2021年5月12日にトヨタは2020年度の決算会見をおこない、そのなかで2030年に向けた電動車の電動車販売比率・台数の見通しを発表しました。さまざまな手法がある電動化において、トヨタは全方位で取り組むとしています。

2030年にBEV+FCEVを200万台という目標を掲げたトヨタ

 1年前の今日、トヨタは緊急事態宣言下で決算発表をおこないました。すべてが不透明で見通せない状況で、多くの企業が計画公表を見送りましたが、トヨタは2021年3月期の見通しを「販売台数800万台」、「営業利益5000億円」と発表しました。

 筆者(山本シンヤ)は、リーマンショックよりも遥かにインパクトが多い大波乱のなかで、営業利益のプラスが維持できることに驚きました。

 しかし、周りの反応は「トヨタ80%の減収!」と危機感を煽る記事ばかりに心底ガッカリすると同時に、自分の発信力の弱さを反省しました。

 それ以降、感染対策に配慮しながらの生産・販売活動を続けられましたが、その間にも豪雨や地震、火災、半導体不足と想定外の事態が起きました。

 しかし、そんななかでもトヨタは未来とビジョンを語り続け、努力を積み重ねてきました。

 そして、今回2021年3月期の決算が発表されました。その実績は「販売台数908.7万台」、「営業利益2兆1977億円」と、1年前の見通しを大幅に上回る結果となりました。

 正直いってしまうと、「1年前に何かありましたっけ?」といった数字でしょう。

 近健太CFOは「ステークホルダーと一緒に“当たり前の事を当たり前に”。ただただ一所懸命頑張った結果」と語っています。

 かつて、リーマンショックで奈落の底に落とされたトヨタが、10年以上に渡って鍛え上げてきた強靭な基礎体力もっといいクルマづくり、TPS、人材育成などなど、豊田社長の就任から12年間に渡って取り組んできた様々な努力が数字として証明されたわけです。

 決算発表の第2部では「カーボンニュートラル実現に向けたトヨタの技術力と戦略」について語られましたが、実は第1部の質疑応答の際に、「最終的にはお客さまが決めること」といいながらも、主要地域における2030年の電動車販売比率・台数の見通しを発表。

 その内訳は「日本:電動車95%(うちBEV+FCEV10%)」、「北米電動車70%(うちBEV+FCEV15%)」、「欧州:電動車100%(うちBEV+FCEV40%)」、「中国:電動車100%(NEV+省エネ車)50%(NEV)」となります。

 さらにグローバル台数は電動車800万台のうちBEV+FCEVを200万台と具体的な数値も語られました。

 この数値に「トヨタはまだまだEVに本気でない」という声も聞きますが、2025年までに15モデルの投入予定があること、そして他社と比べて200万台という「分母」の大きさが違うこともシッカリと理解すべきでしょう。

 何度もいわないと解らない人のためにしつこくいいますが、トヨタは「カーボンニュートラルの実現が目的」と強い意志から、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、燃料電池車、バッテリーEVと電動化フルラインアップを掲げています。

 つまり、これまでトヨタが「お客さまの利便性向上」、「普及してこそ」のため車種ラインアップを増やしてきた歴史と同じように、電動化も同じ考え方です。

 これこそ豊田章男社長が最近よく口にする「サスティナブル(持続可能)&プラティカル(実用的)」な車両の提供の本質でしょう。

トヨタがPHVをPHEVに変更? なぜ言い方を変えたのか?

 今回のプレゼンで筆者が気になったのはプラグインハイブリッドのことを「PHEV(従来はPHV)」、燃料電池車の事を「FCEV(従来はFCV)」と呼ぶようになったことです。

 筆者は会見の質疑応答でそれを聞きたかったのですが残念ながら指名されなかったため、推測になってしまいますが、「すべて電動車ファミリー」だということを「誰でも」、「解りやすく」、「明確」にするための変更だと思っています。恐らく、この辺りの標記は今後統一化されるでしょう。

 さらに電動化のみならず、水素エンジンやe-Fuelの挑戦もおこなっています。とくに水素エンジンは内燃機関の可能性を探るうえでは重要な取り組みのひとつであり、2021年5月21日から23日におこなわれる「スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」に挑みます。

 発表されたエントリーリストには、Cドライバー「MORIZO」の名が記されています。

 どのような結果が待ち受けているかまったく解りませんが、筆者はその戦いを追いかける予定です。

 ちなみに初代「プリウス」が登場以降20年以上の期間で累計約1億4000万トンのCO2削減したという計算だそうです。

 これは世界の自動車メーカーのなかでもトップランカーですが、まだまだやることはたくさんあり、トヨタは今後も電動化フルラインアップを活かしてトップランカーを目指すのはいうまでもないでしょう。

 何度もいいますが、目的は「カーボンニュートラルの実現」であり、トヨタの未来のための“種まき”はまだまだ続きます。