ここ数年で「ネオクラシック」や「旧車」と呼ばれるクルマの価格が、著しく高騰しました。その理由のひとつがアメリカの通称「25年ルール」といわれ、生産から25年を経た中古車が大量に海を渡っています。そこで、2022年に登場から25年経ち、海外に流出してしまいそうなクルマを3車種ピックアップして紹介します。

1997年に誕生し、2022年に25年ルールが適用されるJDMを振り返る

 近年、世界的に1980年代から1990年代に誕生した高性能車の価格が、著しく高騰している状況です。こうした傾向は日本でも同様で、理由は諸説ありますが、そのきっかけになった1台が日産「R32型 スカイラインGT-R」といわれています。

 歴代のスカイラインGT-Rは基本的に日本専売車(一部の国に少数が輸出された実績もあり)ですが、映画やアニメ、ゲームなどで世界的に知られるようになり、とくに数年前からアメリカで人気が高まったころから大量の中古車が海を渡りました。

 本来、アメリカでは中古車の輸入に厳しい制限が国で定められており、保安基準や排出ガス規制に合致していないと登録ができません。また右ハンドルのクルマも原則的に登録できない州がほとんどです。

 しかし、製造から25年以上経った中古車はクラシックカーとして認められ、この制限が州によって大幅に緩和。さらに右ハンドル車でも登録が可能となります。

 この制限緩和は通称「25年ルール」と呼ばれ、1989年から1994年まで生産されたR32型 スカイラインGT-Rがターゲットになったということです。

 その後も同年代の高性能車がアメリカに渡り、とくにJDM(Japanese domestic market)という日本専売車、もしくは日本仕様のモデルが今もクルマ好きから高い人気を誇っています。

 そこで、2022年に25年ルールが適用されるJDM(1997年に誕生)で、人気となりそうなモデルを3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ6代目「アコード」

 ホンダ「アコード」は1976年に誕生した初代からグローバルで販売されており、2代目以降はアメリカで生産が始まるなど、北米におけるホンダ車のベストセラーです。

 そのためJDM人気とは関係なさそうですが、1997年に登場した6代目は新開発の「フレキシブルプラットフォーム」を採用したことから、同じ6代目アコードでも日本向け、北米や豪州向け、そして欧州向けと大きく分けて3タイプが存在していました。

 そして、北米では設定されず、日本で展開されたのが高性能グレードの「SiR-T」です。

 SiR-Tは最高出力200馬力を7200rpmと高回転域で発揮する2リッター直列4気筒DOHC VTECエンジンを搭載し、トランスミッションは専用クロスレシオの5速MTのみを設定。さらにトルク感応型ヘリカルLSDを標準装備するなど、スポーティな走りを重視した仕様となっています。

 一方、北米仕様では最高出力204馬力の3リッターV型6気筒SOHC VETCエンジンを搭載したグレードが存在しましたが、ラグジュアリーなモデルです。

 そのためJDMであるSiR-Tは、アメリカのホンダファンには羨望のモデルといえるでしょう。

 なお、2000年にはさらに高性能な「ユーロR」が登場し、欧州では1998年に「タイプR」が発売されており、こちらも後々人気となりそうです。

●日産8代目「ローレル」

 日産初代「ローレル」は1968年に誕生。1972年に登場した2代目からはスカイラインと主要なコンポーネンツを共有しながらも、コンセプトが異なるハイオーナーカーというポジションで独自の進化を続けました。

 そして、1997年から2002年まで販売されたシリーズ最終モデルの8代目では、シャシやエンジンはR34型スカイラインと共通ですが、ローレルが先行してデビュー。

 ラグジュアリーな「メダリスト」系とスポーティな「クラブS」系の2ラインを設定し、高性能グレードとして「25クラブSターボ」シリーズをラインナップしました。

 搭載されたエンジンは最高出力235馬力の2.5リッター直列6気筒DOHCターボの「RB25DET型」で、デビューから1年ほどで最高出力280馬力にまで大幅なパワーアップが図られました。

 これほどの高性能エンジンを搭載しながらも外観はシックな印象で、トランスミッションも4速ATのみとされるなど、やはりスカイラインと性格は大いに異なっていたといえます。

 そのため、ローレルは高性能な直列6気筒エンジンを搭載するFRセダンという貴重な存在ですが、スカイラインの中古車ほど価格は高騰しておらず、現状では物件数も比較的多く、お買い得なモデルといえるでしょう。

 アメリカではスタンダードなスカイラインも人気があるため、高性能グレードのローレルも注目されそうです。

●トヨタ2代目「センチュリー」

 トヨタの最高峰に位置するセダンといえば「センチュリー」です。2018年に21年ぶりとなるフルモデルチェンジがおこなわれて3代目がデビューしたことは、大いに話題となりました。

 初代は1967年に登場し、当初からV型8気筒エンジンを搭載するなどショーファードリブンカーとして開発され、その後も改良がおこなわれつつ30年間ものロングセラーとなり、1997年に2代目が登場。

 この2代目には、日本の乗用車としては史上初で唯一のV型12気筒エンジンが搭載されました。

 センチュリー専用に開発された5リッターV型12気筒DOHCエンジンは最高出力280馬力を発揮。片側6気筒ずつを別々に制御することで、万が一片方の6気筒に不具合が生じても、もう片方の6気筒が機能して走行が続けられるように設計されており、まさに要人のためのクルマにふさわしいエンジンといえるでしょう。

 外観は初代を踏襲していますがより近代的な印象となり、内装では派手さは抑えつつも豪華さを演出する意匠で、後席のVIPをもてなす工夫が随所に施されています。

 このように国産車のなかでも特異なモデルであるセンチュリーですが、すでにアメリカのJDM好きからは注目されている存在です。

 初代が複数台海を渡っており、アメリカの日本車イベントではVIP系カスタムが施されたセンチュリーが紹介されています。

 今後、V型12気筒エンジンの2代目は、さらに注目されることでしょう。

 ちなみに、センチュリーは基本的に日本専売車ですが、海外の日本大使館向けに左ハンドル車がわずかな台数ですがつくられています。

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 高性能な日本車の価格高騰はこれまでも度々報じられていますが、海外への流出が顕著となったのは2014年から2016年です。

 この期間は円安ドル高の傾向にあり、2015年には1ドル123円台から124円台となったことから海外からバイヤーが殺到したといいます。

 同時期には日本車だけでなくポルシェ「911」やBMW「M3」などの高性能な輸入車も、中古車が欧州やアメリカに大量に渡っていますが、日本の中古車は良質というのも人気となった理由のようです。

 現在は1ドル110円前後に転じているため海外への流出は一時よりは沈静化していますが、まだまだ高性能車の価格高騰は続くでしょう。