かつてのミニバンといえば、背が低く流線型のデザインが主流でした。しかし、最近では、背が高くスクエアなデザインが主流になっています。なぜ、背が高くスクエアなデザインが多くなっているのでしょうか。

なぜミニバンは背が高く、スクエアなのが人気なのでしょうか。

 約30年以上前に確立されたミニバンジャンル。当時は、背が低く流線型のデザインが主流でしたが、最近では背が高くスクエアなデザインが主流になっています。
 
 なぜ、背が高くてスクエアなデザインが多くなっているのでしょうか。

 かつて、2000年代くらいまでのミニバンが全高が低く流線型のデザインを採用していたのは、ミニバンというジャンルが確立された30年以上前は基本的にセダンから派生したモデルが多かったことや、ユーザーのニーズがセダンのような全高の低さを求めていたことが要因といえます。
 
 しかし、最近のミニバンは徐々に全高が高くなるにつれ、角ばったスクエアスタイルが定番化していきます。

 ミドルサイズとなる、トヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」やホンダ「ステップワゴン」、日産「セレナ」など、このサイズのミニバンは全高1800mm以上でスクエアスタイルが主流です。

 また、ラージサイズのミニバンで2020年もっとも販売台数が多かったトヨタ「アルファード」の全高は1930mm-1950mmと、2mに届くほどの高さを誇ります。

 アルファードのスタイルについて、トヨタの担当者は以前、次のように説明していました。

「現行アルファードは、プラットフォームを刷新した際に全高や床高を高く設定しています。理由はお客さまのニーズによるものです。

 アルファードのような高額のミニバンには、立派な外観も求められます。そこで全高を1900mm以上に設定したいと考えました。

 また、シートに座ったときの見晴らしも大切で、床の位置を下げたら着座位置も低くなり、見晴らしの良さは得られなくなります。

 そのため、プラットフォームを刷新時には低床設計を採用しませんでした」

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 また、ユーザーからの反響としてトヨタの販売店では次のように話しています。

「ミニバンは以前から多人数乗車と室内の使い勝手が重視されていました。

 やはり、全高が高くスクエアなほうが室内での移動や着替えがしやすいということが使い勝手の面で支持されるのかと思います」

コンパクトミニバンはなぜ全高やや低め?

 一方で最近では、コンパクトミニバンとして、トヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」などは、全高1700mm前後かつ流線的なデザインとなっています。
 
 2015年にシエンタが発表された際、トヨタは次のように説明していました。

 「シエンタは従来の四角いハコ型というミニバンの概念を打ち破るスポーティなエクステリア、機能性と質感を両立させたインテリアを採用しました。

 また、低床フラットフロアによる高効率パッケージが、コンパクトでありながら、3列目までゆとりある室内空間と、スライドドアの乗り込み高さを330mm(2WD車)にすることで誰にでも優しい乗降性を実現しています。

 さらに、後席にいくほど高くなる乗員配置(シアターレイアウト)にしたことや、低床を感じさせるリヤドア下部の開口ラインにより、使い勝手のよい室内の特徴を表現しました」

 一方のフリードについて、ホンダは次のように説明しています。

「フリードは色々な用途に応じて思い通りに使えるコンパクトミニバンとして開発されました。

 多彩なシートアレンジが可能な広い室内空間を確保しているほか、2列シート車の『フリード+』では、荷室を超低床化することで使い勝手を向上させ、車中泊も可能なフラット空間と、床下収納を同時に実現しました」

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 このように、同じミニバンであってもミドルサイズ以上では上方向の空間や余裕を重視しています。

 一方のコンパクトミニバンでは乗降性を考慮した低床化を実現するなど、同じミニバンでも異なることがわかります。

 この違いは、それぞれのターゲット層の違いともいえます。

 コンパクトミニバンは100万円台から、ミドルミニバンは200万円台から、ラージミニバンは300万円台からとなり、低価格帯のモデルは幅広いユーザーが使いやすく、高価格帯のモデルは余裕を求めるなど、異なるユーザーのニーズに対応したことが関係しているようです。

 そのため、ひと言でミニバンといってもそのニーズは大きく異なり、昨今でアルファードやミドルミニバンが売れているということは、あらゆる意味で余裕を求める人が多いといえるのかもしれません。