2019年9月時点での全国利用率は92.9%となり、いまやクルマの移動にはなくてはならないETCですが、なぜ現在でも7%近いユーザーはETCを利用しないのでしょうか。

ETC利用率93%、それでもETCを使わない人の「事情」とは?

 高速道路を利用するうえで、何かと便利なサービスとして多くの人が利用しているのが「ETC」です。
 
 2019年9月時点での全国利用率は92.9%となり、いまやクルマの移動にはなくてはならない存在ですが、なぜ現在でも7%近いユーザーはETCを利用しないのでしょうか。

 ETCの正式名称は、電子料金収受システム(Electronic Toll Collection System)で頭文字をとった略称で呼ばれています。

 高度道路交通システムのひとつとして、高速道路や有料道路を利用する際に料金所で停止することなく通過できるシステムです。

 日本におけるETCの歴史は1994年に当時の建設省と道路四公団(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団)が研究開発をスタートしたことから始まります。

 1997年にETC車線の交通運用の安全性・円滑性を確認するため、小田原厚木道路 小田原料金所(1997年から)、東京湾アクアライン木更津金田第一(本線)料金所(1997年12月から1999年12月)にての試験運用がおこなわれました。

 その後、2000年4月千葉地区で試行運用の開始(7200台)、2004年3月に全国の9割以上にあたる895料金所にETCの整備を完了させ、ネットワークを形成している道路については、基本的にすべての料金所に整備を完了。

 これにより、ETC割引が本格的に始まり、車載器購入の補助金制度が充実したことなども後押ししてETC利用率は急速に上がっていきました。

 2001年4月に月間利用台数7200台から始まったETCの利用。2002年3月には1.6%だった利用率も、5年後の2007年には65.9%(525万台)にまで急上昇し、2020年9月には92.9%(757万台)まで上がっています。

 高速道路6社×軽・普通・中型・大型・特大の5車種別ETC利用率(2020年9月)を見てみると6社合計の全車種平均は92.9%ですが、もっとも低いのはNEXCO東日本の「軽」で78.7%、もっとも高いのは阪神高速の「大型」で99.5%とかなりの違いがあることが分かります。

 高速道路会社別にみると、「NEXCO東日本93.4%」「NEXCO中日本95.1%」「NEXCO西日本94.1%」「首都高速96.7%」「阪神高速96.4%」「本四高速96.0%」と6社平均で94.4%。もっとも高い首都高は96.7%となっています。

 また、車載器のセットアップ数の累計も、2020年10月で1億81万5894台(うち再セットアップが約2800万台)となり、新規セットアップの累計は7276万台に達するほどです。

 今後も増えることはあっても、減ることはないとされるETCの利用ですが、国土交通省は2020年7月に近い将来、高速道路の料金所における有人ブースを廃止する方向で検討する方針を示しています。

 ここまで高い利用率となっているETCですが、それでもまだ、ETCレーンを通らない人は一定数います。

 高速道路を使用するうえで、利便性の高いETCを利用しない理由としては、どのようなものが挙げられるのでしょうか。

 ETC車載器メーカーの担当者は次のように話します。

「第一に、高速道路を使うことは滅多になく、車載器をつけるのが面倒。費用がもったいない。ほとんど乗らないからETC割引の恩恵も良く分からない人が一定数いらっしゃいます。

 次に車載器はついているが、再セットアップをしていないのでETCカードが使えないと勘違いしている人です。

 中古車を購入してナンバーが変わる際には、車載器の再セットアップが必要になりますがセットアップをしていないからETCカードが使えないと思っているようです。

 同様に、他人のクルマやレンタカーのETC車載器では自分のETCカードが使えないと思ってカードをさしていない人も。(レンタカーや他人のクルマでももちろん使えます)」

 また、クレジットカード会社の担当者は次のように話しています。

「ETCを利用しない人のなかには、『カードを持っていない。作れない。』という事情の人がいます。

 ほとんどのETCカードはクレジットカードに付帯されています。諸々の事情でクレジットカードが作れない人はETCカードも作れないことになります。

 なお、クレジットカードを作れない人向けのデポジット制ETCカードもあります。

 高速道路の支払いだけに利用できるカードで、「ETCパーソナルカード」という名称です。

 東/中/西日本高速道路、首都高速、阪神高速、本四高速の6社が共同して発行しており、1枚1257円(税込)の年会費が必要となります。

 また、レンタカーでの利用に限定するならレンタカーとセットでETCカードをレンタルする方法もあります。

 トヨタレンタカー、ニッポンレンタカーなど大手レンタカー業者に限定されますが、全国の空港・新幹線駅を中心とした営業所でETCカードのレンタルが可能です。(すべての営業所で対応しているわけではありませんので要確認)

 事前の予約が必要ですが、レンタカーを借りる当日にレンタルETCカードの在庫があれば利用が可能です」

あえてETCを利用しない「大人の事情」とは

 車載器もある、ETCカードもあるのに、ETCレーンを通らない(通れない)人の事情とは、どのようなものがあるのでしょうか。

 最初に「1.すぐに高速道路通行料の領収書や利用証明書が必要」という場合です。

 業務で高速道路を利用する人のなかには、会社や委託先に到着したらすぐに領収書を渡す必要がある人もいます。

 現金やクレジットカードにて、収受員がいる一般レーンを通ればその場で通行料の領収書や利用明細書を受け取れます。

 また、「2.仮ナンバー装着車。または、フロントナンバーがないクルマ」という場合です。

 これは、回送などで仮ナンバーを付けて走行している場合は、車載器がありETCカードがあっても、ETC専用レーンの通過はできないことから、一般または混在レーンで支払います(ETCカードを使う場合は収受員に手渡し)

 さらに、フロントナンバーを外しているクルマも「ナンバープレートのない車の通行は不可」という高速道路の利用規定によってETC専用レーンではなく一般または混在レーンで仮ナンバーと同様の方法で支払います。

 そして、最後に挙げられるのが「3.何かしらのデータが残ることが嫌」という場合です。

 前述の1や2の理由でもない人たちがETCレーンを通過しない理由とは、諸々の事情で高速道路を使って移動したことが何かしらのデータとして残ることを嫌がる人たちで、犯罪に絡むこともあるかもしれません。

 また、お忍びカップルのドライブ旅行などオトナの事情であえてETCでもクレジットカードでもなく、現金で通行料を支払う人もいるようです。