10年という年月を区切りとして、その間に世の中が大きく変化する「十年一昔」という言葉がありますが、近年ではその半分の5年でも世の中は大きく変化するようです。では、自動車産業ではどのような変化があったのでしょうか。

たかが5年、されど5年。いまや5年という月日は凄い変化をもたらしています。

 5年という月日について、長いと思う人もいれば、短いと思う人がいるなど時間の感覚は人ぞれぞれです。

 しかし工業製品、とくに自動車産業での5年は目まぐるしく変化しています。では、現在と5年前ではどのような変化があったのでしょうか。

 最初に国内の新車販売市場での変化を見ていきます。

 2020年の登録車年間販売台数トップ5は、1位トヨタ「ヤリス(15万1766台)」、2位トヨタ「ライズ(12万6038台)」、3位トヨタ「カローラ(11万8276台)」、4位ホンダ「フィット(9万8210台)」、5位トヨタ「アルファード(9万748台)」となっています。

 5年前の2015年の同台数は、1位トヨタ「アクア(21万5525台)」、2位トヨタ「プリウス(12万7403台)」、3位ホンダ「フィット(11万9846台)」、4位「カローラ(10万9029台)」、5位日産「ノート(9万7995台)」です。

 2020年と2015年で大きく異なるのは、2020年は2月中旬から新型コロナウイルス感染症が流行したことで、自動車産業のみならずさまざまな分野に影響を及ぼしました。

 その結果、2020年前半は緊急事態宣言などによる影響で新車販売台数が大きく落ち込んでいます。

 なお、個々の車種で見ると2015年の1位となっているプリウスはほぼ先代モデルの台数となり、この年の12月に現行プリウスが発売されています。

 フィットは2020年2月に現行モデルを発売。カローラは2019年9月に現行モデル(セダン/ワゴン)を発売し、先代モデルをビジネス向けに併売する戦略を取っています。

 そのほか、ライズはダイハツ「ロッキー」のOEM車として2019年11月に発売され、直後から爆発的な人気を博した結果、現在ではトヨタを代表するSUVとなりました。

 ノートは、2020年12月に現行モデルに変わり、2021年の販売動向に注目が集まります。

 このように、新車市場では5年の間にさまざまな変化が起きています。そのほか、自動車産業全体ではどのような変化があったのでしょうか。

 2015年7月にはホンダが2008年以来7年ぶりにF1に復帰。パワーユニットをマクラーレンに供給したことで「マクラーレン・ホンダ」が復活したことも話題となりましたが、2020年10月には「2021年をもってF1から撤退する」と表明したことでホンダのF1史は幕を閉じることになります。

 また、2015年9月にはフォルクスワーゲンによる排出ガス不正が発覚。これにより、日本市場では該当車種はなかったものの、ディーゼル車に対する印象が変化した出来事でした。

 これまで、日本のみならず欧州などは各メーカーがディーゼル車の開発や投入など注力していましたが、この事案以降ではユーザーからの風向きや環境問題に対する意識の変化が加速しています。

 そして、5年後となる2020年、2021年には、電動化の動きが進み電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に移行する流れが高まりました。

 その結果、最近では世界各国のメーカーからもEVやFCVが相次いで市場投入されています。

 現段階では、電池性能やインフラ面で課題が多いものの、ガソリン車からディーゼル車、そしてEVやFCVをはじめとする電動車へと自動車産業の流れが変わっています。

 2015年時点では、日本ではプリウスやアクアの影響もあり、ハイブリッド車が主流となっていましたが、欧州などはそれほどまで電動化は進んでいませんでした。5年で大きく世界の自動車産業が変わったといえそうです。