新車で販売されるモデルの98%が2ペダルであったり、AT限定免許の取得者が増加するなど、昨今のMT車を取り巻く環境は厳しくなる一方です。そんななか、MT車を好む人はどのようなところが気に入っているのでしょうか。

激減のMT車… でも運転できる人は意外にも多い!?

 新車で販売されるクルマの98%を2ペダルで運転できるAT車やCVT車が占めるなか、絶滅寸前ともいわれているのがMT車です。

 昨今では、新たに運転免許を取得する人の多くが「AT限定免許」を選択。都市部においては7割もの人がAT限定免許を取得しており、MT車も運転できる「普通免許」を取得する人は減少傾向です。

 また、かつてはスポーツカーといえばMTのイメージがありましたが、いまでは国産スポーツカーを代表するスポーツカーである日産「GT-R」やホンダ「NSX」も2ペダルになるなど、MT車離れが進んでいます。

 そんなMT車不遇の時代ですが、かつてはすべてのクルマがMT車でした。AT限定免許が登場した1991年以前に運転免許を取得した全員がMT車を運転できたわけです。

 くるまのニュースではアンケートを実施し、運転免許証の取得状況やMT車の運転頻度などについて調査しました。

 取得した運転免許の種類について聞いたところ、「普通免許」が75.8%、「AT限定免許」が5.8%と、回答者の4分の3が普通免許を取得しており、AT限定免許は少数派という結果になっています。

 新規で運転免許を取得する人ではMT車も運転できる普通免許の取得者は減少しているものの、今回の調査においてはすでに運転免許を保有している人は普通免許を取得している人が多いということがわかりました。

 それを踏まえて、普通免許取得者に「MT車を運転する頻度」について聞いたところ、「年に2〜3回(ほとんど運転しない)」が60.4%、「ほぼ毎日」が28.6%、「月に2〜3回」が11%となり、普通免許を取得していてもMT車を運転する機会が少ないという人が大半を占めています。

 さらに、「MT車の運転に自信がありますか?」という質問では、「自信がある」が70.3%、「自信がない」が29.7%となりました。

MT車のメリットは運転が楽しいこと! デメリットは?

 MT車に関するエピソードについても聞いてみました。まずは、MT車の良いところとは、どんなことなのでしょうか。

「運転していて楽しい」「車を操る感覚が好き」「免許取得以来ずっとMT車乗り継いでいる」など、運転の楽しさをMT車のメリットとしてあげる人が多かったです。

「仕事でトラックに乗るようになってからマツダのMT車を買った」「仕事で半強制的にMTを運転せざるをえない状況になったが、いつの間にかMTを楽しく感じるようになっていた」など、仕事でMT車に乗ってその魅力にハマったという人もいました。

 MT車というとスポーツカーや高性能車のイメージが強く、アンケートでもホンダ「シビック タイプR(FD2)」や「ミニクーパー」に乗っている回答者がいるなか、意外にも多かったのが商用車です。

「田舎だと家族が軽トラに乗っていたりするので都会よりはMT車に乗る機会が多い」「免許を取って最初に運転したMT車はディーゼル四駆のハイエース」「消防団に所属していた際にポンプ車の運転をして面白かった」など、働くクルマはMT車が主流となっています。

 ほかにもMT車のメリットとして「押しがけができた」ことをあげる人がいました。

 では、MT車のデメリットはどうでしょうか。「MT車あるある」ともいえるエピソードをあげる回答者が続出しています。

「軽トラのMT車を極たまに運転すると、はじめはエンストしてしまう」「配達用バンでエンストして発進できず、信号を1回見送ってしまった」などのエンストや、「坂道発進が苦手で、回転数を上げすぎてスキール音をさせながらスタートした」という坂道発進といった発進に関する問題。

 また、「クラッチを踏まないで一生懸命ギアを入れようとたことがある」「半クラが難しい」といったクラッチ操作の問題など、エンストをしないように操作するという部分で問題が起きるケースが多いようです。

 AT車はシフトをDに入れてブレーキを離せばアクセルを踏まなくても前に進みますが、MT車はクラッチを踏んで(切って)シフトを1速に入れ、アクセルを踏んで回転数を上げながらクラッチを離す(つなぐ)という操作が必要になり、とくに発進時はもっとも緊張する瞬間だといえます。

 逆にMT車に乗り慣れている人がたまにAT車に乗り、「AT車には存在しないクラッチを踏んでしまうことがある」という人もいました。

 ほかにも、「渋滞中に左足がつってクラッチが踏めなくなったことがある」「踏切が怖い」「妻がAT限定なのでMT車が買えない」「入社した会社にてMTを求められたため慌ててAT限定を解除。その後数年乗る機会がなく、出張で初めての公道を走り、ギアを1速から上げられなかった」といったコメントも見受けられました。

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 MT車が減っていることに間違いはありませんが、トヨタやマツダなど、AT全盛の現在において、MT車を積極的に設定するメーカーもあります。

 トヨタは「iMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)」と呼ばれるエンストしづらい新機構を開発し、「ヤリス」や「カローラシリーズ」「C-HR」といったモデルに搭載。

 マツダは、「CX-8」と「MX-30」、OEM車以外のモデルにMT車を設定するなど、自らの手足で操る楽しさを提供しています。

 ほかにも坂道発進時に後ろへ下がらないように数秒ブレーキをホールドする「ヒルスタートアシスト」や、エンストしてもクラッチを切ればエンジンが再始動する機能、シフトチェンジ時に回転数を自動で合わせてくれる「ブリッピング機能」などを備えたMT車もあり、かつてに比べるとずいぶん乗りやすくなっているようです。

 クルマの電動化が進むとMT車は完全に消えてしまうでしょう。シフトチェンジが面倒だったり渋滞が辛かったりということもありますが、それもMT車でしか味わえないことです。

 いましか乗れないMT車だからこそ、あえて乗ってみるのも良いのではないでしょうか。