2021年4月に登場したホンダ新型「ヴェゼル」。新型モデルは初代モデルとどのような点が違うのでしょうか。新旧モデルを比較してみます。

新型ヴェゼルは高級感のあるデザインに進化

 最近のSUVブームのなかでも、とくに小型SUVが人気を誇っています。

 トヨタ「ヤリスクロス」や「ライズ」などが好調な販売を見せるなか、ホンダはコンパクトSUV「ヴェゼル」をフルモデルチェンジし、2021年4月23日に発売しました。

 2013年12月に登場した初代ヴェゼルは都会的なSUVとして人気を博し、これまで4度のSUV年間ナンバー1を獲得。約7年半ぶりに登場した新型ヴェゼルは初代モデルからどのような進化を遂げたのでしょうか。

 初代ヴェゼルは、クーペスタイルを取り入れたアクティブなSUVとして多くのユーザーから支持されていましたが、新型ヴェゼルはクーペスタイルをより強め、流麗さと上質感を高めたプレミアムなSUVに一新しました。

 ボディサイズは、初代ヴェゼルが全長4330mm-4340mm×全幅1770mm-1790mm×全高1605mm、新型ヴェゼルが全長4330mm×全幅1790mm×全高1580-1590mm。全長と全幅は同等ですが、新型ヴェゼルは全高が低くなり、立体感のあるノーズによってロー&ワイドな印象を受けます。

 外観はクーペライクなプロポーションを際立たせながらも、全席で爽快な視界を提供するための「スリーク&ロングキャビン」を採用。サイドのラインを前後に貫いた、水平基調のデザインとしました。

 また、ヘッドランプがよりシャープな形状となり、大型グリルにかわってボディ同色のルーバーグリルを装着。初代ヴェゼルとはまったく異なる表情を生み出しています。

 リアのデザインは横一文字に光るリアコンビネーションランプを採用するなど、最近のトレンドを取り入れ洗練されたスタイルとしました。

 さらに、サイドの伸びやかなスタイルを採用するとともに、テールゲートを傾斜させたことでコンパクトな開閉を実現。また、Cピラー内蔵のドアノブは初代ヴェゼルから引き続き採用しています。

 内装は、初代ヴェゼルも上質なデザインでしたが、新型では洗練されたデザインへと進化しました。

 HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)に基づいたインテリアは、運転時の視界に入りやすい位置にメーターやオーディオパネルを配置。

 さらに、着座位置を崩さずに自然に手が届く場所にスイッチ類を設置することで、スムーズな運転動作が可能になりました。

 新型ヴェゼルは最上級グレードのe:HEV PLaYに「パノラマルーフ」を設定。前席・後席ともに開放感のある室内を実現しています。

 このパノラマルーフは大開口ながら、日差しの熱をカットする「Low-Eガラス」を採用することで快適な室内環境が保つ工夫が施されました。

 またエアコンは、集中して吹き出す通常の機能に加え、風が拡散して吹き出す「そよ風アウトレット」を全車採用。フロントからサイドに沿って後方へと風が流れ、乗員を包み込むような心地よい空気の流れを生み出します。

フィットをベースにしたe:HEVがポイント

 新型ヴェゼルは、「フィット」のパワートレインを高出力化した2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」と新開発の1.5リッターガソリンのふたつのパワートレインを設定。初代ヴェゼルに設定されていた1.5リッターターボ車は廃止されました。

 なかでも注目されるのは、モーター走行を中心にさまざまなドライブモードを使い分ける2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載したことです。バッテリーのセル数を増やし、モーター出力を上げることで、SUVにふさわしい力強い走りを目指しました。

 なおヴェゼルは、欧州では「HR-V」という車名で販売されていますが、新型HR-Vはハイブリッド(e:HEV)専用車となります。

 新型ヴェゼルはグレード体系もシンプルになり、ガソリン車が1グレード、ハイブリッド車が3グレードをラインナップ。駆動方式はFFと4WDが設定されます(e:HEV PLaYはFFのみ)。

 新型ヴェゼルの「リアルタイムAWD」は、雪上走行や悪天候でも安定して走行することを目指しており、とくにe:HEVとの組み合わせはトルクを素早く最適な駆動力配分とすることでより安定感のあるたのしい走りを実現しました。

 また、4WDだけでなく2WDを含めた全車に傾斜面でスリップを防ぐ「ヒルディセントコントロール」を国内ホンダ車として初搭載しています。

 燃費(WLTCモード)は、従来モデルのガソリン車が17.0km/Lから18.6km/L、ハイブリッド車が17.0km/Lから18.6km/Lだったのに対し、新型ヴェゼルはガソリン車が15.6km/Lから17.0km/L、ハイブリッド車が22.0km/Lから25.0km/Lと、ハイブリッド車はすぐれた経済性を発揮します。

 安全面では、従来モデルにも搭載されていた運転安全支援システム「ホンダセンシング」が進化し、後方誤発進抑制機能や近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビームを新設定。さらに、アダプティブクルーズコントロール(ACC)には渋滞追従機能が追加されました。

 新型ヴェゼルの新たな機能として、「Honda CONNECT(ホンダコネクト)」を通じてコネクテッドサービス「Honda Total Care プレミアム」が利用可能になりました。

 ホンダ初の機能として、自動でナビゲーションシステムの地図を更新するサービスを設定。

 スマートフォンがクルマのカギになる「Honda デジタルキー」や、車内でアプリが楽しめる「Honda アプリセンター」、「車内Wi-Fi」など、ホンダの量販車として初となる機能も備わり、利便性が向上しました。

 価格(消費税込)は、従来モデルのガソリン車が211万3426円から252万833円、ハイブリッド車が250万5555円から298万186円でしたが、新型ヴェゼルは、ガソリン車が227万9200円から249万9200円、ハイブリッド車が265万8700円から329万8900円です。

 グレードによって異なりますが、16万円から31万円ほど新型ヴェゼルのほうが高くなっています。

※ ※ ※

 ホンダによると、新型ヴェゼルは2021年3月15日の先行受注から約1か月で1万7000台を受注し、好調な販売を見せているといいます(4月19日時点)。

 ほとんどの購入者がハイブリッド車を選ぶなど、最新技術を搭載したe:HEVモデルが人気を集めているようです。

 コンパクトSUVは多くのライバルが存在するカテゴリーですが、このなかでかつてSUVナンバー1だったヴェゼルが存在感を示せるかが注目されます。