近年はオプション設定自体が減少傾向ですが、中古車市場で「サンルーフ」装着車が人気です。サンルーフの魅力はどのようなところにあるのでしょうか。

なぜ「サンルーフ」装着車が好まれる?

 以前よりオプションとして設定されることが減っているものの、解放感を味わえる装備として根強い人気を誇るのが「サンルーフ」です。

 昨今のサンルーフ人気はかつての勢いは感じられない状況となっており、これにはいくつかの要因が考えられます。

 これまでのセダンやクーペなど背の低いクルマでは頭上空間が狭かったこともあり、サンルーフやガラスルーフがもたらす解放感や圧迫感の解消が求められていましたが、頭上に余裕があるSUVやミニバン、軽ではハイトワゴンが主流となった現在では、わざわざオプションを装着しなくても十分な解放感が得られるようになったことが衰退の原因でしょう。

 さらに、サンルーフは開閉機能を持たせる関係上、専用のモーターやレールなど重量物を搭載せねばならず、さらにボディの塗装面よりも耐候性の弱いゴムパッキンなどを降雨や強い日差しを直接浴びる屋根上で使用するなど、普通のルーフのクルマと比較しても雨漏りや故障のリスクが高まります。

 また、15kg程度の重量増によって重心が高まり、ドライブフィーリングなどにも影響するという指摘もあるほか、内側にサンシェードが装備されているとはいえ、夏は暑く冬は寒いというガラスの特性もあり、さらにオプション価格が10万円前後と決して安くはないのも、サンルーフが敬遠されるようになった理由といえそうです。

 そんななか、最近は改めて開閉式のサンルーフの良さを再認識する動きがあるようです。

 サンルーフが再び注目されはじめたのは、新型コロナ禍によって誕生した新しい生活スタイルが影響しているとされています。

 というのも、サンルーフを開けることで換気がしやすいうえに、サイドウインドウから入り込む風切り音や走行音などが少ないというのも、感染防止対策として車内を換気したい人にとってはメリットがあるというわけです。

 半導体不足や流通の停滞などによって新車の納期が遅れていることから中古車を購入する人も増えており、サンルーフ装着済みの中古車を探すことで、新車でのオプションより敷居が低い状態でサンルーフを堪能できるのも再注目されている要因かもしれません。

 では、サンルーフありとなしでは中古車の価格や人気に影響はあるのでしょうか。都内の中古車販売店を経営するY店長に動向を聞いてみました。

「以前は高級サルーンだけでなくファミリーカーでも装着車が多かったサンルーフですが、中古車市場ではだいぶ数が減っている印象です。

 とくに中古車の場合、5年落ちや10年落ちともなるとゴム製モールやガイドレールなどが劣化し、モーターなどの電気系も劣化しトラブルが発生しやすくなります。

 安さが魅力の中古車ですから、わざわざ高い修理費を払うリスクを避ける人も多いと思います」

 一方で、サンルーフ付きの中古車が敬遠されているわけではなく、あればラッキーな装備として認識されているようです。

「開閉ができないガラスルーフ車は、夏場に車内が暑くなることから敬遠されがちですが、換気機能が期待できるサンルーフは希望する条件に適合する中古車に付いていたらむしろ喜ばれる装備です。

 また下取り査定では、よほどトラブルを抱えた状態でない限り確実にプラス評価になるので、中古車に限っていえば付いていてラッキーな装備のひとつです」(中古車店 Y店長)

「最近サンルーフ開けてない…」オーナーの本音とは

 それでは、サンルーフに関してメンテナンス面ではどのような注意点があるのでしょうか。神奈川県のH整備士に取り扱いや不具合の出やすい箇所などを教えてもらいました。

「サンルーフの場合、メインのガラス面に傷やヒビが入るなどの心配はほとんどないのですが、ボディとの接合部分になるゴム製モールなどが劣化しトラブルを引き起こすことが多いです。

 サンルーフ車で雨漏りする原因の多くがゴムモール類の劣化ですし、ここから水が侵入しサンルーフを稼働させるフレーム部分やガイドレールにサビを発生させることもあります」

 ゴムモール類はボディのような塗装面という保護膜もないため、直射日光に含まれる紫外線により劣化がさらに進みやすくなります。さらに雨風にさらされる部分でもあり、丁寧なケアを心がけてほしいそうです。

「気をつけていただきたいのは、最近のクルマはパーツのストックが限られており、10年も経つとパーツそのものが探しても見つからないということもあります。

 これがボンネットやフェンダー、バンパーなど大きな部品ならまだしも、モール類のような細かい保安部品は欠品しやすいんです。

 サンルーフ車を長く乗りたいのであれば、パーツのストックがあるうちにサンルーフのゴムモールを手に入れておくということも考えておいてください」(H整備士)

 また日頃のケアも、洗車ではブラシなどでゴシゴシ洗い過ぎない、ゴムや樹脂製品用の保護剤などで表面をケアする、固着を防ぐために1か月に1回は稼働させるなどを実践すると良好な状態が保てるそうです。

 サンルーフ装着車のオーナーは、どのようなところにメリットを感じているのでしょうか。

 トヨタ「RAV4」に乗っているAさん(東京都・40代男性)は、SUVならではの大きなサンルーフを気に入ってチョイス。後席に乗せることが多いペットの大型犬(ケージ入りですが)に少しでも解放感を感じさせてあげたかったというのがサンルーフを選択した理由だといいます。

「犬をクルマに乗せるときは安全を考慮してケージに入れています。

 ただ、やはり締め切った車内だと、ただでさえ狭いケージで息苦しくなってしまいますし、季節によっては犬も匂いやすくなるので、風を直接受けにくいのに換気ができるサンルーフをオプションで装着しました。

 購入してから気がついたんですが、ドライバーは運転中に前を見ているので頭上の解放感をあまり味わったことがありません。

 ガラスサンルーフということも相まって、助手席や後部座席からは十分解放感を感じられたみたいで好評です」

 ほかにも数名のサンルーフ車オーナーに話を聞いてみましたが、もっとも多かった意見が「最近使ってない」というもの。

 最初はオープンカー気分で楽しめるのですが、徐々に解放感より静粛性や快適性を優先するようになってしまうとのことで、Aさんもペットを同乗させるとき以外は閉めっぱなしなのだそうです。

「滅多に使わないけど付いてるというのも、それはそれで満足度は高いです。以前はタバコを吸っていたので、なおさら換気ができる機能は解放感以上に重要でした」(サンルーフ付きRAV4オーナー Aさん)

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 1990年代から2000年代のサンルーフが非常にもてはやされた時代で、実用性に乏しいオープンカーは買えなくても、ルーフを開けてプチオープン気分を味わえるサンルーフは、贅沢装備の代表格でした。

 中古車市場で人気とはいえ、新車でのオプション設定が減っている現状では、装着車が中古車として出回ることが減っていってしまいます。今後、サンルーフはレアな装備となっていくのかもしれません。