SUVのアピールする際に「悪路走破性」を押し出すことがありますが、近年多発する冠水路でも「SUVは安心」といえるのでしょうか。

近年多発する道路の冠水被害…「SUVは有利は本当?」

 近年では、夏時期になると突然の大雨(ゲリラ豪雨)により、河川が氾濫することや、アンダーパスに雨水が溜まり冠水路となる光景が見られます。
 
 基本的に、二次災害を防ぐためにも冠水路を避けて通行することが望ましいですが、場合によってはそのまま進行しなければならないことも考えられます。
 
 では、どの程度の冠水路であれば走行が出来るのでしょうか。

 2022年6月には、各地域で観測史上最大の大雨を記録し、たとえば北海道旭川市では堤防が決壊して河川が氾濫し、近隣住宅の床上60cmほどが浸水する被害となりました。

 また、同年7月には、埼玉県北部でゲリラ豪雨が発生し、関越自動車道の鶴ヶ島インターから東松山インター間の上下線が、冠水のため通行止めになる事態が起きました。

 さらに、8月に入ってからも東北地方で大雨の特別警報が発表され、記録的な大雨となり、河川が氾濫した様子が報じられています。

 基本的に、目の前の道路が冠水していた場合には、その道を避けて通行することが望まれますが、場合によってはそのまま進行しなければならないことも考えられます。

 そうしたなかで、昨今流行りのSUVは最低地上高がセダンなどよりも高いことから多少の冠水路であれば有利ともいわれています。

  JAFでは、過去にSUV(日産「エクストレイル」)とセダン(トヨタ「マークII」)のどちらが冠水路の走破性に優れているのかの実証実験をおこないました。

 実験では、水深30cmと水深60cmのコースが用意され、10km/hと30km/hの速度で走行した場合を検証しています。

 結果は、走行速度にかかわらず水深30cmのコースは両車ともクリアしましたが、水深60cmのコースでは、SUVが10km/hの速度で走行したときのみクリアできた結果になりました。

 JAFでは「同じ水深でも、速度が高くなると巻き上げる水の量が多くなり、エンジンに水が入りやすくなる」と説明しており、最低地上高の高さに加え、走行速度も重要なポイントになっているようです。

 冠水路を走行する場合に注意が必要なのは、冠水路の走行時にマフラーからエンジン内部まで水が進入することによって、エンジンが始動できない状態になる「ウォーターハンマー現象」です。

 配線などの電気系統は、浸水によってショートする可能性があり、各パーツが稼働できない状態になることも考えられます。

 とある自動車販売店の担当者は、SUVで冠水路を走行することについて、以下のように話します。

「SUVだから冠水路に強いとは、必ずしもいい難いでしょう。

 セダンやクーペなどに比べたら有利な点はありますが、SUVにもいろいろなモデルがあります。

 SUVというジャンルで考えるのではなく、モデルそれぞれの特性を見ることが重要です。

 最低地上高や悪路走破性などは、モデルによって大きく異なるため、すべてのSUVが冠水路に強いとは一概にいえません」

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 では、実際にモデル毎の最低地上高にはどのような違いがあるのでしょうか。

 例えば、トヨタ「プリウス」の最低地上高は130mmになり、そのほかのセダンもおおよそ近い数値となっています。

 一方でSUVの最低地上高にはばらつきがあり、コンパクトSUVとされるトヨタ「C-HR」(140mm-155mm)、ホンダ「ヴェゼル」(170mm-195mm)、日産「キックス」(170mm)。

 ミドルSUVではトヨタ「ハリアー」(190mm-195mm)、日産「エクストレイル」(185mm-200mm)、マツダ「CX-5」(210mm)。

 ラージSUVではトヨタ「ランドクルーザー」(225mm)、マツダ「CX-8」(200mm)と、ボディサイズに関わらず、差が生じていることがわかります。

 こうしたことから、“SUVが冠水路に強い”という認識ではなく、あくまでも“最低地上高が高いモデルが冠水路に有利”といった認識が正しいといえます。