夏はゲリラ豪雨や台風により各所で冠水・浸水の被害が多発します。水たまりを走行する際にはどのようなことに注意が必要でしょうか。またドアの開閉が難しくなった場合どうすれば良いのでしょうか。

夏はゲリラ豪雨や台風でクルマが冠水する危険が!水深何cmでドアが開きにくい?

 夏は、台風やゲリラ豪雨などによる影響で、冠水・浸水の被害が続出します。
 
 そうしたなかで、2022年5月28日にJAF福岡支部は「冠水車のドアの開け閉めが体験できる実証実験」をおこないました。水たまりを走行する際にはどのようなことに注意が必要でしょうか。

 そんな台風やゲリラ豪雨時は、クルマの運転にも注意が必要です。例えば、急アクセル・急ブレーキ・急ハンドルによるスリップ事故や、視界不良による前方車両への追突事故などの危険が考えられます。

 また、とくに注意が必要な走行場所としては、「アンダーパス」が挙げられます。

 アンダーパスとは、高架下やトンネルの下などの通常より路面が低い走行場所のことを指しており、そうした場所には雨水が溜まって大きな水たまりが生じやすくなっています。

 水深が深い水たまりに侵入すると、クルマによっては、冠水してその場で立ち往生することになってしまう可能性もあります。

 JAF福岡支部の担当者は、クルマへの冠水について以下のように説明します。

「モデルによってドアの形状や地上から車両までの高さが違うので、一概には何センチの水深から冠水するとはいえません。

 実験をおこなったところ、おおよそ水深30cmではドアの開放ができましたが、水深60cmであれば車外との水位差が均等でなければ開放が難しい状況です。

 水位がドアの下端より下にあれば開きますが、水位がドアの下端を超えた場合はドアが開きにくくなります」

 このように、ドアの下部の高さを水深が超えてしまうと、内側からドアを押し開けることは困難になるようです。

 では、ドアが開かない事態に陥った場合はどのように対処したら良いのでしょうか。前出の担当者は以下のように続けます。

「ドアが開かなくなった場合、窓ガラスを開けて避難を試みますが、窓ガラスも電動で作動するものが多く、状況によっては開きません。

 そうなった場合は窓ガラスを割ってクルマの外へ避難します。クルマの窓ガラスは専用のハンマーではないと割れにくいので、自動車販売店やカー用品店で事前に購入し用意をしましょう。

 立ち往生後、車外の水位が短時間に上昇した場合は、ドアが開かなくなる前にクルマを置いて徒歩で避難してください」

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 クルマの窓ガラスを割るための専用道具には「脱出用ハンマー」が挙げられ、カー用品店などで販売されています。

 タイプや大きさはさまざまですが、片手で持って使用できる小型のものが主流です。クルマに装備しておいても場所をとることはないため、常に常備しておくのがおすすめです。

JAFの実験で体験した人の声は?

前述の「冠水車のドアの開け閉めが体験できる実証実験」の目的について、前出の担当者は「台風やゲリラ豪雨の前に大雨・集中豪雨によるトラブルを防ぐこと」だといいます。

 体験では、水深60cmの水のなかでクルマのドアの開閉を体験することができますが、実際に体験した人はドアを開けることができたのでしょうか。

 前出の担当者は、実証実験の様子を以下のように振り返ります。

「今回の実証実験では、ドアを開放できた人も数名見られました。

 しかし、シートに座った状態で開けるので力のかけ方が難しかったと話す人もおり、開放できた20代男性でもかなり必死な様子でした。

 成人男性であっても、半数近くが『うわ〜無理です』と諦めがちな様子で、10数cm開放できた人でも『車外から水が流れ込む間、どれくらいその状態がキープできるかは自信がない』とのことでした」

 このように、大人の男性であっても60cmの水深では、ドアを開けるのに一苦労なようです。小さな子どもや力に自信のない人では、開放するのはやはり至難のワザといえます。

 また、ほかにも体験した人からは、「自分ひとりでも無理なのに、これに子どもが一緒だったら避難は無理ですね」「たかだか60cmの水深の水圧が、予想をはるかに超えていた」「思った数倍もドアがかたくて開かなかった」といった声が挙げられました。

 とくに、「大雨が降ったらとっても怖いなと感じました」「ドアが開かないから逃げられずに車の中で亡くなる方がいるんですね。怖い…」など、冠水車に閉じ込められる恐怖を身をもって感じた人の様子が多く見られました。

 台風やゲリラ豪雨時の運転では、「ちょっとの雨だから」「いつも通ってる道だから」といって安心せず、冠水の危険性を十分に考えるようにしましょう。

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 また、JAF担当者は、「大雨などの警報が避難警戒レベル4以上の場合は、クルマを使わずに徒歩で避難しましょう」として、そもそもの周囲環境がクルマでの避難に適切な状況かどうかの見極めも重要だといいます。

 警報の内容やアナウンスをしっかりと聞き取り、慌てずに行動するように心がけましょう。