ハイパワーなエンジンを搭載し、強化されたサスペンションやブレーキにハイグリップなタイヤを装着した高性能車は、見た目にも速そうなデザインです。しかし、もっと大胆な外観にモディファイされた高性能車も存在。そこで、超絶アグレッシブなハイパフォーマンスカーを、3車種ピックアップして紹介します。

アグレッシブな外観の高性能車を振り返る

 速く走ることに特化したスポーツカーは、ハイパワーなエンジンを搭載し、サスペンションとブレーキが強化されるだけでなく、見た目にも速さを主張するデザインとなっているのが一般的です。

 2ドアクーペボディの生粋のスポーツカーだけでなく、4ドアセダンをベースにした高性能車でも各種エアロパーツが装着され、派手な外観をまとっています。

 単にカッコよさをアピールするドレスアップだけでなく、空力性能の向上といった機能的な理由もあるからです。

 一方、これまで登場した高性能車のなかには、もっと大胆な外観にモディファイされたモデルも存在。

 そこで、超絶アグレッシブな国内メーカーのハイパフォーマンスカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「240RS」

 日産によるモータースポーツへの関わりは長い歴史があり、1936年には多摩川の河川敷で開催されたレースに参戦していました。

 そして第二次世界大戦後では、1958年の「豪州ラリー」クラス優勝を皮切りに、国内外のラリーへ積極的に参加するようになりました。

 当初は市販車をレギュレーションに沿って改造したマシンで参戦していましたが、1982年に、公道走行も可能なモータースポーツ専用車両として「240RS」が誕生。

 240RSは3代目「シルビア」の2ドアハードトップをベースに開発されたモデルで、200台の生産で公認が取得できるグループBカーに該当しました。

 外観はシルビアと共通のシルエットですが、ラジエーターやオイルクーラーの冷却を効率良くおこなうために開口部が拡大された専用のフロントグリルとバンパーによって、戦闘的なフロントフェイスへと変貌。

 トランクリッドにはリアスポイラーが装着され、圧巻なのが4輪にスクエアな形状で大型のオーバーフェンダーが取り付けられており、大迫力のボディとなっていました。

 内装では快適装備というとヒーターくらいで、あとはインパネにメーターとグローブボックスがあるだけと、まさに戦うためのマシンです。なお、販売は日本でも左ハンドルがメインでした。

 搭載されたエンジンは240RS専用に開発された2.4リッター(2340cc)直列4気筒DOHC「FJ24型」で、2基のソレックス製キャブレターと4-2-1のエキゾーストマニホールドを装着し、圧縮は11まで上げられ、最高出力240馬力を7200rpmで発揮。

 さらに240RSにはスタンダード仕様のほかに4種類のチューニングオプションが設定され、もっともハイチューンの仕様ではドライサンプキットや、より高回転型のカムシャフトを組み込まれ、最高出力280馬力/8000rpmまでパワーアップが可能でした。

 240RSはグループBカーで戦われた世界ラリー選手権(WRC)に1983年シーズンから参戦を果たしましたが、すでに当時のWRCでは過給機付きエンジンの4WD車がトップランナーに君臨しており、自然吸気エンジンでFRだった240RSはすでに時代遅れでしたが、1983年のニュージーランドラリーで2位、1985年のサファリラリーで3位などの戦績を残しています。

●ホンダ「S2000 タイプS」

 ホンダは1998年に、創立50周年という大きな節目を迎えました。その記念事業のひとつだったのが1997年に開業した「ツインリンクもてぎ」で、そしてもうひとつが1999年に発売された2シーターFRオープカーの「S2000」です。

 ホンダ製のFR車というと、1970年に生産終了した「S800」以来29年ぶりで、新開発されたシャシに、同じく新開発の2リッター直列4気筒DOHC VTECエンジンを搭載。最高出力は自然吸気ながら250馬力を誇り、まさに究極のFRスポーツカーといえる内容でした。

 その後、S2000は改良が重ねられてバリエーションも増え、そのなかの1台が2007年に発売された「S2000 タイプS」です。

 ベースは最高出力240馬力の2.2リッターエンジンを搭載した後期型で、最大の特徴は外観にありました。

 フロントにはカナード状に左右に大きく張り出したスポイラーが装着され、高速走行時のダウンフォースだけでなく、ボディ下面に流入する気流をコントロールする効果を発揮。

 さらにリアには中央部を湾曲させた形状の巨大なリアウイングが装着され、ダウンフォースを得られるだけでなく、シートの後方に発生する空気の乱流を整流する働きがありました。

 また、足まわりは闇雲に強化するのではなく、ステアリング操作の応答性を追求したチューニングが施されるなど、サーキット走行を重視した「タイプR」シリーズとは異なるコンセプトで仕立てられていました。

 S2000 タイプSの登場から2年後の2009年に、S2000は生産を終了。タイプSはシリーズ最後に追加されたモデルとして今では貴重な存在です。

●スバル「S209」

 スバルテクニカインターナショナル(以下、STI)は、スバルのモータースポーツ活動をサポートする会社として、1988年4月に設立されました。

 その後、WRC参戦車両の開発と平行して市販車の高性能化にも取り組み「STIバージョン」が誕生し、さらにチューニングパーツの販売と事業を拡大。

 そして1998年にはSTI初のコンプリートカーで、今や伝説的なモデルとなった「インプレッサ 22B STiバージョン」が発売され、以降、数多くの高性能なコンプリートカーを手掛けてきました。

 そんなSTIが開発したコンプリートカーのなかでもアグレッシブなモデルだったのが、2019年にアメリカ市場で209台が限定販売された「S209」です。

 S209はWRX STIをベースに、外観ではカナード一体型フロントオーバーフェンダーとリアオーバーフェンダーが装着され、ボディサイズは全長4620mm×全幅1839mm×全高1475mmとベース車に対して全幅が44mmワイド化されました。

 また、専用の前後アンダースポイラーとドライカーボン製の大型リアウイングが追加され、車高のローダウン化と専用の19インチホイールによって戦闘的なスタイルに変貌。

 ほかにもカーボン製ルーフなどによる軽量化とボディ剛性の強化、サスペンションにはビルシュタイン製ダンパーに強化されたコイルスプリングとブッシュが採用されたことで、コーナリング性能が高められました。

 エンジンはアメリカ仕様のWRX STIに搭載されていた2.5リッター水平対向4気筒ターボ「EJ25型」をベースに、大型エアクリーナーや専用吸気ダクト、大径ターボチャージャー、専用設計の低背圧マフラー、専用ECUなどによるチューニングで、最高出力345馬力を発揮。組み合わされるトランスミッションは6速MTのみでした。

 S209は発売されると争奪戦のうえ即完売。残念ながら日本では販売されませんでしたが、平行輸入でわずかな台数が上陸しています。

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 アグレッシブな外観の高性能車というと、直近ではトヨタ「GRMNヤリス」が発表されて大いに話題となりました。

 また、2022年中にはホンダ新型「シビック タイプR」の発売が控えており、電動化が加速するなかでもスポーツマインドあふれる高性能エンジン車の登場は、クルマ好きにとって非常に喜ばしいことではないでしょうか。