スポーツカーやスーパーカーなどスピードとコーナリング性能に特化したモデルは、一般的なロー&ワイドなフォルムで見るからにも速そうな外観デザインを採用しています。一方、全高が高くてもスタイリッシュなフォルムを実現したモデルも存在。そこで、スタイリッシュなハイト系モデルを、5車種ピックアップして紹介します。

高い全高が似合うスタイリッシュモデルを振り返る

 クルマの全高が低いと、総じてカッコよく見えるものです。レーシングカーは重心高を低くするために全高(車高)を低くするのが定番で、スポーツカーやスーパーカーも同様です。

 全高が低いとスピーディな印象となるため、最新のSUVやセダンも低いルーフのモデルが増えてきました。

 また、サスペンションのスプリングを交換したり、いわゆる車高調に代えることでローダウン化するカスタマイズも一般的で、やはり全高を低くすることでスタイリッシュなモデルに変貌できます。

 一方で、全高が高くてもスタイリッシュなフォルムを実現したモデルも存在。そこで、スタイリッシュなハイト系モデルを、5車種ピックアップして紹介します。

●スズキ初代「ワゴンR」

 現在、日本でもっとも販売台数の多いクルマといえば軽自動車です。なかでもトールワゴンやスーパーハイトワゴンが主流で、各メーカーとも力を入れているジャンルといえます。

 このトールワゴンやスーパーハイトワゴンが登場する以前は、背の高い軽ワゴンというと1BOXバンをベースにしたモデルでしたが、1993年にスズキ初代「ワゴンR」が発売されると、トールワゴンという軽自動車の新たなジャンルを確立しました。

 ボディサイズは全長3295mm×全幅1395mm×全高1680mm(RXグレード)と、全幅に対して全高が際立って高くなっているのが特徴です。

 外観デザインは流行のミニバンをコンパクトにしたようなフォルムで、短いボンネットとボクシーなキャビンを採用。ドアは左側が2ドア、右側が1ドアと左右非対称のレイアウトで、後席の乗員が車道側に出ることがないように配慮されていました。

 エンジンはデビュー当初、55馬力の660cc直列3気筒自然吸気のみでしたが、1995年のマイナーチェンジで61馬力を発揮するターボエンジンを追加し、走行性能を向上。

 初代ワゴンRのデザインは高く評価され性別年齢を問わず人気となり、その状況を見たライバルメーカーも同様なモデルを発売して追従したほどです。

 その後もワゴンRはコンセプトを変えず、現行モデルは2017年に発売された6代目で、今も販売台数TOP10の常連となっています。

●ホンダ「S-MX」

 1990年の初頭から、それまで主流だったセダンやクーペ、2BOXのコンパクトカーといったモデルではなく、ミニバンやSUV、ステーションワゴンといったアクティブなイメージのモデルが人気となりました。

 そうしたユーザーに向けて1996年に発売されたのが、ホンダ「S-MX」です。

 S-MXは若者をターゲットに開発されたトールワゴンで、当時のホンダは「クリエイティブムーバー」というコンセプトのもと、「オデッセイ」「CR-V」「ステップワゴン」を次々と発売し、S-MXはシリーズの第4弾というポジションでした。

 ボディサイズは全長3950mm×全幅1695mm×全高1750mmで、さらに全高を1735mmとした「ローダウン」グレードを展開。

 外観デザインはワゴンRと同じく運転席側が1ドア、助手席側が2ドアの変則4ドアが特徴で、当時ヒットしていたアメリカ製ミニバンのシボレー「アストロ」をオマージュしたようなショートボディです。

 シャシはステップワゴンをベースにショートホイールベース化され、室内は前後ベンチシートの4人乗り(後に5人乗り仕様を追加)で完全にフルフラット化できるシートアレンジを採用して、一般的なセミダブルベッドと同等のサイズを実現。

 エンジンは全車に130馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCを搭載し、1300kg強のコンパクトな車体には十分にパワフルでした。

 発売当初は目論見どおり若いユーザーから高く評価されてヒットしましたが、より広い室内で多人数乗車も可能なミニバンへと次第に人気が集中し、販売は徐々に低迷。2002年にS-MXは一代限りで生産を終了しました。

●マツダ「CX-7」

 現在、マツダの主力車種はSUVとなっており、「CXシリーズ」が4車種で、これに「MX-30」を加えた5車種を展開。このマツダのSUVラインナップに、かつて同社のクロスオーバーSUVの先駆けだった「CX-7」がありました。

 2007年に発売されたCX-7のコンセプトはスポーツカーとSUVを融合させた「スポーツクロスオーバーSUV」で、ボディサイズは全長4680mm×全幅1870mm×全高1645mmと当時としてはかなりの大柄で、余裕ある室内空間を実現

 そのコンセプトどおり外観デザインは斬新で、現在のクーペSUVに通じるフォルムを取り入れており、大きく傾斜させたフロントウインドウとリアゲートに、抑揚のある前後フェンダーを採用。

 搭載されたエンジンは238馬力とパワフルな2.3リッター直列4気筒直噴ターボで、大きい車体でも優れた走行性能を獲得していました。

 しかし、アメリカ市場をメインとしたビッグボディは日本の道路事情では使い勝手が良いとはいえず、295万円(消費税5%込)からという比較的高額な価格もあって販売は低迷して、2012年に実質的な後継車の初代「CX-5」へとスイッチ。手頃なサイズと安価な価格から、一転してCX-5はヒット車となりました。

無骨なイメージながらスタイリッシュなクロカン車とは?

●トヨタ「70系 ランドクルーザープラド」

 トヨタが世界に誇る本格的なクロスカントリー4WD車といえば「ランドクルーザー」シリーズです。

 60年近い長い歴史があるランドクルーザーはこれまで数多くのモデルをラインナップしてきており、かつては「ヘビーデューティ」「ライトデューティ」「ステーションワゴン」の3タイプに分けられていました。

 なかでもヘビーデューティの代表的なモデルが「ランドクルーザー 70」で、過酷な環境でも耐えられるようにシンプルな構造と、ハイテクに頼らない悪路走破性能が高く評価され、今も世界中で愛されています。

 日本では1984年にランドクルーザー 70が発売されましたが、翌1985年には70系のライトデューティモデルとして「ランドクルーザーワゴン」をラインナップ。

 外観はランドクルーザー 70に準じた2ドアのショートボディですが、主要なコンポーネンツは「ハイラックスサーフ」がベースでした。

 そして、1990年のマイナーチェンジで車名が「ランドクルーザープラド」となり、4ドアのセミロングボディの追加とフロント周りの意匠変更がおこなわれ、より洗練されたデザインの乗用車らしさを強調。

 ボディタイプは2ドアと4ドアのワゴンに4ドアの商用バンが設定され、搭載されたエンジンは4.2リッター直列6気筒、3.5リッター直列5気筒、2.5リッター直列4気筒ターボと、すべてディーゼルです。

 また、リアデフには電動デフロックを装備するなど、本家のランドクルーザー 70ほどではありませんが悪路走破性も高められていました。

 その後、ランドクルーザープラドは代を重ね、ハードすぎないクロカン車として現在に至ります。

●三菱「パジェロエボリューション」

 かつて三菱はスポーツセダンの「ランサーエボリューション」シリーズを世界ラリー選手権に投入し、スバルやトヨタ、ランチアと戦いを繰り広げました。

 また、世界ラリー選手権と並行して三菱が参戦していたのが「パリ-ダカール・ラリー」に代表されるラリーレイドで、クロカン車である「パジェロ」を投入。

 総合優勝を含む好成績を収めることで、パジェロのイメージアップが図られ、1991年に登場した2代目パジェロはラリーで裏打ちされた性能やブランドイメージの高さから、RVブームをけん引するほどの大ヒットを記録。

 さらに1997年にはパリ-ダカール・ラリー用マシンのベース車として、「パジェロエボリューション」を追加ラインナップしました。

 パジェロエボリューションはランサーエボリューションと同様の手法でショートボディをベースにチューニングされ、エンジンは最高出力280馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒自然吸気を搭載。

 トランスミッションは5速ATと5速MTを設定し、駆動方式はパートタイム式とフルタイム式の両方の特徴を併せ持つ「スーパーセレクト4WD」を採用しています。

 ボディは全長4075mm×全幅1875mm×全高1915mmと巨大なオーバーフェンダーを装着した堂々とした体躯で、空力特性とオフロード性能を両立するように、大型フィン付リアスポイラー、ステップ付サイドエアダムを装備し、専用デザインの前後バンパーなどエボリューションの名にふさわしい迫力ある見た目を演出。

 ほかにも車体剛性のアップとアルミボンネットによる軽量化や、ラリーで戦うこと前提にサスペンションも新開発の前輪ダブルウイッシュボーン、後輪マルチリンクの4輪独立懸架を採用しています。

 そして、三菱はパジェロエボリューションをベースとしたラリーカーで、1998年のパリ-グラナダ-ダカール・ラリーの市販車改造クラスに参戦し、総合で1位から3位を独占する成績を収めました。

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 クルマのデザインは良い悪いというよりも好むか好まざるかに分けられ、個人の捉え方で好きか嫌いかが決まるといえます。

 たとえば、最後に紹介したパジェロエボリューションは、カッコイイと思うか下品と思うか、当時も賛否が分かれました。

 しかし、強烈な個性を放っていたのは確かで、最近はこうした個性的なモデルが少なくなってしまったのは、寂しい限りです。