1997年に世界初の量産ハイブリッド車として発売されたトヨタ「プリウス」。初代モデル発売から20年以上が経過する現在でも人気を誇りますが、昨今では若い世代からの人気が高まっているといいます。その理由は一体どこにあるのでしょうか。

変わり続ける若者のクルマ嗜好と「エコ」の意識

 初代モデルの発売から20年以上が経過するトヨタ「プリウス」ですが、現在でも人気が根強く、街中でよく目にするクルマのひとつといえます。
 
 そんなプリウスは、昨今では若い世代からの人気が高まっているといいます。その理由は一体どこにあるのでしょうか。

 1997年に発売された初代プリウスは、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステム「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)」を搭載した世界初の量産ハイブリッド車として大きな話題となりました。

 その後、2003年に登場した2代目は世界市場を見据えて開発され、環境意識が高まりつつあったこともあり、レオナルド・ディカプリオやキャメロン・ディアスなどのセレブが購入したことで海外からの人気も集めました。

 2021年現在では、2015年に4代目となる現行モデルがデビューしており、1997年の発売から20年以上経っているなかでもプリウスブランドは健在です。

 また、歴史の長い車種であるため、「プリウスからプリウス」に乗り換えるオーナーも多く存在することから、ユーザーの年齢層が高めの印象があります。

 実際に、2018年12月に現行モデルがマイナーチェンジしてデザインや安全性能が刷新された際、「プリウスだから購入する」というシニア層のユーザーが全体的に多かったとされています。

 しかし、近年では若い世代からの人気も急増しているようです。

 首都圏のトヨタ販売店の担当者は、「最近ではプリウスについてのお問い合わせは、若い世代の人からが多くなっています。また、女性のお問い合わせも増えています」と話しており、若者からの人気がうかがえます。

 また、関西圏のトヨタ販売店の担当者は、「プリウスを検討される若年層のお客さまでは、実家のクルマがプリウスだったことで親から最初のクルマとしてプリウスを勧められたという人も見受けられます」という話もありました。

 なぜプリウスは若者からの人気を集めるようになったのでしょうか。

 大きな要因として、「エコ=プリウス」「ハイブリッド車=プリウス」など、初代から築き上げてきた「ハイブリッドの代名詞」というプリウスのブランド力が考えられます。

 プリウスは燃費が良いうえに排気量も少なく、環境に配慮した「エコ」なクルマです。

 このエコである点が、昨今の社会の中で高まってきている「エコ意識」に繋がり、若者のクルマ選びにも影響しているのではないかといえます。

 さらに近年、「ESG(イーエスジー)」や「SDGs(エズ・ディー・ジーズ)」という考え方が広まりつつあります。ESGとは、環境・社会・ガバナンスの頭文字をとったもので、企業が将来を見据えたうえで、今後重要視すべき観点を表しています。

 一方のSDGsは、企業ではなく一般に向けた考え方で、「持続可能な開発目標」といわれており、未来の世界を変えていくうえで重要な17の目標を表しています。

 そこで、企業広報戦略研究所がおこなった「2020年度 ESG/SDGsに関する意識調査」では、全国の20代から60代の男女、計1万500人を対象に世代年齢別の「ESG」や「SDGs」についての認知率が明らかにされています。

 一番認知率が高いのは20代男性で61.7%となり、さらに20代女性も41.6%と若い世代の多くがエコに関心を寄せていることが分かりました。

 若い世代は比較的エコの意識も高く、クルマに対してもエコを求める傾向が強いことがわかります。

 しかし、若者はエコの意識により、クルマにまったく乗らないということはなく、SNSなどでは、「ドライブを楽しみたい」という声もあります。

 プリウスの良さについて、実際にプリウスに乗る20代前半の男性A氏は以下のように話します。

「燃費の良さや排気ガスの少なさはもちろん、思ったよりも積載性があり、実用的なのが特に気に入っています」

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 現在では、世界中のさまざまな分野で環境を意識した取り組みがおこなわれています。

 自動車産業においても「カーボンニュートラルの実現」が叫ばれており、自動車メーカー各社のクルマ自体はもちろんのこと、製造や輸送などさまざまな部分でCO2排出削減を目指しています。

 またユーザー目線の分かりやすい変化としては、クルマ自体の環境性能向上が挙げられます。

 近年では、プリウスをはじめとするハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車といった電動化や、合成燃料のe-fuelなど内燃機関を用いた技術開発や製品化の取り組みがおこなわれています。

 かつてのガソリンを大量に消費してでも、かっこ良いクルマで走る時代から、エコを意識してドライブを楽しむ時代へと、若者のクルマ嗜好は変化しているなかで、電動化の先駆者ともいえるプリウスは、高まるエコ意識において、もっと身近な存在といえるクルマなのかもしれません。

中古車需要&カスタム需要も高まっている?

 若者がクルマを購入する場合、新車ではなかなか手が届かないというケースも考えられます。

 では、中古車市場においてプリウスの販売動向にはどのような変化があるのでしょうか。

 首都圏で中古車販売店を営むB氏は次のように話しています。

「プリウスは中古車市場でも高い人気を誇っています。とくに、特徴的なものとして、通常の中古車では、年式が新しいものが高額なものの人気があります。

 しかし、プリウスの場合はもちろん年式が新しいものも人気ではありますが、ほかの中古車と比べて、2代目や3代目といった、型落ちモデルでもコンスタントにユーザーが検討しているので、この部分はほかのモデルとは異なるかもしれません。

 プリウスを購入検討されるお客さまの年齢層は幅広いですが、最近では安価に買えるハイブリッド車としてプリウスを検討する若い人も一定数見かけます。

 また、全体としては多くないものの型落ちモデルを購入して自分好みのカスタマイズパーツを装着するという傾向もあります」

 カスタム業界でもプリウスの人気は長く続いているといいます。カスタムショップのスタッフは次のように話しています。

「プリウスは、2代目、3代目とカスタムのベース車として人気でした。最近では、現行モデルも手頃な価格で中古車市場に出ているため、人気が再燃している印象はあります。

 なかでも若いお客さまからは『乗るなら燃費がいいクルマがいいけど、見た目で個性を出したい』という声もあります」

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 最近では、トヨタ「ヤリス」のハイブリッド車が世界トップクラスの燃費性能を記録したことやセダンとワゴン、ハッチバックを揃えるトヨタ「カローラシリーズ」にはガソリン車のほかにハイブリッド車も設定されていることで、プリウスの影が薄くなりつつあります。

 しかし、2021年6月3日に追加発売されたプリウスの特別仕様車「Black Edition」はトヨタ販売店によると「比較的に若い人からの問合せがある」といいます。

 さらに、トヨタの純正カスタマイズブランドのモデリスタでは新たにBlack Editionに合わせた新色を設定するなど、若年層のプリウス人気やカスタム需要は少なからず伸びているのかもしれません。