足回りのドレスアップといえば、アルミホイールの装着と考えがちですが、近年はオシャレなデザインのホイールキャップなどが登場し、意外にも人気を博しています。ホイールキャップを選択するメリットはどのようなところにあるのでしょうか。

スチールホイールのメリットは?

 上級グレードの証ともいわれた「アルミホイール」は、足回りのカスタムとして定番となっています。

 その一方、デザインやカラーが豊富になったことで、近年は「ホイールキャップ」の人気が復活しつつあるようです。

 とくにバンをベースにしたカスタムで人気となっており、あえてスチールホイールとホイールキャップの組み合わせを選択するオーナーもいるほどです。

 ホイールキャップを選択するメリットとはどのようなところにあるのでしょうか。都内の整備工場に勤務する2級整備士 Kさんに聞いてみました。

「アルミホイールとスチールホイールの違いは、素材が異なることによって見た目はもちろん、走行性能に一定の影響をもたらすといわれています。

 一般的にはアルミのほうがスチールよりも軽量にできることから上級グレード用の装備として採用されてきた歴史があり、スチールホイール&ホイールキャップは中級グレードや廉価グレードで採用されてきました」

 これまでは「スチール=安価で丈夫」、「アルミ=デザインの自由度が高く軽量」というのが定説でした。

足回りが軽量化されたほうが良いのは動力性能にこだわるスポーツカーですが、その一方で一般的なセダンやバン(キャブオーバー)、ミニバンや軽自動車では、主に見た目の高級感でアルミを採用するケースが多かったのです。

 最近は純正でアルミホイール装着車が増えたお陰で価格も下がってきているものの、スチールホイール&ホイールキャップと比べればまだまだ高価な装備となっています。

 一方でホイールキャップも年々そのデザインを進化させており、パッと見てアルミホイールとの区別がつきにくくなっているものも登場しています。

 アルミホイールとスチールホイールとでは、見た目がどう違うのでしょうか。

「シルバー系の場合はホイール本体に黒くて丸い穴が空いていれば、ホイールキャップです。この黒い穴はエアバルブに干渉しないために開けられているのですぐに見分けられると思います。

 ただし最近はブラックなどカラー化されたホイールキャップも登場しているので、一瞬では見極めが難しくなっているのも事実です。

 また斜めから足回りをじっくり見れば見極められるかもしれません。というのもアルミは本体そのままにタイヤが装着されているので一重ですが、ホイールキャップはスチールホイールとタイヤが組み合わされ、ホイールキャップを被せているので二重になっています。

 ほかにも、ホイールの中心部近くにナットの穴が見えない場合は、ほぼ間違いなくホイールキャップです。

 ただし、ホイールキャップを装着しているからといって、すべてがスチールホイールではありません。なかにはアルミ装着なのにホイールキャップを被っている車種もあるんです」(K整備士)

 このアルミホイールにホイールキャップを装着する摩訶不思議な仕様のクルマとはいうのは、意外なことに、市場ですっかり人気者になっているトヨタ「プリウス」(4代目)なのです。

 安価なスチールホイールを上級仕様に見せるために装着されていたホイールキャップですが、なぜプリウスはアルミホイールの上に装備しているのでしょうか。

「クルマのボディの空気抵抗値が、衝突安全性や居住空間の確保などが優先されることで頭打ちになっていることが関係しているといわれています。

 ボディ全体で空気抵抗が減らせなくなってきた代わりに、最近のトレンドはヘッドライトカバーや前後のバンパー、ピラーなどに小さなフィン状の突起物が装備されているケースが増えましたが、これらはボディ周辺を流れる空気を整流する効果があるといわれています。

 プリウスも同じように、少しでも燃費を稼ぐためには、空気抵抗を減らし整流させるパーツとしてホイールキャップを採用しているというのです」(K整備士)

 プリウスがアルミとホイールキャップを装着するメリットはほかにもありそうです。

「アルミホイールはちょっとした衝撃でも傷がつきやすく、少しの段差や縁石などにヒットしてしまうと傷だらけになってしまいますが、ホイールキャップも傷はつくものの交換しても安価で済みます。

 プリウスは老若男女、運転が上手い人も初心者も女性も運転するクルマなので、アルミホールを傷つけてしまうユーザーもいるでしょう。補修を含めたメンテナンス費用抑制のために採用している部分もあると思います」(K整備士)

 確かに、アルミホイールはホイールキャップより傷つきやすく、交換するにしてもホイールキャップのほうが安価で済みます。

 また、スチールホイールのほうが重量はあるぶん直進安定性が良いともいわれており、デザイン性に富んだホイールキャップをあえて選ぶのもアリといえそうです。

カラードキャップで気軽にカスタム

 安価なスチ 最近のホイールキャップであれば、デザインにこだわった対応を後付けするカスタムとして楽しむことができそうです。そんな楽しみ方をしている人に話を聞いてみました。

 都内を中心に内装業を手掛けるHさん(30代・男性)は、仕事やアウトドアレジャーの相棒として、トヨタ「ハイエース」をチョイス。黒いボディに合わせて、インテリアも黒と赤でコーディネイトしており、リム部分を赤く縁取ったブラックのホイールキャップを装着しています。ールホイールを上級仕様に見せるために装着されていたホイールキャップですが、なぜプリウスはアルミホイールの上に装備しているのでしょうか。

「アルミに履き替えることも考えたのですが、やはり仕事でも使うことを考えたら耐久性の高いスチールホイールにしました。

 ただ黒いスチールホイールだけでは味気ないので、黒と赤で纏められたアルミっぽいデザインのホイールキャップを装着して楽しんでいます。

 純正のホイールキャップはマットシルバーでデザインもイマイチなのですが、ハイエース用の社外品ホイールキャップはデザインや色も豊富で、選ぶ楽しさがありました。

 またグレードも関係しているのですが、重い荷物を積むことも多いのでどうしてもハイトの高いタイヤが必要だったということもあります」

 最近、ブラックホイールに換装して足元を引き締めるライトカスタムが輸入車を中心に流行しているのですが、Hさんのハイエースのように国産車でもスチールホイールに黒にカラーリングしたホイールキャップを装着するというのは良いチョイスだといえそうです。

 気軽に装着できる点は大きなメリットなホイールキャップですが、注意点などはあるのでしょうか。再びK整備士に聞いてみました。

「ホイールキャップで使われる素材ではABS樹脂が多く、合成や硬度、加工性やちょっとした衝撃にも強いのが特徴です。ただし耐熱温度が70度から100度といわれており、長距離走行やブレーキングなどでホイール自体が熱を持つと劣化が進みやすい傾向があります」

 走行による足回りの熱によって経年劣化が進みやすい傾向は、とくにフロント側が劣化しやすいとのこと。装着に必要なリムに固定するツメなどが折れてしまったり、変形してしまい、走行中に外れてしまうこともあるのだそうです。

「とくに軽ワゴンタイプなどでハイトの高いタイヤを履いている場合、段差の乗り越えなどの衝撃で外れてしまうこともあります。

 外れた場合は補修できなくはないのですが、形状自体が歪んでいる可能性もあるので新品への交換となりますが、純正の場合は意外に値段が高いケースもあります。

 ならば自分好みの社外品ホイールキャップを装着するか、またはアルミホールに換装するのも良いと思います」(K整備士)

※ ※ ※

 昔と違って社外品のホイールキャップはデザインやカラーなども豊富にあり、アルミホイールよりも手軽に交換できるのは新しい魅力です。

 素材的には劣化しやすい傾向があるようですが、割れてもすぐに交換できますし、「安かろう悪かろう」といわけではなくなってきているようです。