東京オリンピック・パラリンピック2020では、多くのトヨタ・レクサスの車両が活躍しています。実際にどのような車両が使用されているのか、そして大会終了後どうなるのでしょうか。

東京2020を影で盛り上げたトヨタ車とは

 2021年7月23日に、東京オリンピック・パラリンピック2020(以下、東京2020)の開会式が開催されました。
 
 さまざまな競技・種目がおこなわれるなかで、 聖火リレーの随伴車から、大会関係者や選手の輸送用車両、報道関係者や医師を乗せたドクターカーとしてトヨタ車(レクサスを含む)が活躍中です。
 
 では、実際にはどのような車両が活躍しているのでしょうか。

 東京2020では、東京都以外にも競技がおこなわれる北海道、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県の道県で3000台近くのトヨタ・レクサスの車両が使用されています。

 1日に使われるトヨタ(レクサス含む)車は約2700台(パラリンピックでは1700台)で約9割がハイブリッドなどの電動車です。

 使用される主な車両として、初代「ミライ」約500台、「プリウスPHV」約500台、「ノア/ヴォクシー」約300台(加えてウェルキャブが約150台)以外に、「ヴェルファイア」「GRヤリス」「ヤリスクロス」「ハリアー」「ランドクルーザー」「ハイラックス」などが使用されています。実際に都内近郊で撮影したのは、次のような車両でした。

 初代ミライは約500台が投入されており、多くは白地に青のデザインでお台場や有明周辺で頻繁に見かけます。

 選手村近くの駐車場にも大量に停まっており、各チームの移動手段として使われていることも多いようです。

 対して、現行ミライは、聖火リレーにてランナーのすぐ後ろを走る車両として全国で聖火リレー仕様が見られました。

 聖火リレー仕様としては、ほかにセンチュリー、LQ、クラウンなどが使用されていましたが、専用デザインとカラーが車両デザインにもっとも映えていたのがMIRAIでした。

 プリウスPHVは、ミライと同じ約500台が投入されています。「TEAM GB(GREAT BRITAIN)」とドアに貼られた車両をはじめ、各国チームの移動用として使用されていることが多いようです。

 ノア/ヴォクシーは、オリンピック開催前から都内のいたるところで走っています。なお、ノア/ヴォクシーと兄弟車となるエスクァイアに関して、見かけることはありませんでした。

 RAV4は、通常のオリンピック仕様と聖火リレー仕様があり、聖火リレーの際にはルーフにスピーカーを装着した車両がおもに沿道に集まる人々へのアナウンスをおこないました。

 ハリアーは、自転車ロードレースでは国際自転車競技連合の会長専用車として、また医師を乗せたドクターカーとしても使用されたほか、ヤリスクロスは自転車ロードレースでは報道関係者を運ぶメディア車両として使用されます。

 カローラ・ツーリングは、通常モデルのほかに特別仕様車「2000リミテッド」が7月24から25日に開催された自転車競技のサポートカーとして使用され、その俊敏な走りとスタイリッシュなデザインで注目を集めました。

 ロードレースのサポート車両としては、白ベースが各国チーム用、青ベースはシマノが展開するニュートラルサポート用として使用。

 代替用の自転車数台をルーフに搭載して長丁場のレースを休憩なしで追走するという過酷な使用に耐えるため、元F1ドライバーである片山右京氏による特別チューニングが施されています。

 コースターは、聖火リレーでは2種類のデザインをまとったコースターが登場。聖火ランナーやその関係者の送迎として使用されており、白色が各ランナーをスタート地点に送り届ける用、グレーが走り終わったランナーを乗せて最初の集合場所に戻る目的で使われました。

 LQは、未発売の車両ながら、聖火リレー仕様は聖火ランナーのすぐ後ろを走るクルマとして東海地方の聖火リレーで使用されています。

 センチュリーは、岐阜県や三重県で開催された聖火リレーの伴走車として圧倒的な存在感をアピールしていました。使用されたセンチュリーのボディカラーは「精華(せいか)」(レイディエントシルバーメタリック)。「聖火」に掛けてこのカラーが採用されたのかもしれませんね。

 また、1人乗り3輪電気自動車として2013年の第43回東京モーターショーで初公開された「i-ROAD」は、7月26日にお台場エリアで開催されたトライアスロン競技をサポートしました。

 さらに、VIPの送迎には「アルファード」やレクサスの各車種などが使用されているようです。

 なかでも、アルファードは7月8日に日本へ到着したIOCバッハ会長を1泊300万円といわれる超豪華スイートルームがある「The Okura Tokyo」に送る際に使用されたことでも話題になりました。大人数で快適に移動できることからVIP送迎に使われることが多いようです。

 これらの車両は約6000名のプロドライバーやボランティアドライバーが運転しており、オリンピックでは選手約1万1090人、大会関係者約4万1000人、パラリンピックでは選手約4万400人、大会関係者約1万1000人を運んでいます。

 車両にはさまざまな種類のデザインがありますが、主流となっているのが白地に赤や青の幾何学的な模様が入ったタイプで、トヨタのデザイナーが「ゴールテープ」をイメージしてデザインしたそうです。

 なお、本来は2020年に開催予定でしたが延期になったことで2700台用意されていた車両のなかにはコロナ患者(軽症)の搬送用としても使用されたクルマもありました。

 搬送用車両の大部分は、各地の販売会社を通じて提供されており、トヨタとしては前後席を分けるビニール製の「セパレーター」を用品として提供。現在も搬送用の車両として全国各地の病院などで使われています。

インパクトが強かった!ハイラックスの「日本生命・特装車」とは

 約4か月にわたって全国をまわった聖火リレーではトヨタ車をベースにしたインパクトのある特装車両も多数登場しました。

 もっとも注目を集めていたのが日本生命の「ハイラックス」と日野「プロフィア」です。

 公道走行が可能な全国すべてのエリアで走行し聖火リレーを盛り上げました。

 デザインコンセプトや特装が意味することについて日本生命保険相互会社広報部に聞いてみました。

「当社は『人と人が支え合う大切さや絆の力が世の中に広まってほしい』という想いから“大切な絆を、つなげよう。”をテーマに聖火リレーに携わってきました。

 このテーマに沿って『人と人の絆をつなぐ聖火』を車両のデザインコンセプトにしました。

 車両全体については『聖火』をデザインしつつ、大型車両(プロフィア)には『トーチキス』を想起してもらえるよう、2本の円筒=トーチ、ミスト+LED=聖火という演出をおこなっています」

 ちなみに、ハイラックスがけん引しているカーゴトレーラーは「聖火」をデザインしつつ、グッズなどの備品を収納しているとのことでした。

 東京2020が終わると、もう普通に見る機会もぐっと減ってしまうこれらのクルマたち。

 トヨタに聞いたところ、オリパラ終了後の行く先は「未定」とのことですが、同じく多くのトヨタ車が使用された長野オリンピック(1998年)では、終了後にオリンピック仕様のノアやレジアスがほぼそのままのデザインで中古車として市場に出てきました。

 今回も東京2020仕様のトヨタ車が中古車として出て来る可能性もありそうです。