上海モーターショー2021で、トヨタから「クラウンクルーガー」という名の新型SUVが発表されました。日本では2020年に「次期クラウンはSUV化する」という報道が話題になりましたが、これは次期クラウンを示唆するものなのでしょうか。

中国で発表された「クラウンクルーガー」の正体は…?

 2021年4月19日に開幕した「上海モーターショー2021」において、トヨタは新型SUV「クラウンクルーガー」を世界初公開しました。
 
「クラウン」はいうまでもなくトヨタを代表する高級車の名であり、「クルーガー」もまた、日本では2007年まで販売されていたトヨタのSUVの名です。
 
 なぜこの2台の車名が組み合わされるのでしょうか。

 この2つの名が組み合わされることで、プレミアムなSUVであることは容易に想像できますが、気になるのは次期クラウンとの関係です。

 2020年11月に「次期クラウンはSUV化する」という報道が話題になりましたが、このクラウンクルーガーがそれにあたるのでしょうか。

 しかし、結論からいえばその可能性は低そうです。今回発表されたクラウンクルーガーは、北米では「ハイランダー XSE」として販売されているものであり、それほど目新しいものではありません。そのため、SUV化が噂される次期クラウンとは別物と考えたほうが良いでしょう。

 今回発表されたクラウンクルーガーは、全長5015mm×全幅1930mm×全高1750mm、ホイールベースは2850mmとフルサイズSUVに迫る堂々たるボディサイズを持っているといいます。

 パワートレインには、2.5リッターハイブリッドに駆動方式はE-Fourシステムを採用。

 エクステリアデザインには、大型のメッシュデザインのフロントグリルが採用され、押し出しの強いスポーティな印象を強調。

 フロントグリル下部は「カムリ」などに見られるワイドなものとなっています。また、フロントグリルには大型のクラウンエンブレムがあしらわれています。

 インテリアでは、大型のフロントディスプレイが目を引く一方、その周囲を取り囲む質感の高いインテリアがプレミアム性を演出。

 堂々たるボディサイズは室内空間の広さにも貢献しており、大人4人が十分にリラックスして乗車できる空間となっています。ちなみに、ステアリングにもクラウンエンブレムが光っています。

なぜ、「クラウン」の名前を冠するのか?

 中国では、外資系自動車メーカーは、中国系自動車メーカーとの合弁会社を設立することが原則として求められています。

 トヨタの場合、第一汽車との合弁である「一汽トヨタ」と広州汽車との合弁である「広汽トヨタ」がそれにあたります。

 今回の場合、クラウンクルーガーの実質的な海外名である「ハイランダー」の名は、広汽トヨタ向けのモデルで使用されているため、一汽トヨタ向けのモデルにクラウンクルーガーの名が冠されることになりました。

 それぞれの合弁企業で商圏が重なることもあるため、同じ車種でも装備や仕様を変更したり、名称を変更したりすることが多く、今回のクラウンクルーガーについてもそうした事情があったものと推測されます。

 一汽トヨタ向けのモデルにクラウンの名が使用された背景について、中国自動車事情に詳しい専門家は次のように話します。

「中国最初の自動車メーカーである第一汽車は、北京などを中心とした内陸部に強いといわれています。

 内陸部の中国人は、上海などの沿岸部や広州などの南方の中国人に比べて、保守的な傾向があるとされることから、『クラウン』のような歴史と伝統のある名称が好まれるのだと思います。

 第一汽車はかつて中国にてクラウンの生産・販売をおこなっていましたが、それも理由のひとつかもしれません」

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 クラウンクルーガーは、次期クラウンとの直接的な関係性は薄いようですが、堂々たるサイズに、プレミアムな内外装を備えたその姿は、クラウンの将来を示唆するヒントになるかもしれません。