ヘッドライトのバルブのみを交換してLED化する人が増えていますが、色温度や明るさでバリエーションがいろいろとあり、法規制も複雑なので車検に通らないという事態も起こっているようです。どのような商品を選べばよいのでしょうか。

道路交通法と保安基準により細かい規定があるヘッドライト

 日没から日の出まで、暗い時間帯にクルマを運転するときはヘッドライトを点灯させることが義務付けられています。

 ヘッドライトは必要不可欠な装備といえますが、ヘッドライトのバルブ(HIDはバーナー)交換は手軽にできるカスタムとしても定番となり、最近はハロゲンからより明るいLEDに切り替える人も増えています。

 そんなバルブ(バーナー)交換で悩むのが「色温度」や「明るさ」についてです。社外品では適合品でもさまざまな色温度や明るさのものが販売されていますが、どう選んだら良いのでしょうか。

 ヘッドライトに関する規定はかなり難解で、道路交通法第52条では「夜間走行するには、前照灯、車幅灯、尾灯などを灯火しなければならない」と定められており、「交通の妨げになる場合は灯火を消すか光度を減ずるように操作しなければならない」とも記述されています。

 なお、「走行用前照灯(ハイビーム)」は前方100m先の障害物を照らせること、「すれ違い用前照灯(ロービーム)」は40m先までと定められています。

 多くのドライバーが普段メインで使用しているロービームはあくまで「すれ違い用前照灯」で、本来は「走行用前照灯」であるハイビームを使用するべきとされています。

 そして、夜間走行時にハイビームとロービームを頻繁に切り替える必要があることから、最近「オートハイビーム機能」の装着が進んでいるのです。

 明るさや色温度の規定については保安基準198条で規定されており、1灯で「6400カンデラ」以上(ハイビームは1万5000カンデラ以上)の明るさが必要と記載されています。

 ちなみにこの「カンデラ」というのは、国際単位系(SI)における光度の単位で、同じく明るさの単位である「ルクス」×距離の2乗で求められます。

 法律的に難しいのは、明るさの基準は「走行用前照灯(ハイビーム)」には43万カンデラという上限があるのに対し、「すれ違い用前照灯(ロービーム)」にはないことです。

 それでいながら、2015年からは車検での検査が「すれ違い用前照灯(ロービーム)」での検査となり、厳しく検査されるようになりました。

 つまり検査官の判断によっては、車検が通らないケースも出てくる可能性があるということでなのす。

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 最近のクルマのヘッドライトは、消費電力が少なく耐久性に優れるLEDを純正化するケースが増えましたが、以前のクルマはハロゲンバルブを使用しています。

 ハロゲンバルブは安価なのですが光度が低めなので、明るいLEDに交換する人が増えています。

 交換の手順は簡単です、ハロゲンバルブを外し、適合するLEDバルブに交換するのみ。しかし、ここに落とし穴があると、神奈川県の整備工場に勤務するT整備士は指摘します。

「バルブ交換は簡単に見えますが、実際はヘッドライトユニットを取り外さないとバルブが取り出せないことが増えています。

 無理に手を突っ込んで交換できたとしても、バルブの取り付け位置が斜めになって光軸が狂ってしまうケースも多々あるので、販売店や整備工場に相談したほうが良いでしょう」

 また、ハロゲン用のリフレクター(反射面)とLEDのマッチングがうまくいかず、保安基準で定められた光軸からかなりズレてしまって車検に不合格となってしまうことも多いそうです。

 しかもこの光軸検査は専用のテスターでないと調べにくいというのも、問題をさらに面倒にしている要因でしょう。

 ちなみに光軸とは、簡単にいえばヘッドライト(現在はロービーム)が照らす方向のことです。歩行者や障害物を認識でき、かつ対向車などから眩しく感じない位置に光の中心があることが重要で、実際に車検場でメインにチェックされるのもこの光軸です。

「バルブ交換自体はDIYでできても、最終的な調整はテスターでの確認が必要ということです。

 ユーザー車検の場合は自分でおこなう必要がありますが、販売店やディーラー、整備工場などで継続車検を取得する場合は、お店に光軸調整をお願いすると良いと思います」(T整備士)

バルブの色温度によって感じる明るさが違う! 実際に交換してみた

 もうひとつ、バルブ(バーナー)交換でこだわりたいのが「色温度」です。これは光源の色を数値で表したもので、単位は「ケルビン(kelvin)」となっています。

 現在、市販されているバルブ(バーナー)は、2800K(ケルビン)から10000Kあたりとなっており、低い数値では赤みがかった光となり、数値が高くなるほど青みがかった光に見えます。

 ただし、車検をパスさせるためには、保安基準の第198条の三で明記される「走行用前照灯は白色であること」に適合させなければいけません。

「昔は色温度が低く(2800K)黄色がかったバルブなどが流行りましたが、現在は人間工学的により明るく認識される高めの色温度(6500K前後)のバルブが人気です。

 平均的な白さでいえば4300Kから5500Kあたりなら問題なく車検を通ると思います」(T整備士)

 実際、2800Kから6700Kあたりまでが車検対応といわれる合格ラインとなっており、10000Kになるとブルーの発色が強く、車検時では検査官が白と認識しないケースもあるそうです。

 今回、実際に筆者(金田ケイスケ)がバルブ(バーナー)の交換をおこなってみました。

 車両は純正でHIDを採用するアウディ「A4アバント」(2011年式)で、バーナーの形式は「D3S」となっており、適合するものをインターネットで購入。

 純正HIDバーナーの色温度はおそらく4300K程度で、ハロゲンよりは白に近いのですがLEDほど鮮やかとはいいがたい色温度だったので、少しだけ青みがかった印象の6500Kをチョイスし、最近の新型車のLEDヘッドライトに近い色合いにしてみました。

 前出のT整備士に正しい取り付け方法を教えてもらいながら施工してみたのですが、まずはボンネットを開けてヘッドライトユニット上のカバーを取り外します。

 次にヘッドライトユニットを固定しているボルトを取り外し、配線に気をつけながらユニットごと前方にスライドさせるように取り出します(ここでバーナーに電力を供給しているカプラーを外す必要があります)。

 あとは、後ろのゴム製カバーを開けると古いバーナーが見えるので、これを新しいのと交換。そして逆の順序で元の位置に戻していきます。

 T整備士が指摘したようにユニット後方には交換できるだけのスペースがエンジンルームにはないため、ユニットごと取り外してバルブ(バーナー)交換する方法がもっとも効率良く作業可能です。

 カー用品量販店での作業工賃は、バルブ(バーナー)交換だけだと2000円から3000円、ヘッドライトユニットを取り外す必要がある場合は5000円から6000円前後が相場。

 しかし自分でやればバルブ(バーナー)の購入費用だけで済み、作業工賃を抑えたい人やメンテナンスに自信がある人はトライしてみてもいいかもしれません。

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 交換後に高速道路を走った感想として、+2000Kの明るさは効果抜群です。光量は同じながら明るさは2、3割アップしたように感じられ、夜の運転がかなり楽になりました。

 そして色温度の違いによって視界の印象が変化することを実感でき、さらにクルマの見た目も数年若返った気がします。

 ただし明るければ良い(色温度が高い)というわけでもなく、たとえば積雪の多い地域では逆に色温度を下げて黄色みがかった光のほうが凹凸に陰影が出やすく運転しやすいでしょう。

 また、バルブ(バーナー)交換の手順も覚えてしまえば難しくないのですが、ヘッドライトユニットを取り外すためにはバンパーまで外さなければいけない車種もあるようです。交換するときは事前に販売店に相談してみることをおすすめします。