2022年2月1日から、運転免許更新時の講習をオンライン受講できる取り組みが試験的に行われていますが、開始から1年経った現在、利用者からはどのような声が寄せられているのでしょうか。

ついにオンライン化された「免許更新」 でも実は一部だけ? しかも4つの道府県が対象?

 2022年2月から、一部の道府県で運転免許の更新時講習をオンライン化する取り組みが試行されています。
 
 では、実際のところ利用者にとって便利なシステムなのでしょうか。

 2022年2月1日から、北海道、千葉県、京都府および山口県において運転免許更新時の講習をオンライン受講できる取り組みが試験的におこなわれています。

 ただし誰でもオンライン受講できるわけではなく、優良運転者、いわゆるゴールド免許の人のみが対象であり、講習を受ける際には本人確認のためマイナンバーカードが必要です。

 講習の流れとして、まず運転免許更新ハガキに記載されている講習区分が「優良」であることと手続き期間を確認します。

 そしてスマートフォンやパソコンで管轄する警察のホームページから専用サイトにアクセスし、マイナンバーカードを使ってログインします。

 このログインの際にはマイナンバーカードの読み取り機能がついたスマートフォンやICカードリーダーが必要であり、また署名用電子証明書の暗証番号を入力しなければなりません。

 また、事前にスマートフォンの性能やマイナンバーカード作成時に設定した暗証番号などを確認しておくことが重要といえるでしょう。

 ログイン後は専用サイトで講習動画を視聴しますが、チャプターごとに問題が出題されたり、きちんと講習を受けているかを確認するために合計3回、利用者の顔画像が撮影されます。

 そしてアンケートに回答すれば講習が終わり、その後は免許センターや警察署で動画の受講確認や通常の手続きをおこないます。

 あくまでオンライン化するのは講習の部分だけであるため、免許更新時の適性検査や写真撮影、免許証の受け取りなどはこれまでどおり免許センターや警察署など現地でおこなわなければいけません。

 このように、最終的には免許センターなどに行って更新手続きをする必要があるため、利便性には疑問が残ります。

免許更新時講習のオンライン化…利用者にとって手続きは便利になったのか?

 では実際のところ、利用者にとって手続きは便利になったのでしょうか。

 2023年3月、日本電気株式会社(NEC)がこのオンライン講習事業についてまとめた「更新時講習(優良運転者講習)のオンライン化に係る調査研究報告書」によると、2022年2月から12月および2023年1月から2月に対象の4道府県で更新手続きをおこなった110万4869人のうち、オンライン講習の受講者は11万7931人であり、全体の約10.7%でした。

 オンライン講習受講者を対象におこなったアンケートでは、「オンライン講習は対面での講習と比較して便利でしたか」との設問に対して「便利だった」「やや便利だった」と回答した人が全体の96.8%と高い結果に。

 さらに「今後も、オンライン講習を受講できるとしたら、利用しますか」との設問に対しては「利用する」と回答した人が99.5%と意外にも受講者の反応が良好であることが分かりました。

 具体的に良かった点に関しては「曜日や時間を問わず隙間時間に受講できた」、「感染症対策として自宅で受講できた」という意見のほか、「育児・妊娠中・産後だったので好きな時間・場所で受講できて助かった」という声も寄せられており、自分の生活スタイルに合わせて受講できることが大きなメリットといえます。

 そのように好意的な声がある一方で、改善すべき点として「更新ハガキにQRコードやURLを掲載してほしい」という意見や「動画が見切れる」、「音飛び、音割れがある」という動画の視聴に関する問題点を指摘する声もありました。

 また「アクセスが集中して先に進まない、エラーで停止した」という声も寄せられており、オンラインならではの不都合があることも判明しています。

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 現在4道府県で試行されている免許更新のオンライン講習については、予想以上に受講者の満足度が高い結果となりました。

 講習にはマイナンバーカードに対応した機器やオンライン特有の手続きが必要であるものの、スマートフォンやパソコンに触れることの多い現代ではそれほど難しいことではないのかもしれません。

 今後、オンライン講習の全国展開も見込まれるため、引き続き動向を注視することが大切です。