近年、台風や豪雨などにより日本各地で水害が多発しています。では、冠水時にはどのような状況となるのでしょうか。また、もし乗車中にクルマが水没したらどうすればいいのでしょうか。

台風で道路が冠水…クルマはどうなる?

 例年9月は、日本列島に台風が接近・上陸しやすい時期に加えて、秋雨シーズンとなり、水害などが発生しやすくなります。
 
 では、台風が近づいている際に運転をする場合、どのようなことに注意が必要なのでしょうか。

 気象庁の公表している「台風の発生数」によると、例年8月から9月の台風発生数がもっとも多く、2020年には8月の発生数が8件にものぼっています。

 台風時には積極的に外へ出る人も少ないかもしれませんが、その一方で、仕事で出勤せざるをえなかったり、食料品の買い込みをしたり、必要に迫られて外出する人もいるでしょう。

 台風は洪水や土砂崩れといった災害につながる可能性も高く、2021年8月に発生した台風9号が温帯低気圧に変わった後、大雨が降った青森県風間浦村において土砂崩れが発生し、住民100人が一時孤立状態となりました。

 さらに、鳥取県鳥取市では倒木によって通行できなくなった道路もあり、台風時はただでさえ雨風によって前方の視認性が悪いうえに、そうした道路上の障害物などにも注意する必要があるといえます。

 洪水が発生している地域においては、クルマへの浸水にも注意することが求められ、安易に冠水路へ進入すると、クルマの故障に繋がることがあり危険です。

 首都圏の消防関係者は、台風時のクルマの運転について以下のように話します。

「通常は基本的にキープレフトを意識して運転していただきたいのですが、台風の際は排水溝の蓋などが外れ、脱輪してしまう可能性もあるため、道路の中央に寄って走行するのが良いでしょう。

 また、高架下や地下道といった『アンダーパス』は、冠水の恐れがあるので避けて走行するようにしてください」

 冠水時の様子に関して、JAFでは水深30cmと60cmでの走行テストを実施しています。

 水深30cmにおいて、10km/hでは被害はなく、30km/hではエンジンルームへの浸水は見受けられたものの問題なく走行することが可能でした。

 一方、水深60cmでは、10km/hのゆっくりとした速度で走行しても水がフロントガラスの下部まで押し寄せ、走行の途中でエンジンが停止したといいます。

 また、水深が浅い場合でも、冠水路への進入速度が速ければ水も高く巻き上げてしまうため、注意する必要があるようです。

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 台風時には激しい雨風によって視界不良となり、ほかのクルマや障害物に気づきにくい可能性も考えられます。

 そのため、必要に応じてヘッドライトを点灯させ、視認性を向上させるとともに、ほかのクルマや歩行者などに対して自分の存在をアピールすることも重要です。

万が一、乗車中に水没したらどうする?

 アンダーパスのある道路では水没する可能性もあります。クルマが水没したらどう対処すればよいのでしょうか。

 基本的に、前方にエンジンが搭載されているタイプのクルマでは、前部から沈み前傾姿勢となる傾向が挙げられます。

 その場合、窓ガラスが水面より高い位置にあれば、窓ガラスを開けてクルマのルーフに上るようにして脱出します。

 しかし、最近のクルマでは電動パワーウインドウが採用されているため、電気系統がだめになっている場合は、脱出ハンマーで窓ガラスを割る必要があります。

 ここで重要なのは、「どの窓ガラスを割るべきか」という点です。

 テレビや映画などではフロントガラスを割って脱出するイメージがありますが、クルマのフロントガラスは衝撃に強い「合わせガラス」を使用することが法律で義務付けられているため、脱出時にハンマーで割るには適していません。

 そのため、比較的に割りやすいのはサイドウインドウやリアウインドウとなり、従来の窓ガラスよりは強度は高いものの脱出ハンマーでは割ることは可能です。

 しかし、一部の国産車に採用される脱出ハンマーの説明書では、「一部のクルマでは、サイドウインドウおよびリアウインドウには、合わせガラスが使用されているため割ることができません」と説明されていることもあり、事前に自分のクルマの状況を確認しておくことが望まれます。

 カー用品店のスタッフは次のように説明しています。

「脱出ハンマーは、ディーラーなどで純正品が販売されている以外に、カー用品店でもいくつかのタイプを用意しています。

 基本的には、『金づちタイプ』『ピックタイプ』『ポンチタイプ』という種類があり、商品によってシートベルトカッターや発炎筒と一体型になっているものがあります」

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 近年では、さまざまな自然災害が多発しています。なかでも、台風や集中豪雨による水害が目立っています。

 そうしたリスクを少しでも抑える際に、事前の予備知識や装備を備えておくことが重要です。