クルマを運転するために必要な運転免許証には、免許の条件がいくつか書かれている場合があります。なかでも「眼鏡等」と書かれている人を多く見かけますが、運転するときにはどのくらいの視力が必要なのでしょうか。
運転にはどのくらいの視力が必要?
運転免許証をよく見ると、運転免許の有効期間の下に「免許の条件等」という項目があります。
なかでも「眼鏡等」と書かれている免許証は多く見かけますが、では運転にはどのくらいの視力が必要になのでしょうか。
またレーシックなどで視力が回復した場合にどのような対応をとるのかなどについて見ていきます。
免許証の下に書かれている「免許の条件等」という項目は、公安委員会が免許を持つ人の身体の状態や運転技能に応じて、その人が運転可能な車両の種類を限定したり、運転するために必要な条件について記載したものです。
たとえば「眼鏡等」、「補聴器」のように視力や聴力などの身体的条件のほか、「普通車はオートマチック車に限る」、「準中型で運転できる準中型車は準中型車(5t)に限る」といった免許種別に関する条件などが書かれています。
このように、さまざまな条件が記載されていますが、なかでも「眼鏡等」の記載は見かけたことがある人もいるでしょう。
警察庁の運転免許統計によると、2021年の運転免許保有者数8189万5559人のうち、「眼鏡等」使用の条件がついている人は4182万1109人と全体の半数以上を占めています。
運転免許に「眼鏡等」の条件が付されている場合は、眼鏡やコンタクトレンズを装着して車両の運転をしなければいけません。
もし、条件が付されているのに眼鏡などを装着しなかった場合は、道路交通法第91条の免許条件違反に該当し、違反点数2点、普通車で7000円の反則金が科される可能性があります。
運転免許を新しく取得したり更新したりする際には視力や聴力、色彩識別能力などの適性検査がおこなわれますが、免許の種別によって視力検査の合格基準が異なります。
では、運転免許取得では、どのくらいの視力で合格となるのでしょうか。
警視庁のホームページでは、原付免許や小型特殊免許の場合は視力が両眼で0.5以上、片目が見えない場合は、もう片方の目の視野が左右150度以上で視力が0.5以上という合格基準が定められています。
また、中型第一種免許(8トン限定)や準中型第一種免許(5トン限定)、普通第一種免許、二輪免許などについては両眼で0.7以上、かつ片目でそれぞれ0.3以上の視力が必要です。
仮に片目の視力が0.3に満たない、あるいは見えない場合については、もう片方の目の視野が左右150度以上で視力が0.7以上必要という基準があります。
さらに、大型第一種免許や中型第一種免許(限定なし)、けん引免許、第二種免許などでは両眼で0.8以上、かつ片目それぞれ0.5以上の視力が必要になるほか、物の遠近感や立体感を測る深視力検査にも合格しなければいけません。
大型トラックやトレーラーなどは車体が大きく後方が確認しにくいなどの障害があるため、通常の視力検査に加え深視力の検査が必要になるのです。
眼鏡が必要なくなった場合はどうなる?
では、レーシック手術を受けるなどして視力が回復し、眼鏡やコンタクトなどを装着する必要がなくなった場合はどのような手続きをとれば良いのでしょうか。
大阪府警察のホームページでは、運転免許証の更新手続きにあわせて「眼鏡等」の条件解除申請をおこなうか、条件解除申請の手続きのみをおこなう必要があると説明しています。
申請の際は警察署や運転免許試験場などで視力検査をおこない、免許の種別に対応した視力の基準に合格すれば条件が解除されます。なお、この条件解除申請の手続きに手数料はかかりません。
ただし、角膜矯正用コンタクトレンズを使用して一時的に視力が回復したという場合は条件解除審査を受けられないため、その点は注意する必要があります。
条件が解除されると免許証の裏面に「眼鏡等条件解除」と記載され、次回の免許更新以降は表面の条件から「眼鏡等」の記載がなくなります。
視力が回復したあと「眼鏡等」の条件解除をせずにクルマを運転することについては、過去の判例で免許条件違反にならないとした事例はあるものの、交通事故を起こしたときなどに何らかの不利益がないとは言い切れません。
免許の条件に変更があれば早めに手続きをした方が良いでしょう。
また、反対にこれまで「眼鏡等」の条件がついていなかった人でも、免許更新の際の視力検査で不合格になってしまうことがあります。
少しでも視力の低下を感じれば、免許更新までに自分の視力を確認しておく、自分に合った眼鏡やコンタクトレンズをつくっておき免許更新の際に持参するなど、事前に準備をしておくことも大切です。
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免許の種別によって必要とされる視力は異なります。
「眼鏡等」の条件がついている人で、レーシック手術などを受けて視力が回復した場合には早めに条件解除の手続きをおこないましょう。