2022年8月12日、中国の高級車ブランド「紅旗」は新型「HQ9」を発表しました。同社初となるミニバンですが、どのような特徴があるのでしょうか。

中国の高級車ブランド「紅旗」 初のミニバンモデル正式発表

 中国の高級車ブランド「紅旗」は2022年8月12日、初となるミニバン新型「HQ9」の先行予約を開始しました。中国国内でのデリバリーは10月以降を予定しているとのことです。

 紅旗は、中華人民共和国最初の自動車メーカー「第一汽車」が展開する高級車ブランド。

 1958年に最初のモデル「紅旗 CA72」が誕生して以来、数多くの中国の要人に愛されてきました。

 現在のラインナップは、初代モデルの流れを汲む保守的なデザインの「Lシリーズ」、そして伝統を重んじながらも、よりモダンな要素を加えた「Hシリーズ」の主に2つに分けられます。

 Lシリーズは日本でいう、トヨタ「センチュリー」のようなモデルで、現在はL5というモデルが紅旗全体のフラッグシップを務めています。

 一方で、Hシリーズは複数モデルで構成される商品群となっており、古典的な従来のセダン形状に加え、SUVも複数取り揃えています。

 また、パワートレインもガソリンのみならず、ハイブリッドや電気自動車(EV)、燃料電池車(PHEV)など、電動化にも積極的に取り組んでいます。

 そうしたなかで日本においては、2021年2月に上陸したことで話題となりました。

 紅旗は日本向けモデルの第1弾として、Hシリーズの最上級セダン「H9」を日本向けに投入。

 同年5月には各種試験や保安基準への適合も済ませ、晴れて日本の自家用ナンバープレートが交付、公道走行可能となりました。

 中国メーカー・中国製の乗用車が一般向けに販売ということは、このH9が初めての事例です。

 2021年12月には大阪・難波に車両展示や商談スペースを設けた初のショールーム「紅旗エクスペリエンスセンター」をオープンさせ、日本における事業のさらなる躍進を見せています。

 また、日本向け第2弾としてはミドルサイズSUV「HS7」も2022年3月に上陸し、H9同様、5月に自家用ナンバープレートが交付されました。

 これ以外にも、H9のロングホイールベースモデル「H9+」や、イタルデザインがデザインを担当したSUV「HS5」、そして紅旗のフラッグシップモデル「L5」など、多種多様なモデルを日本でも販売しています。

 今回、発表された紅旗初となるミニバンは以前より登場が噂されていました。

 フロントはH9と同じ顔を持たせ、そのままミニバンに仕立て上げたような外観が特徴的です。

 全長5222mm×全幅2005mm×全高1935mmの存在感あるボディサイズは中国でも大人気であるトヨタ「アルファード」どころか、トヨタが海外で展開するミニバン「シエナ」よりも大きいものとなっています。

 パワートレインは、H9の2リッターモデルと同じ2リッター直列4気筒ターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステム(システム最高出力245hp)が組み合わさっていますが、違うのはトランスミッションが7速デュアルクラッチトランスミッションではなく、8速オートマチックトランスミッションになっているという点です。

 また、この2リッターモデルは先行販売という位置付けになっており、後にH9の3リッターモデルと同様の3リッターV型6気筒スーパーチャージャー付きエンジンを搭載したモデルが登場予定だといいます。

 中国のミニバン市場は今、加熱の一途を辿っています。

 もちろん、保守的なスタイルの自動車であるセダンも依然として人気ですが、大家族の移動に便利なファミリー向けミニバンや、政府高官や芸能人、重役などの送迎に適した高級ミニバンなどへの需要が高まっています。

 そのなかでも、アルファードは不動の人気を誇るモデルで、フォルクスワーゲンやビュイックなどの他社が競合車種をリリースしたとしても、人気には雲泥の差があります。

 また、最近では長らく並行輸入でしか購入できなかった前述のシエナも正式に中国で生産・販売を開始したりと、中国のミニバン市場におけるトヨタの大躍進はとどまることを知りません。

 そういった状況のなかで、紅旗という中国人民には馴染みの深いブランドがついに高級ミニバンをリリースするのには大きな意味を感じることができます。

 紅旗がその約65年の歴史のなかで培ってきた上質さを、より多くの人に届けるために誕生したのが今回のHQ9です。

 中国ではアルファードやシエナを競合車種として意識しています。ただ、アルファードは大人気車種で中国での希望小売価格は83万9000元(邦貨換算:約1728万7300円)からですが、需要と供給のバランスが崩壊しており、優先的に納車されるための追加料金がディーラー独自で設定されており、合計で2500万円近くを支払うのが一般的となっています。

 しかしアルファードは全長4950mm×全幅1850mm×全高1950mmと、日本の道路事情に合わせたサイズなので若干小さめ。室内空間に影響するホイールベースも3000mmなので、このサイズでは小さいという意見も中国国内では多く見受けられます。

 同様にシエナのボディサイズは全長5175mm×全幅1995mm×全高1765mm-1785mm、ホイールベースは3060mm。アルファードよりも大型のボディとなりますが、アルファードほどの高級志向ではなく、内装も中国で販売されているアルファードのモデルに上質さでは劣ります。

 一方で、HQ9は中国本土での値段が40万元(約824万1000円)から、そしてボディもアルファードとシエナを上回るサイズとなっています。高級感とボディサイズの点では大人気となっているトヨタのライバルに対していくつかのアドバンテージがあることは間違いありません。

 中国でのデリバリーは2022年10月以降順次スタート。日本でもすでに予約が開始されており、日本では2022年11月以降より納車が始まる予定です。