お客を乗せるために目の前で急停車したタクシー。万が一、そのタクシーに追突した場合、過失割合はどのようになるのでしょうか。

お客さんを乗せるために急停車したタクシー。追突したら過失はどちらに?

 街中で見かけるタクシーですが、お客さんを乗せるために急停車する場面が見受けられます。
 
 では、急停車したタクシーに一般のクルマが追突した場合、追突した側にも過失はつくのでしょうか。

 全国で20万台以上走っているタクシーは、とくに大都市圏に集中していて、なかでも東京では全体の約2割に当たるタクシーが走っているといわれています。

 さらに、2020年からの新型コロナ禍以降、タクシーの利用が増加しているというデータもあります。

 そうしたなかで、SNSでは「お客さんを見つけると急停止して、危ない」というようなタクシードライバーの運転マナーについて批判の声があがっています。

 実際に「タクシーのところ構わずの急停車どうにかならないかな」「取り締まりにならないの?」「急停車タクシーに接触しそうになった!」などとタクシードライバーの急停止に危険を感じているユーザーが多く見受けられます。

 財団法人交通事故総合分析センターの調査によると、タクシーと他車による事故の内訳では、「出会い頭の衝突(28.5%)」、「追突(25.9%)」が挙げられます。

 では、お客さんを乗せるために急停止したタクシーに追突してしまった場合、どのようなケースが考えられるのでしょうか。

 道路交通法第24条では、「車両などの運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」と定められています。

 また、事故の過失割合に関して、ある保険会社の担当者は以下のように話します。

「タクシーやバスもほかのクルマと道路交通法上の扱いは同じです。

 道路交通法第24条に照らし合わせれば、タクシーが急停止したことで追突事故が起きた場合、危険を回避するためではなく、タクシーが乗客を拾うために急停止したために追突したことになるので、タクシー運転手にも過失があると考えられます。

 さらに、駐停車禁止場所でタクシーが急停止して追突した場合は、タクシー運転手の過失の比率はさらに高くなります」

 こうした事例は過去にあったのでしょうか。タクシー業界関係者は以下のように話します。

「過去にこうした事例があったというのは聞いたことがあります。

 こうした事故に関しては、本当に急ブレーキだったのか、歩行者がどこにいたのか、一般車との車間距離など、そのときの状況によっても異なるので一概にお伝えはできません。

 仮にこうした一般車との追突事故が発生した場合には、お客さまに関して怪我の有無を伺ったうえで至急代車を呼んで対応し、事故処理に関しては一般車やトラックなどと同じ対応となります」

タクシーにぶつかったときにするべきことは?

 タクシーとの事故に限らず、事故が発生した際にの義務として「負傷者の救護」、「道路上の危険の除去」、「警察への報告」が法律で定められています。

 怪我人がいれば必要な救護活動をおこないます。また、二次災害を防ぐために周囲への対応が求められるほか、事故状況を警察に報告しなければならず、次の内容が必須です。

 ・事故発生の日時と場所
 ・怪我人の有無や程度
 ・損壊状況
 ・事故にかかわる車両
 ・事故についての措置

 また、警察では交通事故に対して、「交通事故証明書」を発行します。

 警察を呼ばずに事故を処理すると証明書が発行されないため、後になって事故の事実が確認できないなどとして、保険会社から補償が受けられなくなる恐れもあります。

 タクシーに限らず、事故現場で相手から「警察を呼ばずに穏便に済ませたい」と依頼されたとしても、警察への報告は法律的にも必須で、それが自分自身を守ることにもつながります。

 また、事故現場で金銭のやりとりなどを通じて示談が求められることもありますが、保険会社を通したうえでおこなうことが望まれます。

※ ※ ※

 タクシーの急停車は、誰もが遭遇する可能性のある事案です。こうした、追突する可能性を低くするためにも、前方を走っているタクシーとの車間距離を意識的に広く取るなどすることが良いのかもしれません。