2021年4月22日に発表、23日に発売されたホンダ新型「ヴェゼル」。7年ぶりのフルモデルチェンジで2代目へと進化したモデルだが、いま日本だけでなく世界中で人気のあるBセグメントSUVと呼ばれるジャンルになる。そんな新型ヴェセルのライバルとなる輸入車は何になるのか。比較してみた。

世界的にヒットしたヴェゼルが7年ぶりにフルモデルチェンジ

 2021年4月にホンダから登場した新型「ヴェゼル」。近年、世界的にSUVがブームになっているが、そうした流れのなかでも日本では、とくにコンパクトなモデルへの注目度が高まっている。

 今回はそんなヴェゼルと、そのライバルとなる輸入コンパクトSUVを紹介しよう。

 ヴェゼルは「フィット」と同じセンタータンクレイアウトを採用するBセグメントSUVだ。

 初代が2013年に登場して世界的なヒットモデルとなり、その後、数多くのライバルが誕生している。現在の世界的なコンパクトSUVブームの盛り上がりに大きく貢献してきたモデルのひとつといえよう。

 今回登場した第2世代も、やはり先代と同様にセンタータンクレイアウトを踏襲している。ただし、寸法は全長4330mm×全幅1790mm×全高1590mmと、Bセグメントとしては大柄であり、Cセグメントに肉薄している。この寸法自体が、新型ヴェゼルの特徴のひとつとなる。

 パワートレインは、1.5リッター直列4気筒自然吸気ガソリンエンジンと、1.5リッターエンジンを使う「e:HEV」と呼ぶハイブリッドの2種類。

 エンジンの出力は最高出力118馬力・最大トルク142Nmで、WLTCモード燃費は最高17.0km/L。ハイブリッドは、ほぼ全域をモーター駆動で賄い、高速走行の一部でエンジンパワーも使うという方式だ。モーターは最高出力130馬力・最大トルク253Nmを誇る。

 ハイブリッドのトルク感は、2.5リッターエンジンに相当するとイメージすればいいだろう。また、特別なのはエンジン車だけでなく、ハイブリッドもプロペラシャフトを使う機械式の4WDを用意していること。最近の流行である後輪をモーター駆動する方式ではなく、オーソドックスな方式を採用したのだ。

 機械式4WDは燃費性能的には不利だが、悪条件下の信頼性という点では上回る。日本だけではなく、グローバルカーとして、過酷な状況に対応できる有利さを選んだのだろう。

 安全安心のための先進運転支援システム「ホンダ・センシング」は、昨年にフルモデルチェンジしたフィットと同様の最新世代のシステムとなっている。広角カメラとソナーを使うシステムで、衝突被害軽減自動ブレーキをはじめ、ACC(渋滞追従機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール)をはじめ、ステアリングアシスト機能や前後の誤発進抑制機能などの機能が揃っている。

 新型ヴェゼルの車両価格は、モノグレードのガソリンエンジン車が227万9200円(FF。消費税込、以下同)と249万9200円(4WD)。3グレード展開となるハイブリッド車が265万8700円から329万8900円となっている。

そんな新型ヴェゼルのライバルは欧州BセグメントSUV

 欧州目線でいえば、新型ヴェゼルの第一のライバルとなるのがルノー「キャプチャー」だ。

 先代となる初代キャプチャーが誕生したのは2013年。つまり、ヴェゼルと同じタイミングで生まれ、ヴェゼルとともに、Bセグメント・コンパクトSUVのムーブメント醸成に貢献した1台なのだ。

 日本での販売実績は振るわなかったが、世界市場では170万台以上が販売されており、2020年に新型がデビューした欧州では同年のSUV販売ナンバー1を獲得。欧州で非常に高い人気を誇っているのだ。

 日本でも2021年2月に登場した新型キャプチャーの特徴は、フレンチデザインとでもいうべき、エレガントさと躍動感に富んだルックスにある。プラットフォームはルノー・日産・三菱のアライアンスで開発された新しいCMF-Bを採用する。

 寸法は全長4230mm×全幅1795mm×全高1590mm。先代よりも大きくなったが、それでもヴェゼルと比べると全長が100mmほど短い。

 パワートレインは、エンジン車のみで、最高出力154ps・最大トルク270Nmの1.3リッター直列4気筒ガソリンターボエンジンに7EDC(7速DCT)を組み合わせる。こちらのトランスミッションはトルクコンバーター式ではなく湿式のデュアルクラッチ方式。ダイレクトでキレのよい走りが身上だ。燃費性能は17.0km/L(WLTCモード)。駆動方式はFFのみとなる。

 運転支援システムは、カメラとレーダーを組み合わせた方式で、衝突被害軽減自動ブレーキを筆頭にACCなど、日本車と遜色ない機能が備わっている。価格は299万円から319万円だ。

 ヴェゼルとキャプチャーの最大の違いとなるのが、ハイブリッドと4WDの有無だ。キャプチャーにはその両方がない。一方、DCTと組み合わされるエンジンのパワフルさは、キャプチャーが勝る。キビキビと走りたいという人であれば、キャプチャーを試す価値は十分にあるだろう。

 同じフランス車のBセグメントのコンパクトSUVとなるのがプジョー「2008」だ。

 プジョーの主力モデルであるBセグメント・コンパクトハッチバック車である「208」のSUVバージョンとして、やはりヴェゼルと同じ2013年に初代モデルが誕生している。そして2020年に第2世代が誕生。日本でも同年9月より発売が開始された。

 新型2008の特徴は、プジョーの言うところの「ザ・パワー・オブ・チョイス」戦略が採用されていることだ。これはユーザーの希望で、動力源を選べることを意味する。

 そのため新型2008は、エンジン車と同時にEV版の「e-2008」も発売された。しかも、ルックスはエンジン車もEVもほとんど同じ。動力源だけ違うというわけだ。

 エンジン車は、最高出力130ps・最大トルク230Nmの1.2リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンを搭載。8速ATとの組み合わせで、WLTCモードで17.1km/Lの燃費性能となる。駆動方式はFFのみ。

 車両寸法は全長4305mm×全幅1770mm×全高1550mm。キャプチャーよりは大きいが、ヴェゼルには届かないという大きさだ。エンジン車の価格は299万円から338万円となる。

 一方、EVのe-2008は最高出力136ps・最大トルク260Nmのモーターと、50kWhのリチウムイオン電池を搭載。航続距離は385km(JC08モード)。チャデモ方式の急速充電に対応する。価格は431万円からだ。

 ちなみに2008も、キャプチャーと同様にデザインの良さも魅力となる。ネコ科の猛獣の牙を彷彿とさせるデイタイムランニングライトの意匠や、3D表示となった3D iコックピットといったインテリアデザインの良さは、プジョーの伝統ともいえる。また、猫足とでも呼べるようなしなやかな走りも復活、プジョー伝統の魅力となっている。

 新型ヴェゼルと比較すると、2008もキャプチャー同様に4WDとハイブリッドがない。ただし、こちらはEVを用意する。もしも、日本でコンパクトSUVのEVが欲しいとなれば、今のところe-2008、そして兄弟車の「DS3クロスバック E-テンス」が唯一の選択肢となる。EVのライバル不在という点は重要だ。

 最後は、ドイツ勢代表のフォルクスワーゲン「T-Roc」だ。

 こちらのモデルの日本発売は2020年7月。ちなみに、その半年前となる1月には、「フォルクスワーゲンの最小SUV」となる「T-Cross」も発売されている。

 ただし、T-Crossは全長4115mmで、全長4240mmのT-Rocの弟格となる。全長4330mmのヴェゼルと比較するのであれば、全長4240mm×全幅1825mm×全高1590mmのT-Rocがサイズ的に妥当だろう。

 T-Rocの特徴は流麗なクーペフォルムのSUVであり、フォルクスワーゲンのSUVとして初の2トーンのボディカラーが採用されていることだ。スタイリッシュなデザインが売りなのだ。

 また、最高出力150ps・最大トルク340Nmを発生する2.0TDI(2リッター直列4気筒ディーゼルターボ)エンジンと7速DSG(DCT)を組み合わせたパワートレインも魅力となる。燃費性能は18.6km/L(WLTCモード)。

 燃費性能に優れるだけでなく、そもそも燃料の軽油はガソリンよりも安い。トルクフルで、しかも経済性に優れるディーゼルエンジンの魅力は、やはり否定できない。

 欧州ではEVシフトを喧伝するフォルクスワーゲンだが、リアルなビジネスとしてディーゼルエンジンを捨てないのは、したたかであり、そして賢明だ。このディーゼルエンジンの存在こそが、T-Rocの最大の魅力ではないだろうか。