「密にならない移動手段」としてクルマの需要は高まっていますが、新車市場では新型コロナウイルスによって、長い納車待ちが続いています。では、いま新車を購入する人はどのような経緯でその決断に至ったのでしょうか。

なぜ長い納車待ちが続くなかで新車を購入したのか

 新型コロナウイルスの影響により、「クルマでの移動」に関心が寄せられています。
 
 新車・中古車共に需要が伸びているといいますが、新車に関しては半導体不足やパーツ供給不足などにより長期にわたる納車待ちが続いています。
 
 では、そのような状況下で新車を購入した人はどのよう経緯で購入を決断したのでしょうか。

 2020年初頭から本格的に流行し始めた新型コロナウイルス。
 
 2020年上半期の国内新車市場は、緊急事態宣言や外出自粛により販売台数が落ち込んでいました。
 
 その後、下半期になるにつれ販売台数が回復傾向にあり、販売が好調なメーカー、車種もあります。

 しかし、2021年に入ると3月に半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスの工場火災が発生。
 
 これにより前述の半導体不足に陥っており、各自動車メーカーともに生産調整を余儀なくされました。

 2021年夏頃にはそれらの影響は徐々に少なくなったものの、東南アジアを中心に新型コロナウイルスの感染が拡大し、自動車部品の生産体制に大きな影響が出ました。

 これらのふたつの要素により、車種によっては半年から1年以上の納車待ちが発生。

 また、カーナビなどにも同様の自体が発生したこともあり、納車は出来たものの、カーナビは付いていない状態ということもあるようです。

 こうした状況もあり、GoogleやYahoo、Twitterなどの検索窓では「車種名+納車(納期)」というサジェストが多く見られます。

 実際にTwitter上でも「シビックの納車が待ち遠しい」「ハリアー買ったけど半年待ち」「ノートオーラは6月契約で12月末納車予定」といったような納車を待ちわびる声が多数投稿されています。

 また、ホンダ「ヴェゼル」においては公式ホームページにて「PLaYグレードについては、部品供給の遅れにより、ご注文受付を一時停止しております」と掲載するなど、新規受注を停止している車種もあるようです。

 現状の納車状況について、首都圏のトヨタ販売店スタッフは次のように話しています。

「9月にメーカーから案内があったように現在は『東南アジアでのコロナ影響によって部品の供給が不足しているようです。

 そのため、色々な車種で生産遅れが発生しており、結果として納車が長くなっています」

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 生産調整や長い納車待ちは、国産メーカーだけではなく、海外メーカーでも同様の状況となっています。海外で生産したクルマを日本に運んでくることが難しくなり、それが販売面にも影響しているようです。

9月契約で納車は来年5月! それでもクルマを購入した理由とは

 神奈川県在住のW氏(30代・男性)は、トヨタのコンパクトSUV「ヤリスクロス(Gグレード/2WD)」を2021年9月上旬に購入(契約)したものの、納車予定は2022年5月中旬といわれたといいます。

 では、こうした長い納車待ちの状況において、どのような経緯でクルマを購入したのでしょうか。

–そもそもクルマを買おうと思ったきっかけ

 結婚前から結婚2年目までは東京都内に住んでいいたため(家賃の高さやいざ買うときの駐車場など金銭的に難しいという側面も含めて)、クルマの必要性を感じていなかったです。

 しかし、2019年に神奈川県へ引っ越したことで移動手段としてのクルマの必要性を感じるようになりました。

 さらに新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛、人込みへ赴くことへのネガティブな風潮が後押しとなってクルマでの移動を望むようになったことも要因としてあります。

–サブスクリプションやリースではなく現金一括で購入した理由

 月々の固定費があるのに、結果として資産や財産として自分のものにならないものが好きではないという理由が大きいです。

–中古車ではなく新車にした理由

 中古品がそもそもあまり好きではなく「新品主義」という性格的理由が大きいです。

 また、初めての自家用車購入ということもあり、購入時の対応やその後のアフターケアも丁寧だと思われる新車ディーラー(中古車販売店での購入経験がないので推測ですが)で購入したいという側面もありました。

–なぜ「トヨタ ヤリスクロス」を購入したのか

 前提として、両親が愛知出身でトヨタ車信仰が強く実家で乗っていたクルマがずっとトヨタ車だったので、なんとなく自分もトヨタ車への安心感や信頼感がありました。

 また、自身が大学生のころに実家で乗っていたクルマが「ラッシュ」だったため“座面高の高いクルマが運転しやすい”という印象があり、「トヨタのSUV」という一択でした。(座面高という意味ではワゴン車やミニバンも入るのかもですが家族構成やライフスタイル的に検討に入っておらず)

 自身の運転技術や利用シーンを鑑みてスモールサイズのSUVで検討しており、当初は「ライズ」と「ヤリスクロス」で検討していましたが、同じころに新型「カローラクロス」の発売が明らかになったので選択肢に加えて三択でディーラーへいきました。

 いざディーラーで話を聞いたところカローラクロスのサイズは「RAV4」や「ハリアー」と同等という説明があり、それを聞いた妻がそんなに大きなクルマは運転できないとなり、選択肢から外れました。

–オプションや色の選定基準

 見た目重視でホイールは変更、そのほか最低限の安全装備をつけようかと思っていましたが妻が運転することを考慮して最大限の安全装備にしました。(金銭的には痛手)

 色は売れやすく、買取値段も高くなりやすいという理由から黒を選んでいます。

–納車までの期間について

 正直、8か月から9か月待ちといわれて上がったヤリスクロスに対する熱が下がったものの、一括購入による多額の支払い分を8か月から9か月間計画的にためることができるのは不幸中の幸いと考えました。

 また、クルマを購入したことがなく通常どのぐらいで納車されるのかを知らないため、買い慣れている人ほどの嫌悪感はないのかなと思います。

 今回、初めてのクルマということで乗り換えでもなく、車検の都合などの事情もないので、単純に納車が遅いということで大きな問題はなかったです。

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 新型コロナウイルスは、世界的にさまざまな分野で影響を及ぼしており、社会全体や個人間の家庭などの経済的な不安はいまだに残っています。

 そうしたなかで、クルマを新車購入するということは大きな決断です。しかし、密にならずに移動出来る手段として関心を集めるクルマだからこそ、ニューノーマルな社会には重要な存在といえるのかもしれません。