今なお衰えるどころかますます人気が高まっているのがSUVで、新型車も続々と登場しています。一方で、これまで販売されたSUVのなかには人気とならずに消えていったモデルも数多く存在。そこで、一代限りで消えてしまった個性的なSUVを、3車種ピックアップして紹介します。

個性が強すぎたのか人気とならなかったSUVを振り返る

 2021年4月19日に開幕した「上海モーターショー2021」では、世界中のメーカーから新型SUVのプロトタイプやコンセプトカーが数多く出展されました。

 また、直近では4月22日にホンダ新型「ヴェゼル」が発売されるなど、SUV人気はますます高まっている状況です。

 日本では、本格的なクロカン車が爆発的にヒットした1990年代初頭の「RVブーム」の頃や、トヨタ「RAV4」、ホンダ「CR-V」といった現在のSUVに通じるモデルの登場以降、さまざまなタイプのモデルが販売されました。

 そうしたSUVのなかには、人気とならずに消えていったモデルも数多く存在。そこで、一代限りで消えてしまった個性的なSUVを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「MDX」

 ホンダは初代CR-Vが日本でヒットしたことを受け、海外でもSUVの販売を開始。2001年には北米のニーズに合った3列シートの大型SUV、アキュラ初代「MDX」を発売しました。

 MDXは北米仕様の「オデッセイ(日本名ラグレイト)」のシャシをベースに開発され、日本では2003年に輸入車として販売。

 外観は動物のサイをモチーフにしたデザインで力強さを表現しており、北米ではミドルサイズSUVとして販売されましたが、ボディサイズは全長4790mm×全幅1955mm×全高1820mmと巨大です。

 搭載されたエンジンは最高出力260馬力の3.5リッターV型6気筒SOHC VTECのみで、トランスミッションは5速ATが組み合わされ、駆動方式はフルタイム式とパートタイム式の両方の長所を併せ持つ、ホンダ独自の4WDシステム「VTM-4」を採用。

 MDXはクルージングに最適な余裕ある走りが特徴のSUVでしたが、さすがにボディが大きすぎて日本の道路事情には合わず、とくに駐車場や市街地ではかなり気を使うサイズだったことから販売は好調とはいえませんでした。

 そのため、2006年に国内販売を終了。北米では引き続き継続して販売され、2020年12月に4代目が発売されました。

●マツダ「CX-7」

 現在、マツダの主力車種となっているのが「CXシリーズ」で、コンパクトSUVの「CX-3」からフラッグシップで3列シートSUVの「CX-8」まで、あらゆるセグメントのモデルを展開しています。

 このマツダのSUVラインナップには、かつて同社のクロスオーバーSUVの先駆け的存在だった「CX-7」がありました。

 CX-7は2007年に発売され、コンセプトはスポーツカーとSUVを融合させた「スポーツクロスオーバーSUV」です。

 外観は現在のクーペSUVに通じるフォルムをいち早く取り入れ、大きく傾斜させたフロントウインドウと低く構えたキャビンによる、抑揚のある前後フェンダーなどスポーティなデザインを採用。

 搭載されたエンジンは238馬力とパワフルな2.3リッター直列4気筒直噴ターボで、トランスミッションは6速ATのみです。

 もともとは北米市場での販売をメインに開発されたため、ボディサイズは全長4680mm×全幅1870mm×全高1645mmと当時としてはかなりの大柄で、室内も余裕ある空間を実現しています。

 しかし、この大きなボディと比較的高額なクルマだったことから販売は低迷し、国内では2011年に一代限りで生産を終了しました。

 その後、2012年に実質的な後継車として初代「CX-5」が発売されると、一転してヒット作となります。

アグレッシブなデザインの都会派クロカン車とは?

●日産「ミストラル」

 前述のとおり、日本では1990年代の初頭にRVブームが起こりました。「RV」はレクリエーショナル・ビークルの略で、クロカン車やステーションワゴン、ミニバンが該当します。

 なかでもクロカン車は今のSUV人気以上に大ヒットし、各メーカーが次々とクロカン車を発売したほどです。

 そうした背景から日産は「サファリ」「ダットサントラック」「テラノ」を展開して、どれもヒットを記録。次の一手として1994年に発売されたのが「ミストラル」です。

 ミストラルは欧州向けに開発されたクロカン車で、スペイン工場で生産されて日本では輸入車として販売。

 車体の構成はテラノと同じく9代目ダットサントラックのラダーフレームに、ボディを架装しています。バリエーションは当初ロングボディ3列シートの4ドアのみの設定でしたが、後に2ドアのショートボディが追加されました。

 外観は質実剛健な印象のテラノに対して都会的なデザインで、足まわりのセッティングも欧州での使用を考慮してオンロード走行を重視するなど、直進安定性や乗り心地の良さを追求したコンセプトです。

 国内仕様は2.7リッター直列4気筒OHVディーゼルターボエンジンと4速ATの組み合わせのみと、やはり悪路走破性よりもイージードライブに特化していました。

 1997年のマイナーチェンジではフロントフェイスが一新され、よりアグレッシブなデザインを採用。しかし、テラノのシンプルなデザインの方が好評だったためか人気とならず、さらにRVブームが終焉を迎えたこともあり、ミストラルは1999年に一代限りで生産を終了しました。

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 今回紹介した3車種は、どれも海外市場をメインに開発されたモデルです。

 現在、国内市場で販売されているモデルはグローバルで販売するのが当然のようになっていますが、この3車種の場合は国内のニーズや使い勝手を考慮したというよりも、「海外用につくったけどせっかくだから日本でも販売しよう」というような意図が感じられます。

 しかし、むしろそれが個性的な印象を醸しているのかもしれません。