USB規格には、USB Type-A、Type-B、Type-C、Lightningなどさまざまな形式がありますが、最近のクルマでは「Type-C」を搭載する車種が増えています。なぜもともと普及していたType-Aなどではなく、Type-Cを搭載するのでしょうか。

USB Type-Cが当たり前の時代に、新型モデルでは標準装備

 現在のクルマの多くは、車内に電源供給用の「USBポート」が搭載されており、半ば当たり前の装備ともなっています。
 
 そうしたクルマのUSBポートですが、従来は「Type-A」の充電ポートが採用されることがほとんどでした。しかし、最近の新型車では「Type-A」ではなく「Type-C」のみとなっていますが、それはなぜなのでしょうか。

 USB規格には、「Type-A」、「Type-B」、「Type-C」などさまざまな形式があります。しかし、ユーザーのなかには持っているのは「みんなType-A」という人も存在するなかで、最近の新型車ではType-Cのみを備えるモデルも登場。

 そうした背景からSNSなどでは「Type-Aしかないのに…」、「変換器忘れたから充電出来ない」といった声も見受けられます。

 USBの歴史をたどると、2000年代頃までのクルマでは、USBポートを車内に搭載するクルマは少なく、車内で電子機器を使う場合は「シガーライターソケット」から電源供給をする方法が主流でした。

 その後、デジタルオーディオプレーヤーやスマートフォンが大きく普及したことにより、Type-Aを車内に搭載するクルマが増え、シガーライターソケットからの移行が進みました。

 さらに近年は、従来のType-AからType-Cに移行する動きもはじまっています。

 Type-Cは2014年に登場したばかりのまだ新しいUSB規格ですが、利便性が高いこともあり、PCやスマートフォンなどのデジタル機器を中心にType-Cポートを搭載する機種が増えています。

 実際に、インドの調査会社FMIの調査によると、Type-C市場は2022年に159億米ドル(およそ2.2兆円)と評価されており、世界のUSBデバイス市場の37%のシェアを占めているといいます。

 さらに、2030年までには、1272億米ドル(およそ17兆円)に達すると予想されています。

 この波は、デジタル機器だけでなくクルマにも及びはじめ、最近の新型車種ではType-Cを標準装備するクルマも増えてきました。

 たとえば、2022年にフルモデルチェンジしたホンダ6代目「ステップワゴン」の主要グレードでは、1列目、2列目、3列目にすべての列でType-Cが使える「全列USBチャージャー(Type-C)」を標準装備。

 ミニバンだけに限らず、コンパクトカーや軽自動車でも Type-Cの採用が進んでいます。

 たとえば2022年に発売された日産初の軽自動車EV「サクラ」のGグレードでは、Type-AとType-CのUSBポートをそれぞれ1ポートずつ標準装備しています。

なぜUSB Type-Cが普及しているのか?今後はType-Cが主流になる?

 では、なぜ従来のType-Aではなく、Type-Cのほうが普及しはじめているのでしょうか。

 その背景には、やはりType-Cのほうが便利であり、多機能であるということが関係しています。

 Type-Cの端子は、上下左右対称のかたちをしており、いちいち表と裏の向きを気にすることなく差し込むことができます。

 さらにケーブル両端のオス端子とメス端子の形状も同じであるため、「どちら側の端子を使うのだっけ?」と迷うこともなく、どちら側でも使用することが可能です。

 このほかにも、Type-Cにはいくつかメリットがあります。

 たとえば「最大転送速度40Gbpsの高速データ転送に対応」「最大100Wの給電を可能するUSB Power Delivary(PD)規格に対応」「オルタネートモードでは映像出力も可能であり、HDMI、DisplayPort、Thunderboltなどの規格で出力可能」などがメリットとしてあげられます。

 ただし、Type-Cを搭載する機器であっても、必ずしもこれらの機能をすべて有しているわけではありません。Type-Cを搭載していても、たとえば映像出力はできない機器なども存在します。

 いずれにしても、従来のType-AやType-BといったUSB規格よりも、Type-Cのほうが優れている点が多く、Type-Cへの移行がはじまっているのは必然的な流れともいえるかもしれません。

 前出のFMIの調査によると、Type-C技術の市場はクルマ、電気通信業界の多くのブランドが採用するにつれて近年急成長しているといいます。

 また、Type-Cへの移行は、欧州連合(EU)がグローバルに進めようともしています。

 2022年6月7日、欧州連合の立法議会である欧州議会が、EU圏内のすべてのスマートフォン、タブレット、カメラの充電ポートを、Type-Cで統一することを義務付ける無線機器指令を発表しました。これは、2024年秋までに施行する予定となっています。

 しかし厳密にいうと、施行するにはこの後欧州議会とEU理事会による承認が必要になりますが、承認はほぼ確実といえる状況です。

 一方で、今回の無線機器指令では、義務化の対象にクルマは含まれていないようですが、2024年以降、欧州全土のスマートフォンやタブレットなどがType-Cで統一されれば、その流れは、自然とクルマなどの他の製品にも普及していくことになるでしょう。

 さらには、欧州だけにとどまらず、その波は北米市場や日本市場にまで押し寄せてくる可能性もあります。

 これから先は、国内メーカー海外メーカー問わず、今以上にType-Cを搭載するモデルが増えるかもしれません。

※ ※ ※

 このように時代の流れとしては、Type-AからType-Cに移りかわりつつあります。とはいえType-Cのほうが優れている点が多く、悲観するようなことではありません。

 Type-Cは転送速度も給電する力も大きいため、普及すれば、車内でより円滑にデジタル機器が利用できるようになります。私たちユーザーにとってはプラスになることのほうが多いでしょう。