2022年の成人式では、屋根無しオデッセイが成人式にて暴走行為をおこなったことはテレビやSNSなどで大きいな話題となりました。実際にはナニがあったのでしょうか。

京急汐入駅前に出現したとんでもないオデッセイってナニ?

 2022年1月9日、京急汐入駅(神奈川県横須賀市)に屋根を切った奇異な姿の違法改造オデッセイが現れました。
 
 どう見ても公認車検をとっているとは思えないオデッセイに、7-8名程度が明らかに座席ではない場所に乗っています。
 
 車検も切れていてナンバーは仮ナンバーですが、法令違反てんこ盛りのオデッセイです。

 違法行為がおこなわれていた汐入駅前にはパトカーも2台来ていましたが現場にいた人の証言ではその場での取り締まりはおこなわれていなかったとのこと。これにはどんな理由があるのでしょうか。

 横須賀警察署や神奈川県警広報県民課に理由を聞いたところ「回答いたしかねます」とのことでしたので、成人式の暴走車両対策で豊富な勤務経験を持つ、元白バイ隊員に聞いてみました。

「本来は、『1.違反の現認』、『2.停止・取調べ・切符処理など』、『3.停止にも従わない場合ナンバーや車種、乗っている人間から、事後捜査』ですね。

 せめて、停止ぐらいは指示しないと、現場の警察官の数も足りていませんね。

 成人式などの暴走は集団になると威勢がよくなるので、警察官も倍は欲しいところです。別々に引き離して聴取するのが基本です。

 現場にいた警察官は取締りの知識がなく、人数でも圧倒され尻込みし、結果として何もできなかったのかなと推測します。

 私が以前、成人式の暴走車両対策で勤務していたときにはサイレンを鳴らし徹底的に追いかけました。

 止まるか止まらないかは別として、目の前で違反があるときは声掛けしないとダメですね」

とんでもないオデッセイはどの部分が駄目だったのか?

 それでは具体的に道路運送車両法や道路交通法の観点からこのオデッセイの何がダメだったのでしょうか。

 【1.ナンバーが仮ナンバーである】

 オデッセイには「仮ナンバー」(臨時運行許可番号標)がついていました。

 騒動のあと、横須賀市内のコインパーキングに停められているところを撮影した写真ではっきりと確認することができます。

 一般の人が仮ナンバーをつけてクルマを走らせる場合は、未登録自動車の新規検査や登録、車検が切れた自動車の継続検査(車検)を受ける際などに運輸支局等まで運行する場合、また車検取得に必要な整備を受けるために整備工場などへ移動する場合のみ許可されます。

 ただ車検切れの自動車を動かすという目的では使うことができません。

 もちろん、成人祝の違法改造車で暴走するために使うなどもってのほかです。

 ところでこの仮ナンバーはどうやって入手したのでしょうか。見たところフェイク(装飾用の作り物)の仮ナンバーではないようです。

 誰がいつ借りたのか。まずは仮ナンバーを貸し出した横須賀市役所に確認したところ、意外な事実がわかりました。

 なんとこの仮ナンバーは「正式な手続きを経て申請されたもので、すでに返却されている」とのことでした。

 使用方法はNGではあったものの、貸出申請の手続きや返却については問題なかったことになります。

 【2.進路妨害、進入禁止場所の走行、整備不良(近接排気騒音)など】

 SNSや情報番組、動画共有サイトなどで紹介されたオデッセイはおもに京急汐入駅のバスロータリー周辺で撮影されていました。

 屋根を切ってシートも外され奇異な姿となったオデッセイを目撃した人の話ではパトカーや警察官がいる前で数々の違法行為がおこなわれていたとのことです。

「駅前のロータリーはバスやタクシーの専用レーンで、一般車は進入禁止です。

 信号無視して走り回っていた他、空ぶかしやクラクションを鳴らして周囲を威嚇していましたね。

 バスやタクシーなどその場の走行を許可されたクルマに対して進路を妨害する形になっていました。

 周囲にはパトカーも2台来ていましたが、私が見た限りでは取り締まっている様子はありませんでした」(現場の目撃証言)

 【3.乗車人数も乗車位置もNG】

 写真で見ると、後に座席があるかは不明ですが明らかに座席ではない場所に複数の人が乗っていることが分かります。

道路交通法 第55条においては、「車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない。」と定められており、人が乗るための場所(つまり座席)以外に乗ることは禁止されています。

 【4.全員シートベルト着用していない】

 運転席の人はもちろん、乗っている人全員が誰一人シートベルトをしていないように見えます。

 そもそも座席ではない場所に座っているので当たり前といえばそうですが。

 また写真ではオデッセイのほかにバイクもうつっていますが、ヘルメット無しで同じように進入禁止の場所に入り込んでいる様子が分かります。

 【5.不正改造をおこなっている】

 正規のナンバーが取得できていないことからして、このオデッセイが不正改造をしていることは明らかです。

 屋根を切れば当然、ボディの強度も落ちますので大変危険です。

とんでもないオデッセイはこの状態で事故ったらどうなる?

 ところで、法令違反満載のオデッセイですが、この状態でもし事故を起こしたらどうなるのでしょうか。

 任意保険には入っていないと思われますが、仮ナンバーを取得する際には必ず「自賠責保険」に入ることが義務付けられています。(その際、車台番号が必要になります)

 仮ナンバーの有効期間は最長でも5日ですが自賠責保険は1か月単位となるので5860円(1か月契約の保険料)を納めて自賠責保険の保険証書とともに役所に申請します。

 つまり正規の方法で仮ナンバー取得=自賠責保険には入っているので、この状態で事故を起こして歩行者や周囲の交通の乗員にけがをさせたり、死亡させたりした場合は治療費や慰謝料は支払われることになります。

 なお、自賠責保険とは加害車運転者以外の「人」に対する補償です。

 車両やガードレールなどを損傷した場合の「対物」については補償がされません。

 成人式+不正改造車での暴走は一時期に比べると大幅に減少していますが、神奈川県横須賀市という首都圏の都市部でこのようなクルマが出現したのは驚くばかりです。