ゴルフは、コースや練習場へ行くときに重い道具を運ぶため、クルマが必須なスポーツです。もちろんどんなクルマでも行くことは可能ですが、ゴルフに向いているクルマがあります。そこで、実際にゴルフを趣味とする人に、クルマに求めるポイントを聞いてみました。

クルマと親和性が高いスポーツ「ゴルフ」の人気が急上昇

 新型コロナウィルスの影響は多方面に及び、スポーツイベントもまた多大な打撃を受けています。

 ゴルフも然りで、2020年は男女ともに8月半ばまでの国内ツアーはほぼ中止。8月下旬以降は無観客ながら大会自体は開催されているという状況です。

 これは、ギャラリーの密集こそ避ける必要はあるものの、広大なゴルフ場でのプレー自体は「3密」の危険が少ないという主催者側の判断。

 また多くのアマチュアプレイヤーも同じように考えているようで、2020年夏以降はコースによっては予約がとれないほど盛況だといいます。

 同じく、練習場も賑わっているようで、年々減少していた若者や初心者が増えている状況だそうです。

「密にならない趣味」としてにわかに注目を集めているゴルフですが、じつはこれほどクルマと親和性の高いスポーツはありません。

 もちろん公共交通機関を利用して行けるゴルフ場もありますが、往々にしてゴルフ場はちょっと人里離れたロケーションにあるもの。

 そして、大きくて重い道具を運ばなければならないことを考えたら、やはり移動にはクルマを利用するのが便利です。

 もちろんどんなクルマでもゴルフ場や練習場に行くことはできますが、当然ながらゴルフに向いているクルマが存在しています。

 そこで今回は、ゴルフ好きの人たちにクルマを選ぶときの条件を聞いてみました。

●ラゲッジスペースが広いこと

 ゴルフクラブを入れるゴルフバッグは、想像以上に大きいものです。直径9インチ(約23cm)程度の円柱に大小たくさんのサイドポケットがついた形状で、もっとも長いクラブ(ドライバー)を収めるため、ゴルフバッグの高さは1.3m前後になります。

 ゴルフバッグは大きいといっても、1、2個であればたいていのクルマに載せることはできます。

 しかし、ゴルフ場へは3、4人の乗り合いで行くことも多く、その場合、リアシートを倒してゴルフバッグを積むことはできません。

 人が乗れてトランクやラゲッジルームに3、4個のゴルフバッグが乗せられる積載能力が求められるというわけです。

「以前に乗っていた旧型のスバル『レガシィB4』は、長尺ドライバーを抜くなど工夫してなんとか4つ載せていたのですが、なんとなく見に行ったトヨタのディーラーで営業マンが『マークXのトランクなら横向きに4つ積めます』というので即決しました」(40代・男性)

 営業マンのセールストークのひとつになるほど、トランクやラゲッジスペースの積載能力は重要なポイントなのです。

 ステーションワゴンやSUVなどは積載量で有利なイメージがありますが、ゴルフバッグを多く載せるには横向きに積めるかどうかがカギ。ホイールハウス部分の張り出しが大きく、斜めや縦向きでしか積載できない車種も少なくありません。

 また積めたとしてもトノカバーを外して高く積み上げなければならないクルマもあり、後方視界の確保という安全のためにも出来るだけ避けたほうが無難でしょう。

 ちなみに、セダンでは王道のトヨタ「クラウン」やホンダ「アコード」、ステーションワゴンではスバル「レヴォーグ」などは、ゴルフバッグが4つ収まります。

 SUVではトヨタ「ハリアー」が3つしか積めないのに対し、ホンダ「CR-V」は4つ積載することが可能です(ゴルフバッグの種類により積載できない場合があります)。

●快適であること

 自然豊かな立地なことが多いゴルフ場への往復は、都市部からだとちょっとした遠出になることがあります。

 しかしドライブがメインではなく、主役はあくまでもゴルフ。到着までの移動に疲れてプレーに影響があっては本末転倒ですし、プレー後の疲れた身体でロングドライブをして帰るのも辛いものがあります。

 そのため、求められるのは快適なクルマということになりますが、ひとくちに快適といってもさまざまな要素があります。

 たとえば乗り心地の良さもそのひとつですが、人によって評価が難しい面があるのも事実です。

 ゴルフを趣味とする30代・男性が、「足回りがソフトならば乗り心地が良くて快適だと思っていたのですが、ひとりで乗っているときと4人+人数分のゴルフバッグのときでは全然違います」というように、乗り心地は状況によって変化しがちです。

 しかし、乗り心地の違いを販売店の試乗レベルで判断するのはなかなか厳しいところです。

 そこで、乗車人数や積載重量に応じてサスペンションのセッティングを調整する電子制御式エアサスペンションを備えるクルマを選ぶのもひとつの手で、レクサス「LS」などが選択肢に挙げられます。

 またシートも快適さに直結する部分で、シートの良し悪しは明確に疲労度合いに現れます。

 シートについては椅子文化の長い欧州車に一日の長がいまだにあり、なかでも評価が高いのはフランス車です。

 オプションで高機能なシート「ファーストクラスパッケージ」を選べるプジョー「5008」などは面白いチョイスでしょう。

 ちなみに国産車ではマツダの「CX-30」のシートが良いと評判ですが、ゴルフバッグは後席を倒さないと4つ積めないのが残念なところです。

 そのほかの快適さについては音を気にする人も多く、「走行中にゴルフ道具から発生する音が不快で、静粛性のために荷室と客室が独立しているセダンを選ぶ」という意見も見られました。

見栄えも大事! ゴルフにふさわしいクルマとは?

●運転が楽なこと

 快適さに近い条件となりますが、運転そのものが楽なこともゴルフに行くときのクルマとしては大切なことです。

 そもそも「運転が楽」というのはどういうことなのでしょうか。

「やはりコーナリングがいいクルマ、意のままに走ってくれるクルマは運転していてストレスがなくて良いですね」(40代・男性)

「パワーがないのは疲れます。ちょっと踏んで加速してくれると気持ちの面でも楽です」(50代・男性)

 人によって「運転が楽」の定義はさまざまですが、ハンドリング重視派もいれば、動力性能重視派も少なくありません。

 ゴルフバッグ4つ積むことを諦めれば、日産「GT-R」などのスポーツカーはハンドリング、パワー、引き締まった乗り心地にシートの良さと高得点なのですが、総合的に考えるとお勧めは同じ日産の「スカイライン」あたりでしょう。

 スカイラインは走行性能に加え、運転支援機能が充実していることも大きなポイントです。ハイブリッド車にはハンズフリー走行が可能な「プロパイロット2.0」が備わり、高速道路の運転をずいぶん楽にしてくれます。

●見栄えが良いこと

 ゴルフが紳士淑女のスポーツとされていることに加え、高額な会員制コースの存在や道具代、プレー料金など決して安価ではなく、プレーヤーには富裕層が多いとされています。

 実際、ゴルフ場の駐車場で高級車が多いのは事実です。

 もちろんそうした理由も少なからずありますが、道具や人を運ぶのにそれなりに大きいサイズのクルマが必要なため、必然的に車格も上がっているという面もあるでしょう。

 近年は実用的なミニバンやSUVも増えきていますが、それでもちょっと良いクルマでゴルフ場に乗り付けたいと思う気持ちも分かります。

「練習場でも高級車が多いので、あまり見劣りするクルマは避けたいです。本当は輸入車が欲しいのですが、トランクの広さでトヨタ『クラウンマジェスタ』に乗っています」と、トヨタの高級車を選んだ理由を教えてくれたゴルフ好き(50代・男性)もいました。

 レクサスやトヨタの大型セダンは、どのクルマもトランクにゴルフバッグ4つが収まりますが、輸入車は車格的には同等以上でもホイールハウスの張り出しが邪魔をして3つが限界のクルマが大半を占めているのは意外な盲点だといえます。

 ちなみに、ゴルフプレイヤーに人気の高いメルセデス・ベンツ「Eクラス」は4つ載せられますが、ライバルとなるBMW「5シリーズ」は3つが限界のようです。

●エコであること

 世の中がますますエコロジー&エコノミーの方向にむかう一方で、ゴルフ場開発は環境破壊をしているといわれることがあります。

 実際には厳しい規制に従いながら工事をおこなっているため環境への影響は最小限とされていますが、それでもゴルフ嫌いの人から白い眼を向けられることはゼロとはいいきれません。

 そうしたことからか、「少しでも環境への負荷の少ないクルマがいいです」(30代・男性)という声も少なからずあがっています。

 もっとも、「長距離を走るので燃費が良い方が安く済むほうがいいっていう部分もあります(同上)」と、そういう意味でも環境に優しいクルマが求められているようです。

 エコなクルマといえばハイブリッド車や電気自動車が候補にあがりますが、大きなバッテリーが必要なためトランクが狭い傾向にあります。

 トヨタが誇るハイブリッドモデル「プリウス」も燃料電池車「MIRAI」もゴルフバッグは3つまでで、日産のピュアEV「リーフ」は後席を倒さなければ2つがやっとという広さになっています。

 そこでお勧めしたいのが、「ゴルフバッグを4つ積めること」を開発目標のひとつにしていたというトヨタ「プリウスα」と、ハイブリッドながら519リットル(VDA方式)ものトランク容量を確保したホンダ「インサイト」です。

 さまざまなハイブリッドモデルが販売されるなか両車はその代表的な存在といえ、ゴルフ嫌い派も納得のクリーンなイメージのクルマなのではないでしょうか。

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 ゴルファーの高齢化が進むとともに新規参入者が少なく、ゴルフ人口は先細りの傾向にありました。ゴルフ産業は行く末が心配されていましたが、新型コロナウィルスの流行がプラスに働き、ゴルフに入門する若者が増えているそうです。

 これまでゴルフ人気は団塊の世代がけん引してきたこともあり、ゴルフ場や練習場で見かけるクルマも同世代の好みが強く表れていましたが、若者が参入することで駐車場に停まっているクルマのラインナップも大きく変わるのではないでしょうか。