最近のクルマには、車内に「SOS」と書かれたボタンが設置されています。緊急時に使うものというのはわかりますが、どのような場合に使用すれば良いのでしょうか。

「SOSボタン」とは?こんなときは使って良いの?

 最近の新型車では定番化されている機能として、「ヘルプネットボタン」「SOSコールスイッチ」といった車内のルーフ部分に備え付けられたボタンがあります。
 
 非常時に使用するということはわかりますが、どのような場合に押せば良いのでしょうか。

 トヨタはヘルプネットボタン、日産はSOSコールスイッチ、ホンダは緊急通報ボタン、マツダはSOSボタンなど自動車メーカーにより呼称は異なりますが、緊急時に役立つ機能として「事故自動緊急通報機能」(以下SOSボタン)が装備されている車種が増えました。

 この機能は、緊急時に運転手などがボタンを押すなどして発信する手動通報と、エアバッグの作動を検知して発信する自動通報により、オペレーターと連絡をとる手段です。

 日本では、2020年1月以降に生産される新型車に対して装備が義務付けられていることもあり、最近では見かける機会が増えています。

 その一方で「どのような場面で使用すればいいのか」という点での認知はまだ完全とはいえません。

 そんなSOSボタンですが、SNSでは「搭載されてるけど使ったことがない」というユーザーが多く見られます。では、一体どのようなときに使用するのが適切となっているのでしょうか。

 各自動車メーカーでは、急病時や危険を感じたときなどの使用を前提としています。

 人によって体調不良の判断基準は異なりますが、その後の運転の危険性も考慮して、運転者の場合では「運転の継続が難しいかも…」と少しでも感じた時点ですぐに活用するのが望ましいといえます。

 また、あおり運転の場合も同様で、前方車両が意図的に急停車を繰り返していたり、後方車両が必要以上に車間距離を詰めてきたり、パッシングやクラクションを鳴らしてきたりなど、警察に助けを求めたいと思ったときはSOSボタンを押すべきだと考えられます。

 一方で、事故にあった場合には、乗客が気を失っていたり、怪我をしてボタンを押すことができなかったりすることもあります。

 そのため衝撃の大きな事故ではエアバッグに連動して、自動的にオペレーターとつながるようになっています。

 オペレーターの対応について、国産メーカーの販売店担当者は以下のように話します。

「大きな事故にあってしまうと、大半の人は驚いて気が動転してしまいます。

 そのため、必要機関への連絡が遅れてしまうことが多く、事故対応も遅れてしまいがちです。

 もし気が動転して電話がかけられなかったり、怪我をして外部に連絡したりできなくても、SOSボタンが自動的に作動してオペレーターが状況を確かめるため、比較的スムーズに事故対応が進められます。

 同乗者の気持ちを落ち着かせたり、冷静に状況の把握をするためにもオペレーターの存在は大きいといえます」

 このように、SOSボタンは通常の運転に支障が出る場合などに活用することが望ましいといえます。

 そのため、「飲食店を紹介してほしい」「道に迷った」などの場合には、各自動車メーカーが提供するコネクティビティシステムを活用しましょう。

ボタンを押したあとは?オペレーター、保険会社、家族にも繋がる?

 では、そんなSOSボタンですが、押したあとにはどのようなプロセスで対応が進むのでしょうか。
 
 例えば、他車と事故を起こしてしまった場合を想定します。運転者が自身でSOSボタンを押せる場合には、ボタンを押してオペレーターとの接続を待ちます。

 ボタンを押した時点で、オペレーターにはクルマの情報が確認できる状態になっており、登録した運転者自身の情報に加え、車両の情報や現在の位置情報などが把握できるようになっています。

 運転者が会話できる状態であれば、オペレーターに周囲や乗員の状態、現在の状況などを伝え、オペレーターが警察や救急、ロードサービスの手配をおこないます。

 また、それと同時に保険会社へも事故が起きたという連絡が届くようになっています。

 保険会社は、運転者の情報や車両情報から、加入している保険のプランなどを確認し、ディーラーへ修理の見積もり作成を依頼します。

 さらに、SOSボタンを押すと緊急連絡先として指定した連絡先へもトラブルを知らせる連絡が届くようになっており、家族へ事故の発生を伝えます。

 とくに遠方に家族が住んでいる人にとっては、身に起きたトラブルをすぐに知らせられるため、非常に有効といえます。

 従来であれば、警察や救急、保険会社、ロードサービス、家族への連絡はすべて運転者自身がおこなう必要がありました。

 しかし、SOSボタンが搭載されたことで、そうした機関への連絡はすべてオペレーターがおこなうことになり、運転者の精神的負担が軽減されたといえます。

 また、前出の担当者は、こうしたSOSボタンの機能について「お客さまからも『安心だ』というご意見をいただいています」として、利用するユーザー層について以下のように話します。

「ご利用されているお客さまのなかでもよく見られるのが、ひとりでクルマに乗る機会の多い高齢者です。

 例えば息子さん家族と離れて暮らしている人などが多く、息子さんと一緒にクルマを買いに来て、SOSボタンがついていることにメリットを感じるようです」

※ ※ ※

 なお、自動車メーカーによっても異なりますが、SOSボタンを使用してオペレーターと繋ぐためには、各社のサービスや保険制度に加入しておく必要があります。

 加入プランは店頭で相談することができますが、なかには保険料が走った分だけのプランや年齢別のプランもあり、ニーズに合わせたものが選べることもあるようです。