2021年5月18日に日本で発売されたCセグメントハッチバック/セダンが、新型「A3スポーツバック」「A3セダン」だ。4代目となる新型A3は、1リッター直列3気筒ターボ「30 TFSI」、および2リッター直列4気筒ターボ「40TFSIクワトロ」「S3」の計3種類のパワートレインを用意。1リッターエンジンには、日本に導入されるプレミアムコンパクトで初めて48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせる。走りはどうだろうか。注目の新型A3セダンの30 TFSIに試乗した。

1リッターエンジンには48Vマイルドハイブリッドが組み合わされる

 プレミアムコンパクトのパイオニアであるアウディ「A3」は、手ごろなボディサイズはもとより、アウディらしいエレガント、高品質なインテリア、優れた走行性能などが高く評価されてきた。

 当初は3ドア/5ドアハッチバックのみだったところ、2013年登場の3代目からはセダンが加わり、ともに好評を博した。そしてこのほど全方位で進化をはたした、新型となる4代目A3が待望の日本に上陸した。

 いまや多彩なラインアップを誇るアウディのなかでも、A3はスポーツバック、セダンを合わせると日本で3割前後の販売比率を誇る最量販モデルとなっている。

 新型A3セダンのスリーサイズは従来比で30mm長く、20mm幅広く、20mm高くなり、全長4495mm×全幅1815mm×全高1425mm(advanced)となった。2635mmのホイールベースに変更はない。

 ちなみに新型A3スポーツバックは、全長4345mm(先代比プラス20mm)×全幅1815mm(同プラス30mm)×全高1450mm(同プラス25mm)、ホイールベースは2635mmだ。つまり新型A3セダンは、新型A3スポーツバックと比較して150mm長く25mm低いボディサイズとなっている。

 スタイリングもなかなか巧い。このところ一連のアウディ車は変わらなさすぎる気がしていたのだが、新型A3はこれまでの延長上にありながらも、明らかに新しさを感じる。

 前後のライトのデザインはより印象深いものされ、シングルフレームもより大胆になり、よく見るとボディパネルも抑揚を強調した凝ったものとされている。これらによる、どの角度から見てもスキのない容姿は、エモーショナルでアグレッシブな雰囲気を放っている。

 とりわけこのCセグメントクラスでは貴重なセダンである新型「A3セダン」の均整のとれたプロポーションは、なかなか魅力的だ。スポイラー形状のトランクリッドエンドも効いて空力性能にも優れ、空気抵抗係数(Cd値)は新型A3スポーツバックも0.28と十分に優れるところ、新型A3セダンはさらに低い0.25を達成したというから驚く。

 ドライバー主体のコックピットデザインを採用したインテリアもガラリと雰囲気が変わった。

 10インチを超える大画面がふたつ並び、その横に配された尖ったダッシュも目を引く。センターコンソール側を見ると、コンパクトになったシフトスイッチがあり、アウディの定番だったMMIのコントローラーが廃されていることがわかる。もはやタッチパネルで操作したほうがよいという判断がなされたようだ。

 なお、運転席のポジションが低められたことで、フロントヘッドルームは先代に比べて20mm増え、エルボールームも広くなっているという。1リッターモデルでもパワーシートが設定されているのもアウディらしい。ラゲッジスペースは、A3スポーツバックが380リットル、A3セダンは425リットルもの容量が確保されている。

 試乗したのは、ニューモデルの導入を記念した「1st edition」。これはA3「30 TFSI advanced」 をベースに、装備を充実したモデル。販売台数と価格は、A3スポーツバックが375台で453万円、A3セダンが125台で472万円となる。

音も振動も見事なまでに抑え込まれている

 走りについて気になっていたのは、パワートレインとサスペンションだ。30 TFSIに搭載されるTFSIエンジンは、わずか1リッターの直列3気筒ターボになる。

 それがBAS(ベルト駆動式オルタネータースターター)とリチウムイオンバッテリーを用いた、日本へ導入されるプレミアムコンパクトセグメントでは初となる48Vマイルドハイブリッドとの組み合わせでどうなるのか。さらには、このクラスとはいえトーションビーム式のリアサスペンションは、アウディブランドにキズをつけることになりはないのかという思いがあった。

 ところが実際にドライブして、すべて納得した。

 まず出足がよい。リニアにスッと発進する感覚は、同じ条件でドライブしたスポーツモデル「S3」をしのぐほどだ。モーターはスペック的には控えめながら、持てる力を出し尽くしている印象で、アクセル操作に遅れなく応答し、気持ちよく加速させてくれる。

 しかも極めてスムーズだ。トルコンのないDCTである上に、エンジンの停止−再始動がからめば、いろいろ駆動力の伝達が煩雑になってトルク変動が生じるのではと危惧していたのに、ほぼ気にならないほど見事に制御されている。48Vマイルドハイブリッドにこれほど感心させられたことはかつてない。

 さらには、1リッターの直列3気筒エンジン自体も予想以上によかった。

 最高出力は110psで、200Nmの最大トルクを2000-3000rpmという低い回転域で発生しているとおり、扱いやすく動力性能的には十分なのは予想どおりだが、音や振動が見事に抑え込まれていて驚いた。高回転まで回しても、3気筒ながら音も安普請な感じがせず、振動もそれほど増えないのだ。

 ドライブモードの選択はなく、足まわりもコンベンショナルなタイプとなるが、同じ条件でドライブした電子制御ダンパーを装備するS3に比べると、やはり路面の凹凸を拾いやすい印象はあるものの、A3単体で見ると快適性は十分に確保されている。

 ハンドリングも、アウディらしい俊敏なレスポンスにさらに磨きがかかった。これまでにも増して動きがわかりやすく、従来もそのあたりは優れていたが、操舵感にやや人工的な印象もあったところ、より自然なフィーリングになっている。

 運転支援装備についても、最新モデルらしく各種アップデートが図られている。このクラスの魅力的なセダンの選択肢がどんどん少なくなるなか、持ち前のスペシャルティさにさらに磨きをかけ、最新のテクノロジーの数々を身につけたA3セダンのフルモデルチェンジは、予想を超える濃い内容であった。

Audi A3 Sedan 1st edition
アウディA3セダン ファーストエディション

・車両価格(消費税込):472万円
・全長:4495mm
・全幅:1815mm
・全高:1425mm
・ホイールベース:2635mm
・車両重量:1330kg
・エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
・排気量:999cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速Sトロニック(7速DCT)
・最高出力:110ps/5500rpm
・最大トルク:200Nm/2000−3000rpm
・タイヤサイズ:225/45R17