珍しい道路標識として「!(ビックリマーク)」が挙げられます。どんな意味があるのでしょうか。

「!(ビックリマーク)」の標識ってどんな意味?

 全国各地には珍しい道路標識が存在します。
 
 なかでも「!(ビックリマーク)」が印象的な標識が度々注目されていますがどんな意味があるのでしょうか。

 道路上には「一時停止」や「横断歩道」などのようにさまざまな道路標識が設置されていますが、中にはあまり見かけない標識も存在します。

 前述の「!」が示す標識に関しては、全国的にも設置されている場所が限られるため、インターネットやSNSでは「心霊スポットに設置される」と噂されています。

 そんな「!」について、新潟県のホームページ内にある「むらかみ・いわふね珍風景」では新潟県村上市羽黒町の市道に立つ同標識について紹介しています。

 実はビックリマークの道路標識は黄色のひし形にイラストが描かれた「警戒標識」のひとつであり、「その他の危険」をあらわしています。

 国土交通省のホームページでは、この標識の意味について「この先で車両の運転上注意が必要であることを指します」とした上で、必要に応じて補助標識を組み合わせて設置することが掲載されています。

 また以前の取材で国土交通省自動車局の担当者は次のように話していました。

「その他の警戒標識では表現することのできない警戒事項を表しています。

『その他の危険』を使用するときとしては、『路肩が弱い』『道路を塗装したばかり』といった状況が挙げられます」。

 つまり道路の状況によっては、ビックリマークの標識の下に「路肩弱し」や「この先行き止まり」、「この先大型車通り抜け出来ません」などの補助標識が付くこともあります。

 前述の新潟県村上市羽黒町の警戒標識には補助標識がなく、一見何に注意すれば良いのか分かりにくい状況です。

 この場所は、道路が左カーブを主としたT字路であり、下り坂からの急カーブと、合流してくるクルマに注意という意味で設置されています。

 のちに交差点が改良されて信号機ができましたが、引き続き安全運転を呼びかけるために標識は設置されたままになっています。

「その他の危険」の標識は各地に存在するものの、他の標識と比べて設置数が少なく、SNS上でも「初めて見た」、「知ってはいるけど実際に見たことがない」という声が多く寄せられています。

さらに珍しい標識が新潟県にあった?

 さらに新潟県は雪が多く降る地域ということもあり、山間部などに「なだれ注意」の警戒標識がありますが、この「なだれ注意」のバリエーションも豊富です。

 一例を挙げると、十日町市内を走る国道253号(通称、ほくほく街道)沿いにある標識には、こんもり積もった雪が山の斜面から崩れ落ちるイラストが描かれています。

 同じ十日町市内を走る県道「中深見越後田沢停車場線」沿いにある標識には山の斜面から雪の結晶がクルマめがけて落ちてくるようなイラストが、南魚沼市内の県道388号沿いの標識には山から崩れ落ちた雪がクルマを押しのけるようなイラストがそれぞれ描かれています。

 このような、なだれ注意の警戒標識が設置された経緯について、十日町地域振興局地域整備部維持管理課の担当者は次のように話しています。

「詳しい経緯までは不明ですが、降雪が多くなだれが発生しやすい箇所についてドライバーへの注意喚起のために設置したものと考えられます」

 なだれ注意の標識は山林沿いの道路に設置されており、降雪量が多い新潟県ならではといえるでしょう。

 また、新潟県のなだれ注意標識は他の都道府県で見られないデザインであることから、警戒標識を県独自で制作できるのか伺ったところ、担当者は以下のように説明しています。

「なだれ注意標識は法定外の標識であるため、道路管理者(県や市など)独自のレイアウトで作ることができます。

『踏切あり』や『動物が飛び出すおそれあり』のような、一般的によく使われる警戒標識については国土交通省が標準のレイアウトを示しています。

 しかし、なだれ注意のように特に定めがないものは、道路管理者の独自性が出るといえます」

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 実際に全国各地では、北海道の「馬横断あり」や沖縄県の「ヤンバルクイナ飛び出し注意」などのように、その地域特有の珍しい警戒標識が存在しています。

 そのほか新潟県村上市の海沿いを走る国道345号付近には、海の波がクルマに覆いかぶさろうとするイラストが描かれた「高波注意」の警戒標識も設置されています。このような警戒標識によって、その地域の特徴が分かることもあるのです。