まるで宇宙船のようなクルマがオークションに出品。ベース車両はなにか、解説します。

宇宙船のようなクルマの正体とは?

 オークショネアにとってもっとも重要な仕事といえるのは、いかに出品者から魅力的なアイテムを集め、それをオークションの檀上に導くかにある。つまり成約額と同時に、成約率が彼らにとっては重要な数字になるのである。それはそのまま手数料収入に関連するものであるからだ。

●2008 ETV COUPE

 そのため、オークショネアのスタッフは、常に世界中の情報から目を離さずに、時には出品者との交渉に臨む。いや世界中の、ではない。とくには宇宙にさえ彼らは足を運ぶのだ。

 そしてボナムスのスタッフが持ち帰ったのは、ETV(EXTRA TERRESTRIAL VEHICLE)、直訳すると1台の地球外自動車だった。当然地球上で通用する車名はまだないので、そのままETVと呼ばせていただこう。

 ETVのエクステリアデザインは、曲線を基調としたというよりも、卵型に近い造形で、これは宇宙のどこかにも地球と同様に大気や重力が存在し、その抵抗から少しでも影響を受けない造形であることを意味している。

 4輪はカバーによって視認することができず(したがってタイヤが装着されているとは限らない)、フロントノーズから流れる流麗なラインは、このフロントフェンダーからガルウイング式のドア、そして丸型のリアサイドウインドウを備えるリアクオーターパネルとフェンダーを経て、リアセクションへと連続していく。

 リアカバーやテールレンズも独特なデザインだ。その灯火類や左右のミラーは、地球上の法規にほぼ合致しているようで、走行するために大きな改造は必要なさそうに思える。

 キャビンは、そのスタイルから想像するに2シーターの設計だろう。ちなみにこのETVは、すでに複数台が地球に降り立ち、アメリカやカナダ、ドバイ、アブダビ等々のカスタマーの元に渡っているという。

 今回ボナムスが入手したETVは、2008年に製作されたものの1台らしく、フロントにはETVのエンブレムも備わる。こうなると気になるのは、このETVの中身、メカニズムだろう。

インパクトならスーパーカーにも負けない!

 ETVは残念ながら、その車名から想像できるようなBEVでもPHEVでもHVでもない。しかも、どうやら地球外自動車などではなく、地球、とくにアメリカを縦横無尽に走り回っていたシボレー「アベオ」のようなのだ。

●2008 ETV COUPE

 現在ではフルモデルチェンジされ、新たに「ソニック」という名のコンパクトカーとして販売されているクルマの前モデル、つまりアベオとしては2代目のモデルがベースのようである。

 2代目アベオのパワートレインなどを用いて、ボディをカスタムして完成したのが、ETVというわけである。

 搭載されるエンジンは、当時のアベオと同様に138psの最高出力を発揮する1.4リッター直列4気筒ターボ、もしくは最高出力135psの1.8リッター直列4気筒自然吸気エンジンが搭載されていた。

 ちなみにこのモデルを製作した、フロリダのマイク・ヴェッタース・カー・ファクトリー社では、このほかにも映画やTVに使用されるモデルを数多く制作していることで知られている。その企画力やデザインは、すでに18年間にわたってマルチメディアの世界で高く評価されているという。

 気になるボナムスが提示したエスティメートは、8000−1万2000ポンド(邦貨換算約120−180万円)。ボナムスのスタッフがこのクルマを見つけるための宇宙への出張経費どころか、アベオをカスタムした際の費用にも届かない最低落札価格であろう。このクルマにナンバーを取得することができるのなら、いかなるスーパーカーイベントに持ち込んだとしても、注目度はダントツである事は間違いないだろう。落札価格に注目である。