クルマの整備は、どこまで自分でやっても問題ないのでしょうか。事前に注意したいポイントなども紹介します。

クルマの整備に関するルールとは?

「餅は餅屋」という諺があります。その道のことは専門家に任せた方が良いという意味を指します。法律のことであれば弁護士、税務なら税理士と、その道の資格を持ったプロや専門家がいるわけです。

 クルマの整備でも同じで、整備工場には国家資格を持った自動車整備士が多数在籍しています。では、仮に資格を持たない人が整備作業をする場合、どの範囲までやっても問題ないのでしょうか。

 今回は北陸地域で整備士をされているAさんに話を聞きました。

――整備資格がなくても整備をおこなっても良いのでしょうか。

「はい。結論からいえば、一般の方でも整備をおこなって構いません。といいますのも道路運送車両法 第47条にて、使用者には点検と整備の義務があると定められています。

 整備士は自動車整備を代行する職業であり、代行業務することに対して正当な報酬をいただいています。逆にこれらの代行を必要しないというのであれば、本人の責任でおこなっても良いわけです」

――整備士資格が無くてもできる整備の範囲はどの程度ですか。

「実はこれもどこまで整備しても、良い悪いというような決まりはないんです。あくまで使用者が自己責任でやる分には、それを止めるような決まりごとはありません。

 ただ道路運送車両法における保安基準、いわゆる車検に合格できる範囲内であることは絶対条件ですね。またクルマの構造が変わる場合には、構造等変更検査にて車検証の内容を変更しなければなりません。

 そのため違法改造になるかどうかは、保安基準に適合しているか否かが決め手となります」

整備士が外注することはある?

――金銭を受け取って、誰かから整備を請け負う場合の制約はありますか。

「知り合いなどに作業を手伝ってもらい、その手間賃を払うという場合。これは分解整備(特定整備)に該当しないかの注意が必要です。

 クルマのエンジン、変速機、アクスルシャフト、サスペンション、ブレーキなど、重要保安部品の整備は分解整備と位置付けられており、この分解整備は認証工場もしくは指定工場でなければ、工賃を受け取ることができません。

 金銭を受け取って分解整備をおこなう=法的な責任が生じるという意味になるので、例え整備資格を持っていても認証・指定工場として、整備士資格を持つ人の中から整備主任者を任命した上で、整備を受け入れなければ違法行為となります。

 ただ分解整備も金銭の授受をすることなく、使用者の自己責任の下でやる分には制約はありません。技術的な問題はともかくとして、無資格でエンジン交換することも制度上は可能です。

 逆に制度上可能となっていなければ、レンタルピット事業は成立しませんし、次世代の整備士育成が難しくなってしまうのです」

――整備士さんが外注することはありますか。

「はい、あります。例えばオーディオやエアコン関連の場合、電装屋さんにお願いすることも多いです。これは整備からは少し外れた分野で、専門技術や道具が必要になるため、餅は餅屋ということで外注しています。

 自動車の整備にも難易度があり、設備や工具が不足すれば整備士であっても満足な整備は出来ません。そのため必要な工具やパーツ、作業工程などの下調べをしっかりとおこない、その上でDIYするか、専門スタッフに依頼するかを決めることが重要です」

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 クルマの整備には知識と技術が必要ですが、法律上ではむしろ使用者は点検と整備をおこなうことを義務としています。自動車整備士はあくまで整備を代行業務としておこなう上で必要な資格であり、本来なら使用者になるドライバー自身が率先して整備をおこなうべきということでした。

 とはいえ実際には整備するのに必要な設備や環境、そして技術が必要。それがディーラーであったり、最寄りの整備工場になるので、これらを利用してクルマの性能を維持管理していくのが正解です。

 DIYすることが好きな人であれば、「保安基準に適合した範囲内で有る限り」クルマのカスタマイズをおこなうことは自由なので、理想とするクルマを作り上げてください。