2021年9月16日に、スズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」は2018年の登場以来、初めての改良がおこなわれました。ジムニー/ジムニーシエラというと、世界的にも希少な超小型クロカン車ですが、探してみると世界にはほかにも存在。そこで、現行モデルの小型クロカン車を、3車種ピックアップして紹介します。

今も新車で手に入るコンパクトクロカン車を振り返る

 超小型クロカン車といえばスズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」です。かつてはダイハツ「ロッキー」「ラガー」や、三菱「ジープ」などコンパクトなモデルがありましたが、すべて淘汰されてしまいました。

 このジムニー/ジムニーシエラは2021年9月16日に、2018年の登場以来となる初の改良がおこなわれました。AT車にアイドリングストップが採用され、オートライトなど装備が若干充実しただけですが……。

 とはいえ、今やジムニー/ジムニーシエラは世界的にも希少な小型クロカン車とあって、海外でも人気となっています。

 このジムニー/ジムニーシエラほどではないにしても、世界にはコンパクトサイズのクロカン車が存在。そこで、現行モデルのコンパクトクロカン車を、3車種ピックアップして紹介します。

●ラーダ「ニーヴァ レジェンド」

 東欧やロシアといった旧共産圏のメーカーがつくるクルマはあまり馴染みがありませんが、そのなかでも日本で意外と知られているモデルといえばラーダ「ニーヴァ」ではないでしょうか。

 ニーヴァは今風に表現するならばコンパクトなクロスオーバーSUVといったところですが、かつてソ連時代に南極遠征にも使われるなど、悪路走破性の実力はかなり高いモデルです。

 誕生は1977年。ソ連が崩壊した後も継続して生産がおこなわれており、近年はメカニズムの信頼性や安全性を向上させる改良がおこなわれています。

 すでに1998年にはより近代的なSUVの新型ニーヴァが登場しましたが、旧ニーヴァも並行して販売され、2021年1月以降は「ニーヴァ レジェンド」に車名が変わりました。

 ボディタイプは3ドアと5ドア(「ニーヴァ トラベル」)で、かつてはオフロード性能を高めたモデルや装備によって複数のグレードがラインナップされていましたが、現在はベーシック仕様の1グレードのみです。

 3ドアのボディサイズは全長3640mm×全幅1680mm×全高1640mmとかなりコンパクトな設計で、最低地上も200mmあります。

 室内は4人乗りで、デザインや装備はシンプルながらパワーウインドウやパワーステアリング、エアコン、シートヒーターなどの快適装備も充実しています。

 エンジンは最高出力83馬力の1.7リッター直列4気筒を搭載し、トランスミッションは5速MTが組み合わされ、最高速度142km/hと性能的には前時代的なままですが、駆動方式はセンターデフロックを装備したフルタイム4WDシステムを採用。

 なお、今ではロシア国内だけでなく欧州にも輸出しており、日本でもいくつかのショップが並行輸入しているので、ニーヴァの入手は可能です。

●ワズ「ハンター」

 もう1台もロシアの自動車メーカーで、UAZ(ワズ)のクルマを紹介します。

 ワズは1954年から1971年までゴーリキー自動車工場が開発した、ジープタイプの4WD小型軍用車両「GAZ-69」を生産し、1972年にはGAZ-69の後継車「UAZ-469」を開発。現在はさらにUAZ-469の後継車である民生用の「ハンター」を生産しています。

 過酷な条件下で本領を発揮するハンターのシャシは40年以上前に設計された軍用車に由来し、頑丈でさまざまな路面に適応しているとワズはアピールするなど、信頼性と耐久性を重視。

 ハンターの外観はステーションワゴンタイプの5ドアで、キャビンは直線基調のスクエアなフォルムながら、フロントフェンダーからリアフェンダーまでのボリューム感のある形状が特徴的です。

 また、フロントフェイスは鉄板をプレス成形したパネルに丸目2灯のヘッドライトと、クラシカルなデザインを採用しています

 ボディサイズは全長4050mm×全幅1775mm×全高1950mm、最低地上高は210mmとコンパクトで、さらにグリルガードや本格的なオフロードタイヤを装着した「ハンター アドベンチャー」では、最低地上高が241mmまでハイリフトされます。

 内装はかなりシンプルかつ機能的で、快適装備はヒーター程度ですがメーター類は充実。

 エンジンは見た目よりも近代的で、最高出力134馬力の2.7リッター直列4気筒DOHCを搭載し、トランスミッションは5速MTのみ、駆動方式はハイロー切り替え可能なパートタイム4WDです。

 ハンターはまさに「走るシーラカンス」なのですが、クラシッククロカン車が新車で買えるのは大いに魅力的ではないでしょうか。

 ちなみにハンターも日本に並行輸入されているので、入手可能です。

●トヨタ「ランドクルーザー 70 3ドア」

 最後に紹介するのはトヨタ「ランドクルーザー 70」です。「どこがコンパクトなの?」と思われるかもしれませんが、実は現在も3ドアのショートホイールベースが生産されています。

 日本でランドクルーザー 70が発売されたのは1984年で、ランドクルーザーの名を世界に知らしめた「40系」の後継車として登場。

 2004年に国内販売を終了しましたが、海外では過酷な環境での悪路走破性や信頼性が高く評価され、海外専用車種として販売を継続し、フロントフェイスなどの意匠は変更していますが、フルモデルチェンジはおこなわれていません。

 ランドクルーザー 70の誕生30年という節目を迎えた2014年には、期間限定ながら国内市場で復活して大いに注目されました。

 現行モデルのボディタイプは5ドアのワゴン(バン)、シングルキャブ/ダブルキャブのピックアップトラック、ロングホイールベースで3ドアの「トゥループキャリア」、そしてショートホイールベースの3ドアがあり、これらは販売される国や地域でラインナップが異なります。

 3ドアはサウジアラビアやイエメンなど中東の一部の国で販売されており、オーバーフェンダーを装着していないナローボディではボディサイズが全長4225mm×全幅1770mm×全高1935mmとコンパクトで、最低地上高は260mmと余裕ある値となっています。

 室内は5人乗りでデザインは他のボディと変わりません。必要十分な快適装備が揃っており、普段使いに不満の無いレベルです。

 エンジンはやはり仕向地によって変わりますが、4リッターV型6気筒ガソリンと4.5リッターV型8気筒ディーゼルターボが基本で、トランスミッションは5速MTのみ。駆動方式は昔ながらのレバー操作で切り替えるパートタイム式です。

 3ドアは使い勝手の面で不利ですがコンパクトなサイズは取り回しも良好そうで、デザインもユニークですからかなり気になる1台ではないでしょうか。

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 今回紹介した3台はどれも超ロングセラーモデルです。しかし、それに対して不満をもつ人はいないでしょう。

 とにかく機能と信頼性を重視した結果、変わらないことを選択したわけですから。

 脱炭素化が叫ばれている昨今、こうしたモデルは真逆のポジションにあるといえますが、変わらないことの美学を貫いてほしいところです。