2020年の年間・年度でもっとも売れた登録車はトヨタ「ヤリス」となりましたが、実は「ヤリス」「ヤリスクロス」「GRヤリス」の3台を合算した台数となります。では、どのモデルが稼ぎ頭となっているのでしょうか。

ヤリスシリーズの強さはドコに? 稼ぎ頭はどのモデル?

 2020年は、トヨタの「ヤリスシリーズ」が注目を集めた年となりました。同年2月にコンパクトハッチバック「ヤリス」、8月にクロスオーバーSUV「ヤリスクロス」、9月にスポーツモデル「GRヤリス」が発売されました。

 登録車の月間登録台数を公表している日本自動車販売協会連合会(自販連)では、ブランド通称名としてヤリス・ヤリスクロス・GRヤリスを合算して「ヤリス」として集計しています。

 自販連が公表するヤリスの登録台数は、2020年(2020年1月から12月)が15万1766台、2020年度(2020年4月から2021年3月)が20万2652台となっています。

 ヤリスシリーズは2020年の年間・年度のどちらにおいてももっとも売れた登録車となりましたが、この台数のうち3タイプのなかで、どのモデルが一番売れているのでしょうか。

 トヨタの資料(一部四捨五入)によると、年間台数はヤリスが11万5300台、ヤリスクロスが3万2810台、GRヤリスが3670台の合計15万1780台。

 2020年度では、ヤリスが13万1110台、ヤリスクロスが6万4550台、GRヤリスが7000台となり、先行発売のヤリスに続き、途中から発売されたヤリスクロスも台数を伸ばしているようです。

 ヤリスは「ヴィッツ」からグローバル名の「ヤリス」に改めて登場したコンパクトカーです。

 トヨタのGA-Bプラットフォームを採用し、ボディサイズは、全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm。

 パワートレインは、1リッター/1.5リッターのガソリン車と1.5リッターのハイブリッドをラインナップしていますが、特筆すべきはハイブリッド車の燃費性能で世界トップクラスとなる36.0km/L(WLTCモード)を誇ります。

 また、2021年3月2日には第58回欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど日本のみならず世界で高い人気誇っています。

 次に、ヤリスクロスはヤリスと同じプラットフォームを用いており、ボディサイズは全長4180mm×全幅1765mm×全高1560mmとなるクロスオーバーSUVです。

 パワートレインは、ヤリスと同じ1.5リッターのガソリン車/ハイブリッド車を設定。

 ヤリスクロスは都市型クロスオーバーSUVながら優れた四駆技術を搭載しており、、路面状況に合わせて走行モードを選択出来る「マルチテレインセレクト(ガソリン車)」や、駆動配分を適切に制御する「ダイナミックトルクコントロール4WD(ガソリン車)」を採用することで高いオフロード性能を発揮します。
 
 そして、GRヤリスは、ラリーへの参戦で得たノウハウを市販車に反映させたスポーツモデルで、3ドアハッチバックのみのラインナップとなっています。

 パワートレインは、1.6リッターガソリンターボ車と1.5リッターガソリン車の2種類です。

 1.6リッターターボ車には、6速MTとスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を組み合わせていることが特徴です。

 ボディサイズは、全長3995mm×全幅1805mm×全高1455mmと、低くワイドなスタイリングでヤリス3兄弟のなかでもっとも幅が広くなっています。モータースポーツで培った技術を取り入れたメカニズムや専用パーツを採用していることもGRヤリスならではのポイントです。

 それぞれの販売動向について、首都圏の販売店スタッフは次のように話しています。

「やはり、手軽な価格帯とサイズのヤリスが人気です。個人・法人問わず安定して売れています。

 また、ターゲット層も異なっており、ヤリスはパーソナル需要向けとなり、ヤリスクロスはファミリー需要に向けとなっています。

 SUVが人気の現在ではお客さまからの関心は高く、とくにヤリスクロスのハイブリッド車を検討される人が多い印象です。

 また、GRヤリスに関してはスポーツ走行が好きな人という限られたターゲット層という割にはお問合せが多いほうだと思います」

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 異なる個性をもったヤリスシリーズですが、それぞれのターゲット層に対して上手に訴求出来ているのが、売れる要因といえます。

シリーズと兄弟車、どのような違いがある?

 ヤリスシリーズは、同じGA-Bプラットフォームを用いているものの、異なるボディタイプを設定しています。

 同じようにシリーズ展開しているのは、「カローラ」シリーズが挙げられ国内では「カローラ(セダン)」、「カローラツーリング(ワゴン)」、「カローラスポーツ(ハッチバック)」をラインナップ。

 また、ビジネスユースとして、先代モデルにあたる「カローラアクシオ(セダン)」と「カローラフィールダー(ワゴン)」も併売されており、自販連でも5モデルを合算して公表しています。

 一方で、国内市場には、プラットフォーム、ボディタイプ、装備などを共有して、外観デザインだけを変更している通称「兄弟車」といわれるモデルが存在。

 2021年4月現在、トヨタ車では「アルファード/ヴェルファイア」、「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」があります。

 かつて販売されていたものの現在ラインナップから消滅してしまった兄弟車には、「プレミオ/アリオン」、「ポルテ/スペイド」、「ルーミー/タンク(ルーミーに1本化)」などが存在。

 これらは、トヨタが展開する販売チャネル(トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店)でチャネル専売車として展開されていました。

 しかし、2020年5月から全店舗での併売化などにより、専売車制度を廃止し、国内ラインナップの整理を図っています。

 車種名が異なる兄弟車戦略についてトヨタ販売店の担当者は、次のように話します。

「トヨタの兄弟車は、現在も販売を継続しているモデルもありますが、基本的にはなんらかの整理がおこなわれると聞いており、すでに一部グレードの廃止などがおこなわれています」

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 このように、トヨタの国内ラインナップではヤリスやカローラといったシリーズで展開されるモデルと、かつての専売車の名残といえる兄弟車が存在します。

 しかし、兄弟車に関しては将来的にさらに減少していくといい、今後のトヨタの販売戦略から目が離せません。