東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会終了後に、続々と運営などで使用されたトヨタ車が中古車市場に出回っています。ほぼ新車状態ながら、格安で購入出来る理由とはどのようなものなのでしょうか。

いま狙い目!東京2020大会のトヨタ車2700台が中古車市場に!

 2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)ですが、そこには約2700台のトヨタ車が運営車両や参加チームのサポート車両として使用されました。
 
 しかし、2021年9月5日のパラリンピック閉会式後、国内の中古車市場には大会で使用された車両が続々とトヨタディーラー系の中古車販売店を中心として販売されているようです。

 東京2020大会において、1日に使われるトヨタ(レクサス含む)車は約2700台(パラリンピックでは1700台)となり、約9割がハイブリッド車や燃料電池車などの電動車だとトヨタは説明しています。

 主な車両として、初代「ミライ」約500台、「プリウスPHV」約500台、「ノア/ヴォクシー」約300台(加えてウェルキャブが約150台)。

 さらに、「ヴェルファイア」「GRヤリス」「ヤリスクロス」「ハリアー」「ランドクルーザー」「ハイラックス」、レクサス「ES」などが挙げられます。

 聖火リレー時には、「センチュリー」「LQ」「クラウン」なども使用されていました。

 使用された車両のなかで、もっとも多く見られたのが白地に赤や青の幾何学的な模様が入ったタイプとなり、トヨタのデザイナーが「ゴールテープ」をイメージしてデザインしたといいます。

 このように東京2020大会をさまざまな面で支えたトヨタ車・レクサス車ですが、早い販売店では2021年9月上旬から「GAZOO TOYOTA公式中古車サイト」に情報が掲出されています。

 9月中旬以降は大手中古車情報誌などにも多数の五輪中古車が掲載され始めました。

 中古車情報サイトなどでは、「東京2020大会運営車両として使用」されたことが明記されており、現在のところトヨタ系の中古車販売店を中心として販売されているようです。

 販売されている車種は、「プリウスPHV」、「ノア/ヴォクシー」、「アルファード」「RAV4」、「カローラツーリング(1.8リッターハイブリッド)」、「初代MIRAI」、「ES」などとなっています。

 これらの中古車のなかで、もっとも人気が集中しそうなのが自転車ロードレース競技のサポートカーとして話題となったカローラツーリングです。

 このカローラツーリングは、特別仕様車「2000リミテッド」となり、一般販売は500台限定でした。

 しかし、2021年7月24から25日に開催された自転車競技のサポートカーとして使用され、その俊敏な走りとスタイリッシュなデザインで注目を集めまたほか、白ベースと青ベースの2種類がSNSなどで話題となりました。

 現在のところ市場にでているのは、通常車(1.8リッターハイブリッド)のみのようですが、いくつかの販売店に聞いたところ、いずれも2.0Lモデルのカローラツーリングに関する問い合わせが何件かあったといいます。

 では、2000リミテッドはいつ中古車市場に出てくるのでしょうか。

 中古車市場に出ていく東京2020大会仕様の中古車は築地市場跡地の車両置き場で出荷の準備がおこなわれています。

 筆者が9月上旬に訪れた際、2000リミテッドは出入口からすぐのスペースにワイパーを立て、「車内清掃済み」の紙がダッシュボードにおかれて十数台が停まっていました。

 また、自転車ロードレース競技で海外チームのサポートカーとして使われた車両も数台見かけることができました。

 しかし、その数日後に訪れた際には姿を消していたので恐らく中古車として出荷されたものと思われます。

 人気必至の2000リミテッドが中古車市場に出て来るのは時間の問題といえるでしょう。

なぜ新車同様の極上車なのに、評価が低い?

 これらの東京2020大会仕様のトヨタ車の評価で気になることがあります。

 それは、新車同様の車両でありながら、意外と車両の評価が低いことです。

 一般的に中古車の外装と内装はそれぞれ5段階(A/B/C/D/E)で評価され、そして総合評価はS/6/5/4.5/4/3.5/3/2/1と11段階での評価になっているのですが、この総合評価が東京2020大会仕様においては、4.5から5が中心となっています。

 ●例えば「ノア Si」の場合
 ・年式:2021年(R3年)
 ・車検:2024年6月
 ・走行距離:699km
 ・カラー:ホワイトパールクリスタルシャイン
 ・総合評価:4.5
 ・外装評価:B(外装うすい線キズあり・外装のり付き・塗装・シールなどの看板あり)
 ・内装評価:B(コンソール傷小・コンソールのり付き・天張傷小・ドア内張傷小・ドア内張すれ小・荷室・内張キズあり)

 このように走行距離1000km以下、2021年5月登録といった「ほぼ新車同様」という中古車であっても、評価点が低いのです。

 この理由について、関東地方のトヨタ認定中古車販売店は次のように話しています。

「走行距離が数百キロで登録からまだ3、4か月のクルマもあり、本来なら『新車同様』の扱いとなりますが、評価が低いのは東京2020大会のラッピングが施工されていることが理由です。新車とは外装が違っていることで評価点が低くなります。

 また、内装もキレイに見えますが、実は大会運営で使用されるにあたってほぼすべての車両に専用アプリとそれを使うためのタブレットを設置しました。

 そのタブレットを設置する際にビス止めしたあとや、糊付けのあとなどがあってそれが内装の評価を低くしています。

 ただ、もちろん、使用に差し支えるものではなく、大きく美観を損ねるものでもありません。

 ほとんどは気にならないレベルだと思いますが、トヨタ認定中古車として扱う以上は一般の中古車への評価よりも厳しくなるのです」

 また、西日本のトヨタ認定中古車販売店は次のように話しています。

「東京2020大会で使われたというプレミア価値がある一方で、ラッピングは『ボディに何らかの加工をしている車両』と評価されるため外装の評価は下がります。

 6段階の評価は車両の状態を正確に細かく入力して自動的に評価の数字が決まる仕組みになっています。

 もちろん、購入されたお客さまがラッピングを剥がすのは問題ありません。

 貼ってから数か月の車両であれば、ドライヤーの温風を当てるなどして剥がすことも可能といわれていますが、キレイに剥がすならやはり専門業者にお願いするのが良いでしょう」

※ ※ ※

 実際、トヨタ認定中古車の評価システムに東京2020大会で使われたというプレミアムな価値は評価対象となっていないので、「中古車としての評価」だけを考えるなら、使用状況ゆえの評価となっているようです。

 とはいえ、ゴールテープをイメージしたラッピングは「これぞ東京2020!」というプレミア感を出していますし、室内のビス止めあとも、オリンピックで使われた車両であることの証拠です。

 57年ぶりの開催、数々の感動を与えてくれた東京2020で使われたクルマであることに価値を求める方には良い選択になるでしょう。

 また、現在、日本の自動車メーカーは東南アジアでの新型コロナ感染拡大の影響で、トヨタをはじめ国内工場の減産体制を敷いているところも少なくありません。

 新車の供給が滞っていることから、下取り車が入荷しないなど中古車市場にも影響が出ています。

 このような状況のなかで、東京2020大会の中古車は新車同様の極上車が「即納」で入手できる魅力もあります。