取してくださいね。

⑤亜鉛が不足すると…

亜鉛が不足すると、免疫機能や神経感覚の障害、慢性の下痢、貧血、食欲不振といった症状の他、味覚や嗅覚の異常がみられることもあります。

亜鉛は骨や筋肉だけではなく、脳や肝臓、腎臓にも広く分布するミネラルです。

からだの機能を正常に保つためにも、牡蠣や豚レバーなどから、しっかり摂取してくださいね。

不調対策には漢方薬の服用もおすすめ!

ミネラルのように、不足するとからだに不調をきたす栄養素はたくさんあります。

ただ、規則正しい食生活をしていても、なんとなく調子が悪くなることもありますよね。

そんなときは、漢方薬の服用によって体質改善を目指すのがおすすめです。

不調対策におすすめの漢方薬を紹介します。

何となく調子が悪いときにおすすめの漢方薬は?

・人参養栄湯(にんじんようえいとう):やせており血色の悪い方におすすめ。胃腸の働きを高め、消化や吸収を良くすることで、からだに栄養を補うと共に精神を安定させることで不安や不眠にも働きかけます。

・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):疲れやすく、貧血が気になる方におすすめ。胃腸の働きを活発にして気力や体力を高めることで、慢性疲労や倦怠感を改善します。

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えやすく、疲れやすい方におすすめ。栄養を補い血行を良くすることで、倦怠感や貧血、婦人科系疾患を改善します。

このような漢方薬を服用することで、長年のからだの悩みが解消する可能性があります。

食生活の改善や運動をしてもなかなか不調が改善しない方は、試してみてくださいね。

監修・文/山形ゆかり●薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター