北海道でバスを運行する旭川電気軌道は2022年9月27日、公式Twitterで約40年ぶりに生き返った「MR430」というバスを公開しました。一体どのようなバスなのでしょうか。旭川電気軌道に取材しました。

北の大地によみがえった6輪バス レストア過程は苦労の連続

 北海道でバスを運行する旭川電気軌道は、2022年9月27日に公式Twitterにて、「MR430」というバスが車検を取得し、ナンバープレートが交付されたと画像付きでツイートしています。
 
 このバスは約40年ぶりに生き返ったといい、常設展示やツアーも予定しているとのことです。

 この「MR430」というバスは、三菱ふそうが製造したフロントが2軸で計6軸で走行するという、日本国内では珍しいタイプの大型路線バス車両。

 外装はリベット留めの無骨なボディが特徴で、全長約12mという当時の路線バスとしては異例とも呼べるほど大きいサイズのボディを持つバスでした。

 旭川電気軌道では、合併する前身の「旭川バス」が昭和38年に3台導入。自慢の3軸と広い室内を活かした大量輸送をおこなってきました。

 しかし、大きすぎたことが裏目に出てしまい、昭和53年(1978年)まで営業運転をおこなった後、3台全てが引退。その後は、2021年にレストアが開始されるまで約40年間放置されていました。

 今回、レストアのきっかけとなったのは、バスの車体を最後に所有していた方から「もらってくれないか」と話が来たことです。奇しくも、5年後に旭川電気軌道が会社設立100周年を迎える2021年のこと。

 レストアにあたり、書類関係を揃えるためにまずは歴代オーナーを追跡。旭川電気軌道が手放した後は3人のオーナーの手に渡ったといいます。

 1人目のオーナーは山の上にある牧場の倉庫として使っていたそうです。2人目は、そこで使われているのを発見。じつはこの時に旭川電気軌道に対してレストアしないかという話もあったとのことです。

 3人目は東京の方で、バス自体は隣町の整備工場に保管。事情によりバスを置いておくことができなくなったために、引き取らないかという話が持ち上がり、今回のレストアが計画されました。

 しかし、約40年もの歳月を外で過ごしてきたMR430の車体はかなりの傷み具合。

 屋根は雪害により潰れてしまっており、特徴的なリベット留めの外板もサビが浮き、フロントバンパーはくの字に曲がっているほか、車体にめり込んでしまっています。

 そこで、整備工場は外板を「作り直す」ことを決意。3000本ものリベットをすべて外し、1枚ずつ外反を剥がしては、その形の通りに復元しました。

 当初は、内外装のみの軽いレストアを予定していましたが、特別な事情によりナンバーを所得する必要が発生。エンジンなど機関系にも手をいれる必要があります。

 整備工場には運行当時から所属する整備士も1名在籍しているとのことですが、整備をおこなっていた期間とバスの活躍期間がほとんど被っておらず、MR430の整備について何もわからないまま開始となり、地道な作業がおこなわれました。

 一方で、エンジンの内部はエンジンヘッド部のガスケット(パッキン)などのパーツは当然なく、「オリジナルの機関のままで復活した。あまりサビが回っていなかったのは奇跡だ」と運輸部の担当は話します。

 2022年9月27日、新車のバス1台分のレストア費用をかけたMR430は、ついにナンバーが交付され、約40年ぶりに路上に復帰。ナンバープレートは下4桁が「・128」で、希望ナンバーだといいます。これは現役当時と同じ番号です。

 旭川電気軌道は2022年10月21日に特別ツアーを実施予定。今後は「いつ壊れるかわからない」としつつも、動態保存を目標としています。

 このMR430について旭川電気軌道の担当は「いまはバリアフリーが進んだバスも、当時はバリア“アリー”だったので、公共交通機関としてのバスの進化を学んでもらいたい」と話しています。